えっ!? 学校ではマリー・フォン・フランソワって名乗ってるの!? お前の名前、小松茉莉子じゃん!! ~同居し始めた田舎育ち女子は見栄っ張り拗らせてて、テレパシーが使える~
第64話 水着になったマリーの会、やっと揃う! ~そして飛び込んで浮かぶ~
第64話 水着になったマリーの会、やっと揃う! ~そして飛び込んで浮かぶ~
新菜が爆弾になったというお話。
具合悪そうだったし、寝てて?
晩飯、好きなもの作ってあげるからさ。
無理して来ないで良いから。マジで。
(こちら現場のマリーさんです!!)
よし! マリーさん!!
新菜にはアクエリアスとポカリスエットを1本ずつやって、放置して来なさい!!
あいつ言ってたもん!
「大学生になってから結構育っちったぜー。案外多いらしいよ? 女子の成長期ってバラバラなんだよねー。食生活の変化かな? ねー。秀亀知ってる?」とか、1年生の秋口に!!
そこから更に育ったことは、ずっと一緒にいる俺が知ってる!!
バージョンアップ前のビキニなんか着られるはずがない!!
寝かせとけ!!
(あ! もえもえ先輩が来てくれました!!)
バカな!? 俺とストレッチしてたのに!?
マジでいなくなってる!!
「桃さん? 萌乃さんどこ行ったか知らない?」
「お嬢すか? なんか、マリーさんと新菜さんの様子を見てきますーとか言って、ばるんばるん駆けて行ったすよ」
トテトテとか、タタタッとかにしようね、走っていく時の擬音はさ!
ばるんばるんって!!
それ、足から出てないじゃん! 音!!
というか、胸からも出てねぇだろ!! オノマトペじゃんか!!
(おじさん! 解決しました!!)
聞きたくないな。
おじさん、お願いしても良い?
もえもえ先輩が予備の水着を持って来てくれていたので、それを借りました!! だけはぜってぇ嫌だ!!
(おおー! おじさん、最近、未来を予知しますね!!)
違う。
「こんなこと嫌だな。起きたら嫌だな。あんな悪夢こんな悪夢いっぱいあるけど」って思ってることが、だいたい不思議なポッケで叶えられる日常に慣れてきたの。
(あー! ダメです、おじさん!!)
よし来た!
ダメだったか!! 神様、俺、あんたのことやっぱ好きだわ!!
(もえもえ先輩と新菜さんの身長差があり過ぎて! なんかすごくやらしー感じになりました!! おじさんの部屋の宝物にもこんなすごいヤツなかったです!!)
部屋で寝かせといてくれ!!
神様のくそったれ野郎が!! 騙された!!
(そうなんですかぁ? じゃあ、はい! それ使ってもらって! いえいえー! あたしは気にしないので!! 良かったー!!)
なに勝手に解決編をテレパシーして来てんの? マリーさん?
嫌だな。そういう新機能をいきなり実装してくるの。
数分後。3人がやって来た。
「うおっ! 眩し!! パナップっすね、新菜さん!! なんすか!! フリフリなのにガチエロビキニじゃねっすか!! 女子のウチが見てもエクスタスィーっすよ!!」
「はっはー! お恥ずかしいぜー! まりっぺ用にこっそり買ってあげてたビキニがあったんだけどさ。自分のヤツ忘れちったんだー。で、まりっぺに聞いたら、わたしが着た後でも構わないんだって! いい子だぜー! ってことで! 女子高生エディションのぼっち警察!! 遅れて参上!! みんな! 準備運動はっじめるぜー!!」
モデル体型の新菜がフリルがマシマシのビキニ着ておいでなすった。
なんか見ちゃいけないものを見せられてる感じは確かにある。
「ふぃー!! やっとみんなが揃いましたねー!! では! 誰が1番に泳げるようになるか! 競争ですよー!!」
「まりっぺのその意気やよし!! さすが、全然泳げないのに競泳水着選ぶだけのことはあるぜー!!」
小春ちゃんのケアだけしておこう。
だが、彼女はいなかった。
トイレかしら。
「前略。小春です」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! いつの間に俺の背中を取ったの!? 心臓止まる!!」
瞬間移動をキメた小春ちゃんは乾いた笑いと共に囁く。
「……ははっ。私、海藻になろうかなって。なり方、教えてもらえます?」
「俺、海藻じゃねぇんだけど。……おう。とりあえず、やってみようか。まずは俗世から興味を失くす。そこがスタートだ」
ひとまず、マリーの会がやっとプールサイドに揃った。
◆◇◆◇◆◇◆◇
新菜がやらかしてくれた。
だが、同時に指導役を俺が単独で引き受けなくて済むのは大変な僥倖。
「とりあえず、みんなに泳いでもらうのは? 泳げないって言っても、個人差あるっしょ?」
「そうだな。お前、マジでもう体調崩すなよ」
「あらやだ! 秀亀ぃ! わたしのこと好きすぎじゃん?」
「失って分かるぼっち警察のありがたみは再認識した。これを愛と呼ぶなら、そうなのかもな。ほぐぁ!?」
マリーさんさ。
普通に腹パンするのヤメて?
