ツカサ

 ツカサに予約を入れ会う日時も決めて以来、日にちが近づくにつれ美奈子はソワソワし始めていた。

 最近は家と店の往復、休みの日には母に付き添って家と福祉センターや病院、もしくは公園での散歩が主な行動範囲だった。仕事終わりに会うとはいえ、身嗜みはきちんとしておきたい。久しぶりに髪を切った方が良いか、服装はどんなのがいいか…考えたらきりが無いが、今はそんな事を考える時間も楽しかった。

 予約を入れて以来、時々ツカサからDMも届くようになり、仕事終わりに返信をするのも密かな楽しみになっている。

 そして嬉しい事に最近は母がパニックを起こす頻度が少なくなり、仕事中に電話がかかってくる事は殆ど無い。願わくばこのまま安定していて欲しい。



『レナさん、明日はよろしくお願い致します。

お仕事終わりでお疲れでしょうが、気をつけて向かってくださいね。

服装ですが、僕は白いブラウスに濃紺の上着で行く予定です』


 いよいよ明日ツカサに会う。ツカサから約束通り明日の服装のDMが届き、一気に緊張が高まってきた。別に身構える必要など無いのは分かっているが、  TwitterやDMでしか絡んだ事が無く、人物像を想像したくても写メ日記には首から下を写したスーツ姿やカバンの写真と出勤日程が載っているだけで、今人物像を探れるのはやり取りをしているDMしか無かった。とはいえ、明日会えば全て分かる事だ。


 朝になり、最近調子が良い母は台所で食事の支度をしていた。変な緊張でなかなか寝付けなかった美奈子が母に挨拶をすると、嬉しいそうに挨拶を交わしてくれた。良かった。今日も機嫌と体調は良いようだ。


「お母さん、今日仕事終わった後…」


 美奈子は遠慮がちに言葉を発っした。


「あぁ、確か会社の人と食事に行くって言ってたわよね。冷蔵庫のメモにも書いてあったし」

「お母さん、夜一人で大丈夫?」

「大丈夫よ〜!今日は福祉センターで手芸の教室もあるし、川崎さんにも美奈ちゃんが夜出かける事は伝えておくし、何かあったらスタッフさんに連絡するから」


 ハキハキと話す姿は以前の母と何ら変わらない。この姿がずっと続いて欲しいと願いながら、美奈子の心には罪悪感もあった。

 母には吉原でソープ嬢として働いている事を隠し、会社務めをしていると言っている。

その嘘だけでも後ろめたさがあるのに、今日はもう一つ嘘をついた。

 会うのは会社の人間ではなく、『セラピスト』だ。 

 笑顔で見送ってくれる母の姿がいつもなら嬉しいはずなのに、今日は美奈子の胸を締め付けた。


『お母さん、嘘ついてごめんなさい!』


 見送る母の笑顔に向かって気持ちの中で叫んだ。


 自分はこれから吉原の『エデン』に出勤し、男性の欲望を受け入れる。それが終われば今日は池袋で予約した女性用風俗店『Ciel』のセラピスト・ツカサと初めて会うのだ。

 空はどこまでも青く澄んでいるのに、美奈子の心には正反対の霧雲で覆われていた。



 ツカサと会う約束の時間は16:30。今日は朝から事前予約が2名入っており、14:00を過ぎてからは時間が出来る。スタッフにお願いし、今日は予約が入っていない14:00で終了してもらった。


 最後のお客見送り、部屋の片付けをしながらシャワーを浴びた。

髪を乾かし、メイクを直す。仕事以外の事でこんなにしっかりメイクするのも久しぶりだ。家から持参したワンピースに着替え、髪を軽くセットする。美容院に行こうか迷ったが忙しくて結局行けなかった。

