えっ!? 学校ではマリー・フォン・フランソワって名乗ってるの!? お前の名前、小松茉莉子じゃん!! ~同居し始めた田舎育ち女子は見栄っ張り拗らせてて、テレパシーが使える~
第101話 クリスマス目前に覚悟をキメる秀亀くん ~アドバイザー・ばあちゃん。プロデューサー・ばあちゃん。ババアのいうことを聞きなさい!~
第101話 クリスマス目前に覚悟をキメる秀亀くん ~アドバイザー・ばあちゃん。プロデューサー・ばあちゃん。ババアのいうことを聞きなさい!~
本日は喫茶・おっぱいバズーカで1日バイトの予定。
なんかファミレスが悲しい名前になったけど、生きてる分だけきっとまし。
閉店の憂き目を免れた喫茶・おっぱいバズーカは今日も高柳さんのバズーカとばあちゃんのテコ入れによってクソ高くなったメニュー。
そして1万円以上の食事をすると高柳さんとチェキが撮れるサービスで繁盛している。
風営法に引っ掛かりそうな業務形態になったけど、俺の中ではずっとファミレスだから別に良いんだ。
「小松くん」
「あ。はい。注文ですか?」
「ううん。ゴッド絹子さんから電話だよ。お店の固定電話」
「なんで!? あ、はい。分かりました。ありがとうございます」
「気にしないで。じゃあ私、オタクどもと写真撮ってくるね。これで時給1850円とか、ゴッド絹子さんは本当にゴットだね」
「あ。はい」
言えなかった。
どうしてばあちゃんの冠のゴッドはちゃんと言えて、後半はゴットになってるんですかって!!
高柳さん! 後期の単位、大丈夫ですか!?
留年決まってるって言ってましたけど、単位はできるだけ取っておきましょうね!!
とりあえず、電話に急ごう。
レジの隣にあるから、ホールを通った方が速い。
「ジーク! 小松!!」
「あ。はい」
最近はうちのボスが俺を見ると謎の敬礼と、小松家を称える謎の万歳三唱をするようになったが、これもまた個人の自由。
俺は口を出さない。
電話にたどり着いた。
「はい。喫茶・おっぱいバズーカです」
『おっす! おら、橋本環奈! あるいは浜辺美波!! どーっちだ!!』
「くっそ厚かましくなって来てる!! いや、ニコール・キッドマンの時点でくっそ厚かましいのは変わらんけど!!」
『うっせぇ! ぶっ殺すぞ!!』
あ。ごめんなさい。
『ヒジキさ。あんた、いい年してさ。はい。喫茶・おっぱいバズーカです。とか、そりゃないだろ? ばあちゃん、そんな事勉強させるために大学へ行かせてるんじゃないよ? なに学んでんだい?』
「ばあちゃんが付けたんだろうが! この名前!! 俺は良いけど、高柳さんが電話対応する時とか地獄だぞ!! あの人、すっげぇクールに店名を告げるんだから!! あと大学では心理学専攻してるよ!! なんで店に電話してきてんの!?」
『面白そうだったから?』
「死神がデスノート落とす感覚で!!」
『そうそう。準備ができたよ』
「なにが? ついにうちの制服のスカート丈を5センチくらい短くすんの?」
『秀亀。お前、今すぐ宇宙船地球号おりろ』
「そこまで!? もう分かんねぇよ!! 何が正解なんだよ!!」
『今日は何月何日だい?』
「ええと」
『はい! 確認した時点であんたはもうぬるぽ! どうしようもないね!!』
「がっ! 12月15日!! 仕方ないじゃん! 大学の講義もう終わってんだから! 毎日バイトしてたら、曜日の感覚なくなるの!!」
『
「ああ。県内で1番デカい山だ。標高700メートルくらいだっけ?」
『今朝ね、降雪機を180台ほど配置完了した。あと、山の所有権を買い取った。国から』
「ばあちゃん? 山とか森っていくら金積んでも国からは買い取れな」
『うっせぇ! ぶっ殺すぞ!!』
あ。ごめんなさい。
『山小屋を全部ぶっ壊して、1つだけ新しいのを建てたよ! で! それをボロボロに加工させてる!!』
「……なんかそのシチュエーションに既視感があるんだけど?」
『ふっ。ヒジキ。秀亀になってきな。あんたのクリスマスプランニング。ばあちゃん、感動したよ。だからばあちゃんが全てを可能にする!! あとはあんたの勇気だけさ!!』
ぼくのかんがえたさいきょうのくりすますが!!
