えっ!? 学校ではマリー・フォン・フランソワって名乗ってるの!? お前の名前、小松茉莉子じゃん!! ~同居し始めた田舎育ち女子は見栄っ張り拗らせてて、テレパシーが使える~
第108話 【こはるんエンド】小松秀亀と村越小春のあったかもしれない未来
第108話 【こはるんエンド】小松秀亀と村越小春のあったかもしれない未来
俺の名前は村越秀亀。
きっとみんなの知っている秀亀とは似ているけどちょっと違う、けどやっぱり秀亀な俺だと思う。
高校生の頃に同居していた茉莉子の親友で、漬物業界をけん引する大企業。
村越堂の一人娘の小春ちゃんと俺はお付き合いしている。
彼女が高校卒業の際に告白されて、一も二もなくお受けした次第。
2秒で婚約した。
漬け物が好きな俺に断るなどと言う選択肢はなかった。
村越家にご挨拶に伺った。
大事な一人娘のお嬢様と交際させて頂くのだ。
しかも、結婚を前提に。
すぐにご両親に頭を下げに向かうのは男としてのジャスティス。
気付いたら、苗字が小松じゃなくなってた。
あと、頑張って採用された喜津音市役所を1年で退職することになった。
「秀亀さん。今日も本社に来て欲しいと父が言っているんですけど。どうしましょう」
「うん。行くよ? 小松も市役所職員も失った俺はもう、前に進むしかないからね?」
「あっ。すみません……。父はてっきり、秀亀さんが跡を継いでくれるものだと確信していたので。言い出せませんでした……。ダイヤモンドの漬物石と、サファイアの漬物石と、プラチナの漬物石と隕石をお渡ししていたので」
「そうだね! それで断ったら、もう大変な事になるね!! 仕方ないよ!! 隕石はね、市の資料館に展示されてるよ!! あれで漬物はできないな、俺!!」
小春ちゃんは別に就職する必要もなかったのだが、社長秘書として村越堂に毎日出社している。
理由は俺と一緒にいたいから。
可愛かろう!! 身長も体型も出会った頃とまったく変わっていないけれど!!
そこが可愛いんだ!! だから良いんだ!!
「……ははっ。すみません。なんか、合法ロリとか言うヤツになってしまって。私、最悪でも身長か胸囲、どっちかは育つと思ったんですけど。レアピさんに会う度に、大人ロリとか需要ありまくりまクリスティーっすよ!! って、スクール水着を渡されるんです。……ははっ。今、胸を見てましたよね?」
小春ちゃんはダークサイドに堕ちなくなった分、なんかちょっと卑屈になった。
そこも可愛いよね!!
「あっ。また……。あの、私の胸を見て楽しいですか? いえ、分かってます。秀亀さんは胸を見ているのではなく、胸を見られた私の反応を見て楽しんでるんですよね。良いんです、秀亀さんが楽しいなら、私。茉莉子ちゃんも秀亀さんはロリロリしてる子が好きかもって言ってましたし」
「よし! 今日も一日がんばるぞい!!」
村越家の敷地内にある離れが俺と小春ちゃんのスゥウィートホォォーム。
俺も強くなり過ぎた。
今ではヒデキが4日に1度元気になってしまう。
きっと、近いうちにアレをナニする日も来るだろう。
いざとなったら沈黙するけど。
多分、明日辺りはイケると思う。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「社長! おはようございます!!」
「おはよう。秀亀くん。君の漬けた沢庵を食べていたところだ! 実にアバンギャルドな味だね!! さすが、小春が見初めた男なだけはある!! 京都の品評会に出してみたらね! 村越堂が次回から出禁になった!!」
俺のせいで村越堂がヤバい事はとてもよく分かっている。
小春ちゃんのお父さん。
俺のお義父さん。村越
娘に遺伝子情報は全部お義父さんのヤツが行って、お義母さんのヤツはどっかで消えたんだなと思えるほどに、朗らかな小春日和みたいな御仁。
というか、俺に甘すぎる。
「社長!? なんで俺の沢庵出したんですか!? あれ、余った大根をただ壺にぶち込んでただけですよ!? もう少しマシなヤツが今、漬かってるのに!!」
「はははっ! なーるほど! だからか!! 漬物界に新風をぶち込んでやったよ! 無理やり理事とかに食べさせたら協会からも出禁にされたけど!!」
「なんでそうなるんですか!? 俺、今のところ村越家に何の利益も与えていないどころか、多大な損害出してて心が痛いんですけど!!」
「何を言うんだい、秀亀くん。小春が君といると笑う。それってステキな事じゃない?」
春の陽光のような眼差しがもう本当に辛い!!
