第299話 相談

「……で、俺たちも参加するって訳か」


 うち……つまりは高森家の俺の部屋で、龍輝がそう言った。

 他にもう一人、咲耶もいる。

 いや、もう一匹プラスするなら澪もいるな。

 ちなみに淡月は家事をしているのでいない。

 あいつはうちに完全に馴染んでしまっている。

 テーブルの上にある茶菓子とお茶ははあいつが手ずから拵えてくれたものだ。


「そうそう。まぁ俺たちは生徒側と言うより、四大家の人間として参加する予定だが……」


「お祖母様がそのように手配してくれました。生徒会の皆さんの参加についても問題ないということです。もちろん命の保障は無い、ということでしたが」


「会長達その条件で参加するのか……意外に勇気あったんだな」


 龍輝が驚いて言う。


「ファーストコンタクトが悪かっただけで、基本的には善良なタイプだと思うぞ、あの人達は。副会長はまだ何か思うところがあるっぽいけど、会長はさっぱりしたもんだ」


「あの人はこう、猪突猛進系というか、誰か止めないと突っ込んでいきそうな人だもんな。ああいう副会長みたいなのがいた方がいいだろ」


「なるほど、確かにそうかもな」


「で、警護に参加っていうけど具体的には?」


 龍輝がそう言ったので、これについては咲耶が答える。

 基本的には美智が指示を出し、咲耶に伝えて、それを俺たちが、という流れなのでそうなるわけだ。

 実際には俺は美智から直接聞いてるわけだが、だからといって俺が先頭に立つつもりはない。

 咲耶の経験のためにも、彼女が前に立ってる方がいいしな。

 もちろん、イレギュラーがあれば俺が率先して解決するが、咲耶になんとか出来そうならそっちが優先になるな。


「まず、警護する、といってもいつ彼らが来るのかは分かりませんからね。交代制で見張る感じになります」


「あぁ、なるほど。そりゃそうだよな。そこで四大家の人材を多く投入する訳か」


「そういうことですね。その中の一人として、私たちも参加します」


「しかしそうなると、実際には俺たちが遭遇するまでもなく、他の誰かが解決してしまいそうだな」


「ありえる可能性ですね。ただ、学校内に外部の人間……特に邪術士が入った場合には分かるように結界を張ります」


「……そんな大規模なの、可能なのか? いや、学校には色々と設備があるから既にあるものを利用するってことか」


「いいえ。これに関しては……」


 と言って俺を見たので、これについては俺が言う。


「俺が張るんだよ。まぁ、学校を覆うくらいの結界なら、問題ないだろ」


 すると龍輝は納得したように、


「そういうことか。まぁ普通の気術士にゃ、かなりの儀式なんかしない限り、まず無理な規模だしな……それを一人で張ってしまうのか」


「一応、澪にも協力して貰うからな。俺も一人でやるわけじゃないさ」


 そう言うと、空中に浮いて漫画を読んでいた澪が、


「うむ、そうじゃぞ」


 と言う。

 やろうと思えば別に一人でも出来るのだが、後々誰かに何かを聞かれると面倒くさいからな。

 聖獣たる龍の助力を得ました、と言えば大体通るからそうすることにした。

 加えて、彼女には今回、俺たちの間だけだが、遠距離通信役も担って貰うつもりだ。

 俺も手が離せないような場合があるかもしれないからな。

 後方担当ということだな。


「澪様か……いっそ澪様にも戦って貰った方が早いんじゃ無いか?」


 龍輝がそう言うが、澪は、


「邪術士はいやなんじゃ。前も苦しんだのは邪術系の呪いじゃったからのう」


「あぁ、それがありましたか……」


「やれないわけではないぞ? じゃが、わしが暴れ回ると建物を壊す可能性もあるからの」


「そう言う危険があるなら生徒として勘弁して欲しいところです……」


「じゃろ? ま、じゃかあ今回はわしは後ろで大人しくしておるよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る