第5話 異世界へようこそ(3)


◇第五話  異世界ヴェルスタニアへようこそ(3)



 



 とりあえず副社長さんには馬車の外へ出てもらい、幌の内側からカーテンを閉め、外からは見えないようにしてリングコスチュームに着替えました。


 わたしは旧スクール水着型のリングコスチュームで、紺一色で地味なのですが、見にきてくれるお客さんたちには好評でした。こっちの世界でも、地味なのが良いと言ってくれるお客さんがいてくれれば良いのだけど、せめてもうちょっと凹凸があればなぁ……でも、まだ成長途中なので、うん、きっと、これからなのです……。


 アカネちゃんは細身だけど筋肉が付いてて、引き締まったお腹や腕が力強くてカッコイイです! コスチュームはセパレートタイプ。トップスはスポブラで、イメージカラーは赤やオレンジ、黒を基調にした炎の雰囲気がアカネちゃんらしくて決まってます!


 ラトさんは、虎縞模様のトップスと短パンスタイルで、イメージは虎。 お胸が……ワガママ過ぎて、危険なのです。普段フワッとしてるイメージのラトさんが、コスチュームを着て闘う虎に変身しちゃいます!


 千葉さんは、わたし憧れの完璧ボディーに、白に金をプラスしたイメージカラーで、クールでゴージャスです! セパレートで見えるおへそも美しいのです。左脚だけニーソックスでアシンメトリーなスタイルは、全部が完璧だからこその敢えてのアンバランスなのです!!

 艶のある長い金髪に透き通る白い肌、見惚れてしまいます……はぅぅ

 

「な〜に釘付けになってんだよ。 お前、千葉さんのこと変な目で見てんじゃないだろーな? フクのこと言えねーなぁ」

「そ、そんなんじゃないですのだ!」


 アカネちゃんが揶揄うように耳打ちするので、わたしは慌てて否定したものの、自分でも顔が火照っていくのが分かります。

 

「あっはっはっは、のの、顔真っ赤だぞ! ま、ちょっと分かるけどな。実際千葉さんは力だけじゃなくて華があるってゆーかホントすげーよ」

「わかる、わかるで〜、同じ人間とは思えへんもん」


 ……いいえラトさん、そこはアナタも人外だと思うのです、はい。

 

「なんだお前たち、人の方見てコソコソと」

「あ、えっと、千葉さんが素敵だな〜ってみんなで言ってたんです」

「・・・っな、ば、おだてるな」

「お〜、千葉さんが照れるなんて珍しいスね〜」

「ホンマや、顔、赤ぅなっとる」

「う、うるさい! ほら、着替えたらさっさと行くぞ!」


 ……みんなから褒められて照れてる千葉さんも可愛いのです♪



 


 

「よし、それじゃもう一度ステータスを開いてくれ。前回と違って、コスチュームを装備した数値が新しくプラスされてるのが分かるはずだ」

「あ、本当だ、さっきよりずっと体力とかの数値が高いです!」

「HPと防御値が全員、桁違いに高くなってるのは、対魔物戦を踏まえての女神様の配慮だ」



――――――――{ステータスウィンドウ}―――――――――――――――――――――――

【野々原のの】 [年齢:16才] [種族:人間/女性] [出身:地球] [職業:格闘家]

[称号]《のの》《常敗の妖精》

 

ー基本能力値ー(装備+)

 HP 48(+500) MP 48

 [ 力 ]12(+40)  [攻 撃]18(+50)

 [素早さ]24(+30)   [防 御]66(+400)

 [知 能]68     [技 巧]28(+10)

 [精 神]81 [幸 運]31(+30)

 

ー生活魔法ー

 [着火][湧水][微風][耕耘][清潔]


ーギフトー

 [ヴェルスタニア言語]

 [早着替え ex]

 [アイテムボックス]

 

ースキルー

 《生 活》(ジャージ類装備限定)

      [調理 ex]

 

 《戦 闘》(コスチューム装備限定)

      [鉄壁][▲不撓不屈]


 ー必殺技ー(装備+100)

  [ジャンピング・ピーチプレス]

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 


――――――――{ステータスウィンドウ}―――――――――――――――――――――――

【秋空茜】 [年齢:18才] [種族:人間/女性] [出身:地球] [職業:格闘家]

