第243話 一応の解決へ
「あぁ、その辺については後で説明するよ」
「そうですか……あぁ、そういえば、後ろの二人の方も話されて大丈夫ですよ」
「ん……?」
紅宮さんと淳君のことだが、考えてみると俺と淡月が話している間、途中からほとんど口を挟まなかったな。
なぜだ?
そう思って首を傾げると、淡月が言った。
「私の力に
「そうなのか? その割に妖気とか感じなかったが」
「私たちの種族の固有能力なので、妖気はあまり関係がなく……これで解除できているはずです」
淡月がそう言うと、二人ともはっとした様子で、
「……ん? なんだ? 何が……」
「……何の話してたっけ?」
そう言ってきょろきょろしている。
本当に半ば気を失っているような状態になっていたらしい。
これは怖いな。
俺でも気付けなかった。
自分がかかってればまた気づくタイミングもあったかもしれないが……。
「二人とも、こいつの能力に中てられていたらしい。大丈夫か?」
そう尋ねると、まず紅宮さんが、
「途中までは覚えてるんだが……一体どこから……? っていうか、今どうなってるんだ?」
と尋ねてきたので俺は答える。
「まぁ色々ありまして。こいつは俺の仲間になりました」
「あぁ……? えぇ、おい、嘘だろ?」
「本当です」
「大丈夫なのか……?」
「一応、絶対服従になってるので、人に危害を加えることは無いです」
「……そうか、まぁお前が言うなら、そうなんだろうな……」
紅宮さんは呆れたような表情ながら、一応納得したようにそう言った。
それから、淳君が、
「妖魔を従えるなんて……確かにそういう技術を持っている家もあるけど、中級妖魔以上だとまず無理って言われてるよ……」
「そうなんだな? だが出来ているものは出来てるし……」
「……まぁ君に常識を言っても仕方が無いか。じゃあこれで今回の事件は一件落着?」
「そういうことになるかな。後は俺が生徒会に報告すれば終わりか。あぁ、紅宮さんの方は……」
「《裏課》の方の報告は私がやっとくよ。課長に報告書あげればいいだけだからな。まぁ、もしかしたら武尊を警視庁に呼ぶこともあるかもしれねぇが、その時はただ話を聞きたいってだけになるはずだ」
「なら、お願いします。さて、そろそろ現世に戻るか……淡月、この《妖魔の庭》ってどうなるんだ?」
今後どうしていくつもりなのか気になって尋ねると、淡月は言う。
「そうですね、許されるのでしたら主の家近くに座標を移して、そこから移動できるようにしたいと思いますが。門番のようなことも出来ると思いますし、便利ですよ?」
「そうか。じゃあそうしてくれ。というか、気づいたけどいつの間にか随分と丁寧なしゃべり方してるな」
「契約を結んだら、貴方の力の大きさを理解しましたのでね。ここまで隔絶しているとは想像してませんでした……貴方になら、心から従いましょう」
「別に無理はしなくていいんだぞ?」
「無理なんて……ですけど、もしよろしければ、そのうち私の目的にも力を貸してくれますか?」
「あぁ、お前の、というかお前の種族の、か。別に人に害を及ぼすものではない、あれだよな?」
「ええ、そうです。私個人でも挑戦するつもりですが……主に力を借りた方が早そうなので」
「まぁ、いいだろう。いつになるかは分からないが」
「そのうちでいいですよ。私に寿命はありませんから」
「それもそうか」
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