 本当の彼氏ではない、お金を払って会うセラピストの為にここまでするなんて…冷静に考えたら可笑しい事をしている。でもレナはこの瞬間が楽しかった。


 1階の従業員専用入口で靴を履き替えていると、一仕事終えたエレナと会った。


「レナちゃん、何だか今日気合い入ってるね〜。もしかしてぇ〜」


 エレナはいつもと違うレナの姿を見るなり、楽しそうに眺めてきた。


「はい、実は…そうです」


 女風を教えてくれたエレナに嘘を言っても意味がない。


「楽しんできてね!報告待ってるよ〜」


 そう言ってエレナは嬉しそうに送り出してくれた。エレナもお気に入りのセラピストに会う時、こんな高揚した気分になったのだろうか。



 調度池袋駅行きのバスがあったので、バスで池袋駅に向かう事にした。終点まで乗りっぱなしなので車窓から見える街並みをただ眺めているだけで楽しい。

 バスに揺られながら、今日会えるツカサの事を考える。どんな話をしよう。どんな事を話してくれるだろう。想像通りの優しい人だろうか、それとも…。


 池袋駅は平日にも関わらず人が多く行き交っていた。

 バスを降りてスマホを見ると15:45とあった。ツカサとの待ち合わせ時間までまだ余裕がある。西武百貨店内の化粧室でメイクを直し、久しぶりに店内を見て回った。

 季節物の洋服や靴が並べられ、見ているだけで楽しかった。

 OL時代はよく同僚とショッピングをし、一通り見終わるとお茶を飲みながら話に花が咲いていた。こうして1人で歩いているだけでとてもリラックスが出来るし、たまにはこういうのも良いものだ。


 待ち合わせ時間の10分前になり、待ち合わせ場所である『いけふくろう像』の周辺は流石に待ち合わせスポットという事もあり、沢山の人がいた。ここで待っていればツカサがやって来るはずだ。

 事前に約束の1時間前になると、ツカサの在籍店『Ciel事務局』から「本日はよろしくお願いいたします」とメールがきていた。

 急かしたくなかったが、一応ツカサにもDMで『今待ち合わせ場所に着きました。私は黒のワンピースに、白のロングコートで、ベージュのカバンを持っています』と連絡を入れておく。



「レナさん…ですか?」


 声をかけられ顔を上げると、白いワイシャツに濃紺の上着を着てボストンバッグを持った男性が立っていた。ツカサだ。

 写真ではモザイクがかかっていたので、顔を想像するのは難しかったが、見た感じダンディではあるが大人な雰囲気で、体格は中肉中背といったところだろうか。第2ボタンまで外された白いワイシャツからのぞく肌からどことなく色気を感じる。


「はい、レナです」

「良かった。無事に会えましたね」


 その声は低めだが落ち着きがある。


「今日は…よろしくお願いします」


 挨拶を終え、女性用風俗が初めてのレナは言葉に迷ったが、ツカサは気にする事もなく、ごく自然にレナの手を取り歩き出した。


「もしかして、かなり待ちました?」

「いえ、あまり待ちませんでした」

「池袋にはよくいらっしゃるんですか?」

「昔よく友達と来ていて、今日は久しぶりです」


 ツカサのしっかりしていて柔らかい手は握っていて気持ちがいい。レナに合わせて歩きながらツカサはごく自然な会話を振ってくれた。

 特に行き先を決めていなかったが、池袋の西口を出て少し行った所にドーナツ店があり、そこでお茶をすることにした。

 平日の店内は人も少なく、2人で座って話すには良い場所だ。

 レナはアイスティーとチョコドーナツ。ツカサはアイスウーロン茶とハーフチョコドーナツをそれぞれ選んだ。

 席に着いて改めてお互いの顔を見合わせると、初対面のせいか何だか変に照れてしまう。


「良かった、優しそうな方で」


 口を開いたのはツカサだった。


「え?」

「どんな方かなって、ずっと想像していたんです」

「どんな風に想像していたんですか?」

「ハッキリ、こう!という感じではなく、何て言ったらいいんだろうなぁ。ほんわかした雰囲気の方かなって思ったんです」

「へぇ。で、実際はどうですか?」

「ほんわかしているのは想像通りでしたが、安定感のある優しいそうな方だなと」


 嘘でも嬉しかった。

 こういった職種はまず客の気持ちを掴めるか否かにかかっている。

 レナにも経験があるが、会った時の第一印象とその後の会話の内容次第でお客との心の距離感が近くなったり、遠ざかってしまう事だってある。また、変に浮ついた台詞を並べてしまうと嘘っぽく聞こえるし、心がこもっていれば真実味を帯びてくるので、それらに注意しないとその後の接し方にも関わってきてしまうから、言葉選びには慎重になる。

 ツカサは無理して言葉を並べようとせず、しっかりレナの目を見ながら自分の言葉で話してくれた。その柔らかな眼差しにレナはさっきまでの緊張と気持ちの何処かにあった警戒心が少しずつ解れていくのを感じていた。


「ツカサさんを想像するのは難しかったです。写メ日記やTwitterでも顔出ししていないし、ツカサさんを知るルーツが無くて」

「そうですよね。事務局からももっと写メ日記やTwitterの内容を頑張れと言われてしまって。でも正直、何を書いていいか分からないんですよ。今セラピストをしていますが、普段は会社員なので。撮る写真も自撮りとか上手く出来ないのと身バレ防止のために顔出しは出来ないから、スーツ姿で首から下の写真を撮るのが精一杯でして」