[称号]《AKANE》《 紅のダイナマイト》《バーニング・クラッシャー》

 

ー基本能力値ー(装備+)

 HP 68(+500) MP 42

 [ 力 ]48(+60)  [攻 撃]52(+60)

 [素早さ]33(+30)   [防 御]44(+300)

 [知 能]35     [技 巧]37(+10)

 [精 神]57 [幸 運]19(+30)

 

ー生活魔法ー

 [着火][湧水][微風][耕耘][清潔]


ーギフトー

 [ヴェルスタニア言語]

 [早着替え ex]

 [アイテムボックス]

 

ースキルー

 《生 活》(ジャージ類装備限定)

      [解体 ex]

 

 《戦 闘》(コスチューム装備限定)

      [必中][▲爆心招来]


ー必殺技ー(装備+100)

 [必殺AKANEラリアット][翔激AKANEドロップキック]

 [翔転AKANEドロップインパクト][閃滅AKANEボマイェ]

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 


――――――――{ステータスウィンドウ}―――――――――――――――――――――――

【大河らと】 [年齢:19才] [種族:人間/女性] [出身:地球] [職業:格闘家]

[称号]《タイガー・ラト》《サブミッションの虎》《浪速のたこ焼き娘》《ジャベの阪Qうめだ店》

 

ー基本能力値ー(装備+)

 HP 63(+500) MP 49

 [ 力 ]38(+40)  [攻 撃]36(+50)

 [素早さ]24(+30)   [防 御]52(+300)

 [知 能]74     [技 巧]72(+60)

 [精 神]41 [幸 運]26(+30)

 

ー生活魔法ー

 [着火][湧水][微風][耕耘][清潔]


ーギフトー

 [ヴェルスタニア言語]

 [早着替え ex]

 [アイテムボックス]

 

ースキルー

 《生 活》(ジャージ類装備限定)

      [御者][クラフト ex]

 

 《戦 闘》(コスチューム装備限定)

      [軟体][▲行雲流水] 

 

ー必殺技ー(装備+100)

 [タイガースクリュー][虎〜すキック]

 [たこ焼きローリングクレイドル][通天閣ブリッジ]

 [食い倒れスピアー][道頓堀ダイブ]

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 


――――――――{ステータスウィンドウ}―――――――――――――――――――――

【千葉英玲奈】 [年齢:21才] [種族:人間/女性] [出身:地球] [職業:格闘家]

[称号]《エレガンス千葉》《金色こんじき戦乙女バルキュリア》《Queen of the Wrestling》《一人CVW》

 

 ー基本能力値ー(装備+)

 HP 74(+500) MP 52

 [ 力 ]40(+55)  [攻 撃]47(+50)

 [素早さ]49(+65)   [防 御]64(+320)

 [知 能]82     [技 巧]68(+30)

 [精 神]70 [幸 運]30(+30)

 

ー生活魔法ー

 [着火][湧水][微風][耕耘][清潔]


ーギフトー

 [ヴェルスタニア言語]

 [早着替え ex]

 [アイテムボックス]

 

ースキルー

 《生 活》(ジャージ類装備限定)

      [サバイバル ex]

 

 《戦 闘》(コスチューム装備限定)

      [受け流し][カウンター][強打]

      [▲明鏡止水][▲戦乙女の紋章 ex] 

 

ー必殺技ー(装備+100)

 [バタフライフロウ][エレガンス・スタースプラッシュ][ソードランナー]

 [エレガンスソバット]

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「生活魔法はMPを消費して発動する。スキルはそれに見合った装備でなら、MP関係なく使用できる」

 

 ちなみに副社長さんによると、この世界の一般的な成人の数値は50程度だそうです。冒険者でも70〜80あれば一流とのことです。

 

「おぉ、てことはパワー値の合計100以上ある、あたしツェエエエーー!!」


 アカネちゃんは、やっぱりその個性の通り、パワーがより強化されてて、長所を伸ばす加護が付いてるみたいです。


「ウチは技巧値がえろう伸びとるな〜」


 ラトさんは関節技が得意なので、技巧の数値が特に高くなってるみたい。


「私は、スピードとパワーを中心に、全体的に上がってる感じだな」


 千葉さんはさすが、って感じで全体的に高いです。これもう勇者です。

 

