えっ!? 学校ではマリー・フォン・フランソワって名乗ってるの!? お前の名前、小松茉莉子じゃん!! ~同居し始めた田舎育ち女子は見栄っ張り拗らせてて、テレパシーが使える~
第75話 生徒が増えたぞ、萌乃さん!! ~喜津音大学の人気上昇中~
第75話 生徒が増えたぞ、萌乃さん!! ~喜津音大学の人気上昇中~
もえもえ、喜津音大学に進学するってよ。
そんなことより、茉莉子さんや。
香水の匂いはどうかね?
(なんか臭かったです……。高級なんですよね、これ。高いお金払って臭い水買うって、ちょっとあたしには理解できません。お饅頭食べて良いですか?)
同意してしまいそうになるが、せっかくお土産に頂いたんだからそんなこと言っちゃいけません。
あと、お前一応さ、地中海から来た侯爵令嬢だよね。
(かりんとう饅頭じゃないですかぁ!! これ美味しいですよねー!! どうしたんですか、どうしたんですか!! 高いからって普段買ってくれないのに!!)
小林さんがお土産にくれたんだよ。
この間、お漬け物を味見してもらいに行った時にね、交換したの。
(おじさんが小林さんに浮気してます……。はむっ……)
茉莉子が食ってくれないからだろ!!
せっかく漬けたのに!! お皿の端っこに残すし!!
都合が悪くなると通信切るなよ!!
もういい、現実に戻る!!
「お嬢何考えてぃーんすか!? お嬢の家なら喜津音大学なんて絶妙に偏差値が高いだけのしょっぺぇ私大じゃなくても、選び放でぃーでしょ!! こっちくんなっす!!」
「ヤマモリレアピーチちゃん。学ぶ場所に魅力を感じるのは個性ですよ」
「ぐぬぬぬ! 急に正論言ってきてんじゃねっす! じゃ、理由言ってミンミンっす!!」
「ふふふっ。小松さんと1年過ごせるじゃないですか」
「クソみてぇな理由で進路選んでんじゃねっすよ! これだからお嬢は!! 普通は将来を考えて選ぶんすよ!! なんすか! 秀亀さんって!! んなもん、嫁になれっすよ!! 秀亀さんなんて押しまくったらイケんすからね! 問題はヒデキが立つかどうかっすけど、もうふにゃヒデキでもいいんすよ! とりあえず、ソロホームランってことで!! バット振ってくれたらあとはこっちが飛びゃ本塁打っすよ!!」
桃さん。前半はすごくいいこと言ってたのにさ。
後半、秀亀とヒデキに対する、熱いディスの嵐なのはなんでなのかな!!
そろそろ喋らないと、こいつ海藻に先祖返りしたなって思われそう。
「萌乃さん? マジで桃さんの言うとおりだよ?」
「マジすか。秀亀さん、押したらイケる男だったんすか」
「そっちじゃねぇよ!!」
「ひっそりストロングヒデキなんすか!? これ、ライン共有ダッシュすね!!」
「そっちでもねぇよ!! 進路!! 大事なことだぞ!! 例えばな、人生において18歳の1年ってのはその瞬間だけなんだ。何をどうしてどう過ごすかってのは、年取ったらより大きく影響して来るもんだぞ。ちゃんと考えないとダメだ」
「……もえもえのために、真剣に叱ってくださる小松さん!! もし! 誰かある!!」
「ははっ!!」
忍者みたいな黒服が天井から降りて来たんだけど!!
ねぇ、そこうちの家の領域でしょ!? いつから潜んでたの!?
「父と祖父と曾祖父に、もえもえはやはり喜津音大学に進学すると伝えてください」
「はっ! ……ご自分ではお伝えにならないので?」
「小松さんにご迷惑がかかります。そのくらい考えてください」
「申し訳ありません。では、御免!!」
黒服がシュタッて消えた。
そんなことより、俺に迷惑掛かるってなに!?