 今目の前にいるセラピスト・ツカサが普段は会社員。

 今の服装にネクタイ姿を想像してみたが、しっかり型にはまるようでまはらない。もし普段のツカサと街中で偶然出くわしたら、果たして気付けるだろうか。


「写メ日記は確かにネタや写真も悩みますよね。私も顔出しはしていませんが、文章だけだと硬い感じになるし、写真を付けようにもなかなか良いのが無かったり」

「レナさんは、大変だと思います。写真によっては下着姿で撮ったりもするんでしょ。いくらモザイクを掛けていても、自分の下着姿が見ず知らずの人の目に晒されたりするのって嫌じゃないですか?」

「そうですね。そう思っていたのは最初だけでした。そうして遠慮していても何もならないし、お金を稼ぐためにはお客さんを呼ばなくちゃいけないし」

「凄いな、レナさんは。僕はまだ覚悟が足りていないのかもしれませんね」

 

 少し偉そうな事を言ってしまったと後悔したが、ツカサは気を悪くする事もなくアイスウーロン茶を飲みながらレナに質問を続けた。


「レナさんは、どうして今の仕事を?」


 よく訊かれる質問だ。

 今まで常連客だけでなく、初めての客からも会話のきっかになるのかよく同じ質問をされた。


「すみません。人には色々事情があるでしょうし、無理に答えなくても…」

「母と一緒に暮らしていくためです」


 ツカサの言葉を遮るように答えたレナに、ツカサは「え?」と声が出てしまった。


「私の母は認知症で、今は感情に波があるものの元気で普通にしていますがいつ症状が進行してしまうか分からない状態で…」


 隠す必要もなかったし、これは今まで訊かれたら話してきた事だ。


「私は以前、事務職をしていました。父は私が小さい時に交通事故で亡くなったのでずっと母と2人暮らしなんです。最初は事務職と母のケアを何とか両立出来ると思っていたんですが、母が夜中泣いてパニックになったりして睡眠時間もままならなくなったり、仕事中にパニックになって電話がかかってきて早退も何度か…上司や同僚にも相談して、最初は理解してもらってたんですけど、その内仕事に支障が出るようになっちゃって。それで時間に自由が効く今の仕事に変えたんです」


 ツカサはレナの目をしっかり見つめながら話を最後まで聞いてくれていた。

 正直、今まで自分のお客には「母が認知症なのでサポートをする為」と簡略化して話しており、ここまで詳しく話した事は無かった。


「そうだったんですか。大変だったんですね。立ち入った事ですが、お仕事中お母様は誰かが見ているんですか?」

「カウンセラーから紹介してもらった福祉センターがあって、その中に認知症サークルもあるので、そこに参加していますし、私が休みの日以外は大抵福祉センターの方がみてくれています。とはいえ、もし何があったら連絡は来ますけど」


 ふと母の顔が浮かんだ。

 ツカサに会う前、母も忘れていなければ伝えているだろうが、念の為福祉センターの川崎に連絡を入れた。電話口の川崎は、母から今日美奈子が出かける事は聞いていたらしい。会話の終わりに「ゆっくり楽しんできてくださいね」と言ってくれた川崎に、申し訳ない気持ちはあったが、今はその言葉を有り難く受け止めたかった。

 今頃母は手芸教室に参加している頃だろう。以前スタッフから認知症の人の中には何かに集中している時は物忘れもパニックも起きないらしい。母も教室の中で時間をかけながら自身の作品が出来上がっていくのを楽しんでいると聞いた事があった。

 そんな笑っている母を想像すると、少しだけ気持ちが楽になれた。


「ツカサさんはどうしてセラピストになったんですか?」


 レナの質問に、それまでレナから視線を外さなかったツカサが初めて視線を逸らし、曇った表情を見せた。


「僕がセラピストを始めた理由は…」


 手元に視線を落とし、答えに迷っているその様子は明らかに言葉を探していた。

 変なことを訊いてしまったのだろうか。


「…すみません。僕がレナさんのきっかけを質問したのに、僕が答えないなんて卑怯ですよね。理由はあるんです。でも、今は答えられなくて。…いずれお話しさせてください」


 以前、自分に興味を持ってもらう為、わざと相手が望むものを与えず次に期待させる。焦らされた相手はまた次の予約を入れる、という駆け引きのやり方を誰かから聞いた事があった。ツカサはその手段は使っているのだろうかと思ったが、明らかに動揺し、答えに迷っている仕草は嘘をついているようには思えず、彼には始めたきっかけを話せない何か特別な理由があるのだろう。