「お父さん。もういっそ、漬物屋なんて廃業にしてしまうのは? お弁当屋さんでも始めましょうよ。私、秀亀さんと夫婦で経営してみたいです!」
「ダメだよ!? 小春ちゃん!! なんで歴史ある老舗の漬物屋を潰して、料理が趣味の俺と料理を修業中の小春ちゃんでお店するの!? 金の斧を泉に投げつけて、鉄の斧すら貰えてねぇよ!? 帰って来たのは柄の部分だけ!!」
村越家にやって来て分かった驚愕の事実がある。
ゴールキーパーとして会社をガッチリ守っていた
じいやさんが経営部門のトップだったのだ。
スケボーではっちゃけて側頭部強打してたり、すぐ腹切ろうとするあのじいやさんで、村越堂は回っていた。
そして村越親子。
お義父さんと小春ちゃんは、スカイラブハリケーンばっかりしてる。
漬物をサッカーに喩えたら、ボール蹴ってねぇの!!
「カマンベール伯爵……。いえ、元伯爵。このじい、不覚の極み……。シニアオリンピックにスケボーが新規競技として加わるのではないかと考え、練習を始めたところ……。無念です……」
じいやさん、両腕を骨折中。
それでも口が動けば仕事は回るのに「このような醜態を晒したじいに口など出せませぬ! 時代を作るのは老人ではないのです!!」とか言って、勝手に隠居しやがった。
まだだ、まだ終わらんよってバカ! もう終わりだよ!!
仕方がないから、反則技使うね!!
販促技とも言えるヤツ!!
ばあちゃん! ばあちゃん!! 世界で1番セクシーなばあちゃん!!
(おっす! おら、アン・ハサウェイ!! ヒジキ、呼んだかい!!)
プラダを着たばばあって多分1回やってんだけど、まあいいや!
ばあちゃんのスーパーパワーでさ、俺のクソみたいな沢庵を大ブレイクさせてよ!!
(は? それ、マジで言ってんのかい? あんた、世の中の漬物職人たちがどんだけ努力して今の地位を確立したのか、そこんところを理解した上で言ってるとしたら、ばあちゃんはヒジキを恥じるね。そして浜辺に捨てるね)
小春ちゃんにメイド服着てもらうから!!
ばあちゃんの選んだやつ!!
(よっしゃ! 任せとけ!! フランスの大統領補佐官に連絡するわ!! クソみたいな沢庵だって、沢庵の文化がねぇ外国ならクソみたいな沢庵がオフィシャルになるってすんぽーさ!! 明後日、メイド服15着持ってそっち行くわ! あばよ!!)
翌日の新聞に「フランス政府、日本から年間100トンの沢庵輸入を決定。大統領の支持率1桁へ急落!!」とかいう見出しが一面に載ってたけど、俺ヒジキだからよく分かんねぇや!!
◆◇◆◇◆◇◆◇
「あの! 秀亀さん!? なんで私、メイドさんになってるんですか!? 新しいいじめですか!?」
「違うんだ! 俺、小春ちゃんにメイド服をずっと着せたいって思ってたんだ!!」
「……ははっ。こんなロリメイドに需要なんかないですよ」
「あるっ! 俺は好きだ!! なんかもう、眠れるヒデキが森から出てこようとしてるもん!! 小春ちゃん!! 結婚式前に、そういうことするのはダメかい!?」
俺は何をしているのだろう。
ただ、小春ちゃんをいじるのが最高に興奮するという事はよく分かった。
なっ! ヒデキ!!
(秀亀? あんた、いくら婚約しててもさ。いくら籍を入れててもさ。頭ん中に理性くらいは常に入れときなよ。昼の1時になーにしてんだい。マジで)
あんたのせいだよ!!
けど、ばあちゃんがいないとこの世界は終わってたから!!
サンキュー! ばあちゃん!!
何年かしたら、ひ孫の顔を見せに行くわ。
なんだかんだ、今ね、幸せ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます