ヘクソカズラ・ハキダメギク(1)


 日差しが熱い。今日も暑いというより熱いと表現できるような気温だ。カッコつけてカーディガン羽織ろうかな、とか思っていたけどやめて正解だったな。私はお気に入りの落ち着いたシックな黒色のスカートと白いブラウスを着て、道を歩いていた。この道を通るのは一週間ぶりなのになぜかそんな気がしなかった。風が軽く吹いたので、私は軽く麦わら帽子のつばを抑える。風が吹いてもじっとりした熱気を運んでくるだけなので見た目ほどさわやかなものではなかったが。

 

 そうこうしていると目的地が見えてきた。前回は気づかなかったがその店は結構わかりにくいところにあった。これでお客さん来るのかな?余計な心配ともいえることを思いながら私はドアを押した。


 カランカラン。


 ベルが鳴り響いた。奥の方で作業していたらしい人影がこちらを向き、笑顔を向けた。


「こんにちは。花崎さん。お元気そうで何よりです」


 微妙に心がこもっていなさそうな言葉が聞こえた。最初に聞いたら気分を悪くしそうなものだが、この間の訪問で慣れた。


「こんにちは。また来ましたよ。緑川店長」


 そう言って私は微笑んだ。


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