「すみません、変な空気にしてしまって」

「いいえ、気にしないでください。さっきツカサさんが言ったように人には色々理由がありますから」


 頭を下げるツカサを見て、何だかレナの方が申し訳なく思えてしまった。きっとツカサも彼なりの理由があってこの世界に足を踏み入れたのかもしれない。

 風俗業界は多数の職種があって、そこに入ってきた理由も様々だ。それは人に話せる事であったり、話せなかったり。もしレナがツカサと同じ新人だったら、すぐに今の状況を話すだろうか。多分、所々に誤魔化しのエキスを織り交ぜながら話した事だろう。


 他愛のない話をしながら互いの飲み物とドーナツを食べ終わった頃、2人は席を立った。

 店を出ると、ツカサは会った時同様 レナの手を自然に握りゆっくり歩き出した。

 街中には、仕事帰りと思われるサラリーマンやOL、これから出勤であろう水商売風の女性や風俗嬢、キャッチの男たちで溢れていた。

 特に行き先のホテルを決めていなかったが、ツカサは事前に良さそうなホテルを3軒ほどピックアップしていてくれた。スマホの地図に表示されたその内の1軒は線路沿いに位置していて、今いる場所からも近くクーポンも使えるとの事だった。

 スマホで位置を確認し、時に笑いながら歩いていると、周りからは普通のカップルに見えるだろうし、今日初めて会ったぎこちなさは無いかもしれない。でも一緒に歩いているこの男(セラピスト)と今からホテルへ行き、マッサージという名目の施術を受けるのだ。レナは客であり、セラピストの時間をお金で買っている。言い換えるなら、デリヘル嬢とその客みたいな関係だが、ツカサと歩いているとレナが想像するデリヘル嬢と客のぎこちなさは無く、ホテルまでの道のりで会話をしながら歩いているので、本当にデートをしているような気分になってくる。


 ツカサが候補に上げた1軒目のホテルはまるでマンションの一室のような外観だが、パネルを見ると『全室満室』の文字が点灯していた。

 諦めて2軒目に行ってみると、リゾートホテルのような造りで、いくつか空室があった。


「ここで良いですか?」

「僕は良いですよ。レナさんさえ良ければ」


 ツカサと一緒に『空室』の表示がされた部屋を選んだ。

 ホテル代は女性持ちで、鍵を受け取るとエレベーターで部屋がある3階へ向かう。

 部屋は広々としていて落ち着きがあり、お風呂場も広かった。

 ツカサはレナの上着をそっと脱がし、ハンガーに掛けた。


「素敵なところ〜!ラブホって感じがしませんね」


 ラブホに来たのは久しぶりでついつい気持ちが高揚してしまう。


「ではレナさん」


 ツカサが改まってソファにレナを促し、自らも横に腰掛けた。


「これからの流れを簡単にご説明します」


 ツカサが鞄の中のファイルから取り出したのは、『女性性感マッサージ Ciel 注意事項』と書かれた用紙だ。

 【当店ご利用の禁止事項】がまず最初にあり、『セラピストに対する迷惑行為・本番行為の強要。写真撮影、動画撮影も禁止』とされていた。 

 その裏面には客であるレナへの質問事項で、特にしっかりマッサージして欲しい場所、NG事項などを記入する欄があった。

 一通り目を通して、必要な箇所を書き終わるとその紙をツカサに渡した。


「ではこれからシャワーを浴びていただきまして、その間に僕がベッドメイキングやその他の準備をさせていただきます。レナさんがシャワーを浴び終えたら、僕もシャワーを浴びさせていただきますので、戻って来たらお時間をスタートします。ここまでで何かご質問はありますか?」

「いいえ、大丈夫です」

「ありがとうございます。精一杯、努めますね」


 浴室へ促され、改めてシャワーを浴びるとこれから行われる事への期待と不安が押し寄せてきた。これから今日初めて会ったセラピストが身体に触れる。

 仕事柄、裸になることや触れられる事も抵抗はないはずないのに、いざ自分が客として利用する立場にらなると何だか恥ずかしくなってくる。

 どんなふうに触れられるのだろう。

 どんな表情で私を見るのだろう。

 私は…満足出来るのだろうか。

 

 シャワーを浴び終え、バスローブを羽織って浴室から戻ってきた。

 室内は照明が落とされ、ジャズが流れており、さっきの部屋とは別世界のように感じられた。ベッドメイクを終えたツカサは上着を脱いでソファでレナを待っていた。ソファに腰掛けたレナに氷水を手渡す。