「安心してください、小松さん。ご迷惑というのは、この辺一帯を近衛宮家で買い取って、小松キャッスルを作り、保護する程度のことですから」
「なにも安心できねえな!? どうすりゃヤメてくれるの、そのキャッスル!!」
「ふふっ! 今日からご指導お願いいたします。先生!!」
「…………キャッスル。くっ!!」
「秀亀さん! ガンバの冒険っすよ! 踏みとどまれっす! 立つんだ、ヒデキ!!」
「……月謝、2万円だからね!!」
「ロイヤルピーナッツクリーム野郎」
「仕方ないじゃないか!! 選択肢なんかねぇんだよ!!」
生徒が増えた。
こんな時に限って、茉莉子は助けに来てくれない。
あいつ、かりんとう饅頭を全部食ってやがる。
カロリーバカ高いのに。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「大学ですかー。あたしには遠い未来のお話ですよー」
「お前、嵐が去るのを待って来るとかきたねぇやり方を覚えやがって。俺の好きだったピュアでアホな茉莉子はどこ行った」
「お饅頭持ってきてあげたのに! 桃さんともえもえ先輩もどうぞ!」
「……おじさんの分だけ、歯形ついてるけど?」
「んふふー。間接キッスですっ!!」
「全然嬉しくねぇ!! お前! 間接キスって饅頭の8割食うことじゃねぇからな!?」
まりっぺ、座布団を持って来てちゃぶ台に着席。
遅いんだよ。雑談に加わるのが。
「いいですよねー。お二人はおじさんと1年でも同じ大学で過ごせるんですからー」
「それに関しちゃさーせん!! でも、茉莉子さんは家でずっとぴったんこカンカンじゃねっすか!!」
「ヤマモリレアピーチちゃんはまだまだですね。学校生活では殿方の違った一面が見られるということをご存じないとは」
「ご存じっすけど!! プールの時間に不自然に保健室行って、女子更衣室荒らしてる男子が普段はマジメな学級委員長だったとか、そーゆうヤツっしょ!!」
喜津音商業高校にプールがなくて良かったよ。
「あたしは喜津音大学に入るかどうか、悩みますねー。おじさんいないですし」
「マリーさんは東京行くんだろ?」
「え? あー。そうでした、そうでした。東京、東京」
この子、東京に興味がなくなり始めてない?
「だってー。東京って日本の首都ですよね? この前知ったんですけど」
この前知ったんだ。
知らないで東京行きます、あたし!! とか言ってたんだ。
「つまり、桃さんとかもえもえ先輩とかの上位種がウロウロしてるんですよね? 怖いじゃないですか!! おじさんがついて来てくれないんなら、マリーさんは積極的に攻め込む気持ちが薄れてきました!! この家で専業主婦します!!」
「ええ……。というか、俺は大学出たらここに住み続けるとは限らんぞ?」
「……うぇぇぇぇぇぇ!? な、なな、なんでですかぁ!? あたしを置いていくんですかぁ!?」
「いや、就職先によっては引っ越しだし。喜津音女学院に誘われてはいるけど、教職って適正あるかどうか怪しいし。やりがいと待遇の両方を重視したいじゃん?」
「うあああああ!」と叫ぶまりっぺに馬乗りになられて胸板ポコポコ叩かれるのは慣れてるけども、今日は桃さんと萌乃さんいるんだよ。
ヤメなさい。
恥ずかしいから。
あとスカートでそんなことするご令嬢はいないよ。
「お嬢。ウチら、間違ってたんすね」
「そうですね。もえもえたちはやるべき事がありました」
こっちはどうした。
志望大学変えるのかな。
「ウチら、ひで×まりを推して! とりま、この2人がくっ付いた状態を維持しなきゃなんねーんすよ!!」
「分かります。小松さんに絡みつくマリーさん。これがないと、小松さんの魅力が4割ほど減ってしまうんですね」
高3コンビがなぜか和解して、握手を交わしていた。
そのあと、授業をきっちりこなして2人は帰って行く。
風呂上がりにグルーブラインに山のような議論の形跡を発見。
『では、もえもえは小松さんを採用する他県の企業を全て買収します』
『ウチは茉莉子さんをエロギャルに仕上げるっす。今のままじゃ進展なさそーなんで』
『なんか面白そー! やれやれー!!』
『また私がいないところで盛り上がってますね……』
ライン、アンインストールしようかな。
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