なんか現実のものに!!
そして生まれて初めてばあちゃんと感性がジャズった瞬間かもしれない!!
『茉莉子と思い出に残るクリスマス、キメてきな!! ばあちゃんはね、感じるんだよ。このクリスマスをキメた先に、グローリーロードが待ってるってね!!』
「うん? グローリー、なに?」
『結婚、出産、出産、出産だよ! 分かれよ、ヒジキ!! このカス!!』
「ええ……。ばあちゃん、口悪くなる一方だな」
『なお、第1回! チキチキ! ヒジキは秀亀になれるのか!! この登山に魂を賭けろ!! ハイパークリスマス選手権!! は、マリーの会のみんなにパブリックビューイングで生中継するからね!!』
「なんで!?」
『ヒジキ。もの考える気がないなら、その贅沢な頭はもういらないね?』
「たまにばあちゃんが湯婆婆みたいになるのはなんで? とりあえず、茉莉子と冬山登山楽しんでくるわ!!」
『ふっ。キメて来るんだよ。何事なく下山してきたら、ぶち殺す!!』
「マジかよ。じゃあ、なんかキメてくるわ」
電話が切れた。
直後にテレパシーが飛んできた。
(ちなみに今の通話はアンチ・テレパシー・絹子フォンって言う技術が使われてるからね! 茉莉子には聞こえてないよ! サプラーイズ!!)
それ、喫茶・おっぱいバズーカの電話に仕込んだ意味ある?
◆◇◆◇◆◇◆◇
帰宅すると、茉莉子がコタツに潜っていた。
「おかえりなさいですー」
「おう。ただいま。茉莉子。明後日の土曜日。ちょっとスポーツ用品店に出かけるか」
「なんでですかー?」
「えっ。…………茉莉子のスポーツウェア着たところが見たいからかな」
「ええー!! ヤダぁー! おじさんってば、茉莉子の豊満なボディにピチピチのウェア着せて、お楽しみになられるつもりですかぁー!? もー!! おじさんってそーゆうとこありますよねー!! 思えば、夏にはありましたよねー! あたしの競泳水着をガン見してましたしー!! そもそも普段から短パンをガン見してますしー!! たまに触ってきますしぃー!! まぁー? おじさんがどーしてもって言うならー? 茉莉子としても着せ替えプレイに応じる用意はありますけどぉー?」
うちの茉莉子は可愛い。
晩飯は湯豆腐だったのに、「おネギと大根おろしって最強のタッグじゃありませんか!?」と茉莉子はモグモグ食べてくれた。
ネギと和解したまりっぺ。
このまま、ご機嫌をキープして土曜日までダッシュだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「おじさーん。おじさん。ねーねー。おじさん? これってなんですか? 登山コーナーって書いてあるんですけど? ねーねーねー? これ、全然ボディライン出ませんよ? それどころか、お肌が一切露出してませんけど? ねーねーねーねー。おじさーん? こんなので良いんですかぁ? 茉莉子のムチムチボディが一切活かされてませんけどー? おじさーん?」
さすがに茉莉子も懐疑的な目をこちらに向けてくる。
だって、冬山登山するぞって言ったら絶対に嫌がるじゃん。
「茉莉子は山ガールの姿が1番似合うかなって!! すげぇ可愛い! 興奮してきた!!」
「もぉぉぉ! なんですかぁー! このマニアックおじさん!! そんな、興奮とか言われたら茉莉子も穏やかじゃいられませんよー!! えー? 写真撮るんですかぁ? 山で? それを畳サイズに引き伸ばして飾りたい? んもー!! 仕方のないおじさんですねー!! オッケーですっ!!」
うちの茉莉子が1番可愛い。
準備は整った。
カレンダーがパラパラと捲れて、ついに24日がやって来る。
ばあちゃん、俺、行ってくる!!
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