「では、僕もシャワーを浴びてきますので、ゆっくりしていてください」


 手渡された氷水はシャワー終わりの火照った身体にすっと流れ込み程良く体温が落ちつく。お風呂終わりにこんな風にゆっくりするのは久しぶりだ。いつもならお風呂が終わると部屋で客のLINEやTwitterをチェックし、写メ日記の更新と…常に何かをやっていた。こうして何もしない時間もたまには良い。


「お待たせしました」


 さっきのワイシャツ姿から打って変わり、白Tシャツに下着姿のツカサがシャワーを終えて戻ってきた。それまでワイシャツやパンツで隠れていた腕や脚が露わになった姿にレナの身体に微かな緊張が走った。


「では、ベッドにうつ伏せになってください」


 ツカサに手を引かれ、言われるがままベッドにうつ伏せになった。

 ツカサはレナの耳元で囁くように告げた。


「では、マッサージを始めます。もし痛かったりしたら遠慮なく言ってください」

「…はい…」


 男性に囁かれた事は今まであったはずなのに、ツカサだからか、低い声が耳を掠めた瞬間、耳朶が赤くなってしまった。ツカサは気付いているだろうか。いや、気付いても知らん顔で先を進めるだろう。

 事前のDMやさっきの用紙にマッサージの希望箇所については伝えていた。ツカサは普段パウダーもオイルも用意しているが、今日はレナが希望したオイルを使用するという。

 足裏を解し終わると、足首、脹脛を解していくツカサの手付きは新人とは思えないくらいスムーズで圧力も程よく気持ちがいい。


「マッサージは、どこかで習ったんですか?」


 音楽が流れているものの、無言なのは何だか落ち着かず、レナはツカサに質問をした。


「研修の時にマッサージの先生がいまして、その人から教わりました」

「研修があるんですね」

「研修は、マッサージと実施がありましてね。僕はマッサージはパス出来ましたが、初めての実施は最悪点だったんです」

「え?」

「実施はその名の通り、実際待ち合わせをしてホテルに行って流れを一通り行うんですが、先生から、流れは完璧だけど、気持ちがこもっていないって…言われてしまって」


 にわかには信じられない話だった。今こうして自分をマッサージしているツカサの接し方や触れ方は完璧だと思うのに。気持ちだってこもっていると思うのに、その研修を担当した人は何故その様な判定をしたのだろう。


「すみません。変な話をしてしまって」

「いいえ、何か…信じられなくて。厳しいんですね、その研修を担当した方って」

「…でも、確かにあの時の僕はその通りだったかも」

「え?」


 独り言だったのだろうか。意外な言葉に驚いてしまった。


「あっ!すみません。何でもありません。今度は腰と上半身をマッサージをしますね」


 慌てたように言うツカサにこれ以上は踏み込まない方が良さそうと、レナはそれ以上は訊かず、ツカサの手に全てを委ねた。

 腰周りはマットをするソープ嬢にとって負担がかかる場所で、ツカサは強弱を絶妙に変えながら丁寧に解していく。今まで普通のマッサージに行っても取れなかった腰の痛みや負担が徐々に落とされていくようで、レナはすっかりリラックスしていた。

 腰から背中、両腕、肩、首を順番に解し終わり、再びツカサはレナの耳元で囁いた。


「では…ガウンを脱がしていきますね」

 

 そう言うと、レナの躰を起こし、背後でツカサはそれまで着ていたTシャツを脱いだ。

 そっと後ろから抱き締められ、ツカサの躰が密着し、体温がガウン越しに伝わり心臓がドクンッと激しく跳ねた。

 室内は照明が落とされているとはいえ、何故か顔が紅潮してしまう。今まで多数の男性の前で生まれたままの姿を晒してきたはずなのに。男性の前で裸になる事に抵抗は無いはずなのに…。

 ツカサの手が紐の部分に伸びてきて、ゆっくりとその結目を解いていく。 結目が解かれ、ガウンの間からレナの白い肌の面積が徐々に広がっていき、再びツカサは自らの躰を密着させながらガウンの正面を剥がしていく。

 ガウンが腰の辺りまで落ちると、再びツカサの腕に抱き締められた。今度はガウン越しではない生身の腕はレナの乳房辺りにあり、その指はどちらかの乳首に触れるか触れないかの微妙な位置にあって、レナの呼吸が荒くなっていく。こんな形で男性の肌に触れるのは、むしろ背後から抱き締められながら高揚したのはいつ以来だろう。