「ふーんだ!! おじさんの腹筋なら、マリーパンチくらいよゆーでしょ!! なに愛を囁いてるんですかぁ!! このマリー・フォン・フランソワが! 1番に泳ごうと言っているのです!! 刮目してよーく網膜に焼きつけといてください!! たかがプールひとつ! マリーさんが押し返してやりますよー!!」
「はいはい。悪かった。マリーさんだけ見てるよ。どうぞ?」
マリーさん、「んふふー」とにんまり笑みを浮かべて、ブールへダイブ。
いきなり飛び込むとか、怖いって言いながらも度胸はあるんだよな。
で、どう?
なんか浮いてるけど、水はそんなに怖くなかっただろ?
マリーさん? まりっぺ?
「うぉぉぉらぁぁぁぁぁぁ!!」
「なんて速さっすか……! あれが海藻類の王者、ヒジキさんの泳力……!!」
海王類みてぇに言うな!
まりっぺが初撃で腹を強打して浮かんでるんだよ!!
ライフセーバーのバイトしたことあって良かった。
マリーさんをゲットして、プールサイドに担いで戻る。
「ふぐぅぅぅ。お腹痛いですよぉ……。水ってあんなにサラサラしてるのに、なんでこんな衝撃がぁ……?」
その現象について説明し始めると長いから、帰ったら教えてあげるよ。
頼むから、もう無茶しないでくれ。
マリーさんの安否を確認してから、ホッと一息。
すぐにプールでバチャンとぶさいくな音が響いた。
「小松さん! こはるるーさんが! もえもえの制止を振り切って逝きました!!」
「見事なダイブトゥブルーっすね。こはるるーさん」
無許可で逝くなよ!!
ああ! 浮いてる!!
すぐにプールへ飛び込む。
小春ちゃんをゲット。まりっぺより軽くて運びやすいからいいね。
「あ、あぅぅぅ……。秀亀さん。お腹が痛かったですぅ……」
「小春ちゃん! 何してんの!?」
「ま、マリーちゃんとは親友なので……。いつも対等でいたいなって……」
「アホにならなくていいんだよ!? 泳げねぇヤツがプールで無茶するとマジで危ないから!! もう本当にヤメて!?」
この流れはもう分かる。
高校三年生バカコンビも飛び込むだろ!!
「新菜! 止めろ!!」
「ふっはっはー! 手遅れだぜー!! 秀亀、どっち助ける? もえもえの方が重そうだから、わたしレアぴっぴで!!」
「ああ! ちくしょう!!」
新菜と俺がプールに飛び込んだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
プールサイドに並んだ、お腹を押さえたお嬢様たち。
今日の魚河岸に揚がったのは、活きのいいアホの子ばかりだね。
「よし! 全員、聞け!! 今後、俺の許可なくプールに入るな!! 約束を守れないヤツは、個室に閉じ込めるからな!!」
誰かが「やらしー」とか「へんたーい」とかツッコミしてくれるのかしらと少し待ったが、ただ弱々しい「は、はーい」という返事のユニゾンが響いただけだった。
水って怖いんだぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます