第417話 信用

 それから、俺は三人に対して、俺の正体の全てを話していく。

 最初は隠すべきことは隠そうかな、と思っていた。

 どこが隠すべきかと言えば、俺が死ぬことになった原因の詳細だな。

 と言ってもサラッと流す程度で終わらせれば不自然ではないし、それでいいかなと。

 何せ、この部分はいろいろな意味で重要だからだ。

 俺が今目標としている復讐にも繋がるし、またこの場にいる重蔵にとっては不名誉な話だ。

 あくまで俺が北御門尊であることが伝わればいいだけだし、だから黙っていようかなと。

 だが、最終的には全て話すことにした。

 蘭たち三人は、聞いても漏らすまいということ、それに重蔵の不名誉については、しっかりと妖魔に操られていたことを伝えればそれで問題ないだろうからだ。

 呪術師は特にそういった手練手管に詳しいというのもあって、何かしら情報を今後得られないかな、という考えもあった

 気術士はどうにも、人の心をうまく操って……とかそういうことが苦手だ。

 敵は叩き潰せばいいとどこかで皆、思っているところがある。

 一番顕著なのは東雲家だが、他の四大家も多かれ少なかれ同じだ。

 だからこそ、全ての妖魔を打ち滅ぼせ、が使命になる。

 呪術師はそういう意味では現実的というか、ある種、うまくやっているのだよな。

 

 それで、俺の話を全部聞き終えた三人は、どこか放心しているように見えた。

 それも当然で、今まで常識とされていたこと、その全てが崩れ落ちたのだからな。

 しばらく受け入れられなくても普通だ。

 だから、信じないと言われても、それはしかたながないと思っていたのだが……。


「……信じます」


 そう言ったのは、蘭だった。

 これに紫乃も頷く。

 椛についてはほとんど自分で答えに達していたから特に驚きはないようだ。

 ただ、あまりにも酷い経緯だったために、なんとも言えずに考え込んでいたのかもしれない。


 俺は、信じると言った蘭に尋ねる。


「よろしいのですか? あまりにも怪しい話に聞こえたかと思いますが」


「それは……確かにそうです。ですけど、他の証拠がなければの話です」


「他の証拠?」


「一つは、貴方様の強大な力です。我々を若返らせ、重蔵様と剣で互角に打ち合い、さらには大妖すら圧倒してしまったその実力。そんなものは、普通に考えて十六、七の若者が持ち得るものではありません。転生したと言われた方が、まだ納得がいくというものです」


 それは確かにそうかもな。

 ただそれで言うと咲耶と龍輝の実力は少し馬鹿げたところまで来ているのだが、この二人は記憶を残しての転生などしていない。

 普通の輪廻転生は、この世の生きとし生けるものは皆しているんだろうから、転生していないとまでは言わないが。


「なるほど。他には?」


「そこにおられる重蔵様ですよ。貴方様のお話を聞きながら、全く否定なさらなかった。それどころか、貴方様が亡くなられた段の話を聞いている最中は、本当に辛そうでした……本当にあったことだろう、と確信できましたよ」

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