 ふと下半身に意識を向けると、ツカサの下半身はレナのお尻の割れ目にぴったり収まっている。

 耳元に近付いたツカサの口唇はそっと耳朶に触れ、啄むようなキスをした。レナの口から熱い息が漏れた。


「じゃあ、ゆっくりこっちを向いてください」


 ツカサに言われるままゆっくり躰をツカサの方に向けた。初めてツカサの顔を見た。

 暗がりのせいか、さっきまで見ていたツカサとは違い、その瞳の奥には雄の気配が見え隠れしている。

 ツカサは指先でレナの口唇をそっと撫でた。親指の爪先に導かれるようにそっと口を開けた。その間に入ってきたのはツカサの熱い舌先だった。ゆっくりとレナの舌を味わい、その内しっかりと口内に押し込めてくる。驚いたものの嫌ではないその感触にレナも応え始めた。そのままシーツにゆっくり倒れ込むと、ツカサの手はレナの髪を撫でながら耳、頬、首、肩へと流れ、やがて乳房へと辿り着いた。


「…っ!」

 

 まだオイルが残るその手に触れられ、くすぐったさと心地良さが同時に押し寄せきた。

 それは今まで経験してきたマットプレイでの感触とは違い、熱を帯びていて、しっかりと、それでいて繊細な快楽へと誘うようだ。 オイルと共にそれまでのマッサージで解された躰は感度を上げ、ツカサが触れる度に反応を示した。恥ずかしさから顔を背けたくてもツカサの片方の手にしっかり頭を固定され、それを許さなかった。

 やがて固定が解かれ、今度はツカサの指先が形の良い乳房の周りを這いながらその肌質を楽しんでいるようだった。その微妙な触れ方は片方は乳房の円を描き。もう片方は太腿に触れながら、歪な快楽を止めど無くレナに与え続ける。今までに無かった感触に思わず枕の両端を強く握り、刺激に抗おうとするがツカサの指先や口唇から与えられる快楽に敵うはずもなく、ただ甘い吐息が漏れるだけだった。


 片方の手がレナの最後の下着に触れた。触れては離す微妙な強弱を繰り返している内にレナの腰はまるで透明な糸で操られるように上下左右に何かを求めるように動いてしまう。


「レナさん…」


 初めてツカサが名前を呼んだ。返事の代わりに何度めかのキスをした。ふとレナの手がツカサの下半身をかすった。


「…っ!!」


 明らかにツカサの下半身は黒い下着越しに欲望を示していた。


 キスをし、抱き合っていれば興奮し、自然に欲望はそそり勃つものだろう。今まで相手にしてきた客の男性は殆どがそうだった。そんな現象をレナは興奮の度合いのバロメーターとして見ており、どう攻めて、どう受け止めるかの基準だった。そそり勃ったタイミングを見計らい、触れ方に変化を付け、更に欲望の熱を上げさせていきながら、高められる所まで高めて一気に放出させる。


 今自らがもてなされる側になり、ツカサの指使いや吐息、流れ落ちる汗にまで全てに欲情している。

 自然にツカサの下着に手が伸びた。


「…脱がして…いいですか?」

「いいですよ」


 ツカサはレナの髪を撫でながら答えた。

 レナは慣れた手付きでツカサの下着を下ろし、やがて欲望の象徴が露わになり、レナはそそり勃っているそれをゆっくり両手で弄りながら、やがて口に含んだ。


「…っう!」


 先端を口に含み、更に奥まで咥え込むと、ツカサは声を発した。

 咥え込みながら舌を動かしていくとツカサは更に今度はハッキリと声を上げた。

 やがて苦しくなって離すと、ツカサは荒い息遣いでこちらを見ている。レナの口から解放されたツカサのモノは熱く軽く握っていても脈打っているのが分かった。

 ツカサは乱れたレナの髪を撫でながら、首筋、肩へと口唇と舌を這わせていく。その絶妙な刺激に躰が痺れ、力が入らなくなったレナは倒れ込むような形でツカサに身を委ねた。ツカサはしっかりとレナの躰を支えながら、口唇は肩口に刺激を与えつつそのままうつ伏せの状態へと持っていった。やがてツカサの舌が背中をなぞり始めるとレナは快楽の声を上げた。


「あっ…ああ…っ!!」


 上体が跳ねるタイミングを逃さず、ツカサの手がレナの乳房に伸び、もう片方の手はお尻の割れ目付近を焦らすように動きまわる。そしてお尻から秘部に下りていくと指の先端が秘部の奥にある泉に触れたのか、そこから溢れんばかりの愛液が流れ出しツカサの指を濡らした。