 

「のの、ちょい見してみ? ……へぇ〜、精神値高いな! まぁ根性はあるからな、ののは。……ぶ、パワーすくなっ!」

「笑わないでよもぉ〜、これから頑張るんだから!」

「アカネは知能低いやん」

「おいこらラト! ツッコんでいいトコと悪いトコがあるやろがい! そんなん自分でも分かってるわ!」

「自覚はあるのか……」

「ちょ、千葉さんまで言うんスか?……」

「あはは、冗談だ。お前はその元気が取り柄だからな」

「……なんか、ますますアホの子みたいじゃないスか……」

「ほらアカネちゃん見て! わたしなんか他にも低い数値がいっぱいだよ! でもこれから一生懸命頑張って上げていくから、一緒に頑張ろう!」

「ののに慰められるのは何かちょっとなぁ」

「アカネちゃん〜〜! ひどいよぉ〜〜!」

「あっはっはっは!悪りぃ悪りぃ」


 みんなで冗談を言い合っていると、いつもの日常みたいで、ちょっと不安だった気持ちも和んできました。


「副社長はん、この四人なかにヒール使えるのおらんけど、大丈夫なん?」

「ああ、それはオレの役割だから心配するな」

「フクできんの? なんか心配だな〜」

「アカネ、そんなこと言ってると、オマエにゃかけてやらんぞ」

「だぁ〜〜! 冗談だよ冗談、フクちゃん〜」


 三人のやり取りを見てて思わず笑ってしまいましたが、千葉さんが怪訝そうな顔をしています。


「千葉さん……?」

「分からないんだが、何で副社長が悪役ヒールなんだ? そもそもプロレスできるのか?……」

「あ、千葉さんそれヒール違いっス! 悪役じゃなくて、回復役っス! ファンタジー用語っス」


 ファンタジー世界では、ヒールといえば回復、それを使う人をヒーラーというのはお約束なのですが、プロレス漬けの千葉さんからすれば、ヒールといえば悪役、悪役といえばヒールなのです。


「そういうことか、確かに怪我した時に回復して貰えるのは心強いな。よろしく頼むぞ副社長」

「おう、任せとけ。例えば腕の一本や二本吹き飛んでも……」

「……ええっ!?」

「マジかよフク! そこまでできんのか、スゲーなオマエ!」

「……スマン、ちょっと盛った。というのは置いといて、多少の傷は治してやるから、まぁ心配するな」

「ぇえ〜……」


 ともあれ、副社長さんが回復してくれるみたいなので一安心……なのでしょうか……でも、腕の一本や二本って……

 

「ところでさぁフクちゃん、この戦闘スキルの[ばくしんしょうらい]?って、よく見ると三角マーク付いてるのは何でだ?」

「それは、戦ってる時に、ある条件を満たしたら発動する何かのスキルで、今は発動できないってことだな」

「何かってなんだよフクー?」

「フッ……それはその時になってみないとオレにも分からん」

「んだよ使えねぇーなぁ」

「ま、お楽しみにとっとけってことだ」

「い、いいのかそれで?……いざという時に自分のチカラを把握してないのはマズくないか?」

「今回オマエらが授かった能力は女神様の特例で、その時の必要に応じて後から増えたりする事もある。だから、そんなのがあったな〜程度に覚えとけばいいんだ。それよりも今、分かっているものをキチンと使いこなせるようにする方が遥かに大事だ」

「……確かにな、その通りだ副社長」

「フク、もっともらしく言うようになったな〜」

「アカネ、副社長はんは、ついさっき喋るようになったばっかやん」

「あ、そうだよアカネちゃん、もう既に当たり前になっててわたしも忘れてたけど……」

「……まぁコマけーこたぁいんだよ! な、フク!」

「オマエは毎度テキトー言いおってからに……」

「何はともあれ、貰ったチカラに早く慣れるためにも、今から特訓だ!」

「うげっ 今から、スかぁ……」

「アカネ、ののに負けないように数値を上げなければな!」

「うぇ〜ちょっと千葉さんもぉ勘弁して……」


 また笑い合うみんななのでした。



 

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