「こんなに、濡れてる」

「い…や…」


 溢れた愛液を指で掬ってレナに見せると、レナは恥ずかしさのあまり目を背けた。

 何度も似たような事をされ、その時に応じて恥ずかしい仕草をしたりしたが、頬が紅潮してしまう様な事は無かった。

 ツカサの指がそれまで愛液を広げながら徐々に秘部の入口を弄りゆっくりと、更に奥へ侵入してきた。


「ああっ!!」


 ツカサの柔らかく硬い指がレナの中で動き、淫らな音を響かせた。恥ずかしさから逃れようとしても乳房から離れたもう片方の手に腰を掴まれてしまっている。

 今レナの躰はそれまで知らなかった快楽を知り、自分ではどうにも出来ないくらい欲望が暴走していた。

それまで強弱を付けて動いていた指を離すと激しい快楽の波に襲われ、躰がビクンッと跳ねた。そのタイミングで今度はレナの躰を再び仰向けにし、両足を掴むと今度は無防備に晒された秘所を見下ろした。隠したくても躰が思うように動かず、ツカサの視姦に耐えるしかなかった。しばらく眺め、ツカサは息が上がったレナを見るなり口角を吊り上げ、捕らえた獲物を前にした獣のように満悦な表情を浮かべている。


 沈着冷静そうに見えた男がこんな表情をするなんて…


 ツカサはゆっくりと顔をレナの秘所に近付けてきた。思わず足を閉じたたくなるがツカサはそれを許さなかった。


「ちゃんと見せて」

「…恥ずかしい…」


 本心だった。昼近くまで客の男達に見られ、触れられている場所だ。しっかりシャワーで洗っているとはいえ、こうしてツカサに触れられると思うと、慣れている行為全てが羞恥で満ちていく。

 ツカサはレナの手を退けると、まず舌先で秘所に触れてきた。途端にレナの全身に電流のような衝撃が走り、躰をくねらせる。しかし両太腿を押さえられていて体勢を変えることは難しく、上体を激しく揺らし、声を上げる事でしか抵抗が出来ない。だがレナの快楽から発せられる声がツカサの内なる熱を更に煽った。容赦なく舌先を抜き差しを続けた後、口唇を

押し当てながらわざといやらしい音を立てながら吸っていく。止め処なく溢れ出るレナの愛液はツカサの口唇を何度も濡らし、その度に舌舐めずりの仕草をしてみせた。

 上体を起こしたツカサは再びレナの太腿を掴んで自分の方へ引き寄せると、そそり勃った欲望をレナの秘部に擦り付けた。


「…っあっ!」


 擦り付けたことでレナの愛液が加わり滑りが生じた。同時にレナは絶頂に向かう速度が加速していく中、更に息が上がり、声も高くなる。もう考える余裕も無くなり、全身が弓のようにしなっていく。

 秘所に火が着いたように熱くなり、やがてその時がやってきた。


「だ、ダメ…ッ!イ…クッ…!」


 レナは絶頂の声を響かせ、果てた。


 ぐったりした躰は自らの意思では動かせず、さっき迄の快楽に全身が浸っていた。

 今まで演技で絶頂を迎えた振りをした事は何度もあった。それ故にレナの躰は本当の絶頂を迎えた事は少なく、今ツカサの手で久しぶりに絶頂を味わった。頭が真っ白になり、まだ秘所が疼き、呼吸も荒い。

 ツカサの指が汗で張り付いた髪を分け、満足に浸るレナの顔を覗きこんだ。


「…気持ち、良かったですか?」


 返事をする代わりに、小さく頷き笑顔を向けた。

 今ツカサは先程の欲情した獣から、優しい男性の眼差しに戻っていた。レナの躰を両腕ですっぽりと包み込む形で、頬や髪を撫でていく。

 ようやく呼吸が落ち着き、改めてツカサを見た。汗に濡れたツカサの顔は妖艶な色気に満ちていて、胸板あたりに耳を近付けると心臓の鼓動を感じられた。自分を撫でるツカサの手を取りその感触を楽しんでいる内、思わず笑みが漏れた。


「どうしたんですか?」

「なんだか、嬉しいような、恥ずかしいような」

「気持ち良くなったことが?」

「…さっきの事を思い出すと恥ずかしいけど、嬉しかったです。普段、あまり絶頂を味わうことは無いから。それに…」

「それに?」

「ツカサさんとこうしていると、安心する」


 どう言えば適切か分からず、ただ思った事をそのまま口にした。触れ方だけでなく、ツカサが持つ大人の色気や落ち着いた雰囲気、その反面に潜んでいる猛々しい雄の姿に徐々に酔いしれ、レナの躰は歓びの反応でいっぱいになった。満足気なレナの仕草にツカサも満悦な表情になり、互いの指は満足感を分け合うように触れ合いながらやがてしっかり握られていく。


 時間に余裕があり、2人でシャワーを浴びた。シャワー中でもツカサはレナの躰を背後から抱き締めながら敏感な箇所をボディソープを滑らせながら責めたてていく。

 さっきまで激しく抱き合っていのに、一度火が着いた欲望は留まる事を知らないのか更に相手を欲してしまう。全身がずぶ濡れになるのも構わずキスを交わし、強く互いの躰を抱き締め合っていく。再び密着した躰はシャワーの温度よりも熱く火照り、レナの愛液も滴り落ちるお湯と混ざり合って独特の滑りを生んだ。

 ツカサの指が、口唇が滴り落ちるお湯と平行して乳首や秘部を動き回るとレナの躰は再び欲情し、指と口唇が織りなす快楽に酔いしれていく。ツカサの首に腕を回し、躰を捩りながら、レナは何度目かの絶頂を味わった。



 ゆっくり身支度を整えているレナの傍らでツカサはタオルやオイル等の備品類を持ってきたボストンバッグに入れ片付けを行なっていた。


「お仕事道具ですか?」


 ソープの環境とは違う、セラピストという環境にレナは興味津々だった。


「ええ。オイルは自前ですがタオルはお店から借りているので、返さないといけないんです。今日の荷物は軽い方ですね。要望があればオモチャも何種類か持って行く事もあって、鞄がパンパンになることもあるんです」


 楽しそうに話すツカサを見ていると、レナも自然と笑顔になれた。こんなに自然体で笑ったのはいつ振りだろう。そして、同じ風俗でもこうして他種の仕事内容や道具を見るのは何だか新鮮に思える。


「レナさん、一つ訊いていいですか?」


 一通り片付けを終えたツカサが改まってレナに訊いてきた。


「何ですか?」

「あの…写メ日記ってどういう風に書いていけばいいですかね?僕は、顔出しをしていないし、解禁出来る部分は限られてしまうんですが、やっぱりスケジュール以外の事も書いていきたいと思っているんですが、いざ考えると何を書けばいいか分からなくて」


 レナが新人の時も写メ日記の内容にかなり悩んだ。どんな内容でどんな写真が受けるのか、どうすれば集客に結びつけられるのか…ツカサと同じく顔出しをしていないので、正直今でも手探り状態なのは変わりない。興味を抱く内容、見たいと望んでいる事は男女というより人によって違う。だから、ツカサの質問に正しい答えを出すのはレナには難題だ。


「難しいですね。私も毎回内容は悩みます。一つアドバイス出来るとしたら、ツカサさんが好きな事、趣味とかがあればそれについて書いたり」

「趣味、ですか」

「それかTwitterで今日の天気だったり、昼ご飯や晩ご飯の写真を載せたりしてみても良いかもしれませんよ。写メ日記もTwitterもその人を知る大事なツールだし、大いに活用していった方が良いと思います」


 偉そうな事を言ってしまったが、今はこれしか言えない。

 ツカサは顔出ししていないに加えて写メ日記でもTwitterでもパーソナル的な事は殆ど呟いていないので、明らかに『セラピスト・ツカサ』を知るには情報が少な過ぎる。どんな事に興味があって、どんな食べ物が好きで…そんな日常の中にいる『ツカサ』をレナだったら垣間見てみたいと思った。


「なるほど、ちょっと色々と考えてみます。正直、今日レナさんを施術させてもらって…気持ち良さそうな表情を見て、少し自信がつきました。実は今月で新人期間が終わるんです。良い機会だし、ここで少しずつ変えていこうかと思いまして」


 人は何をするにも最初は何も分からず、不安の中にいる。自信が付くのには人それぞれ時間もかかるが、きっかけさえあれば気持ちが前進し、それは後に良い流れを呼び寄せる…と何処かで聞いた事があった。ツカサもきっと今日を境に前進するかもしれない。




 ホテルを出ると、夜風が心地良く感じられた。2人がホテルで行為に及んでいる間も街や空は動いていたのだ。

 来た時同様、ツカサはレナの手を握り駅へと足を進めた。


「レナさん、初めての女風はいかがでしたか?」

「新鮮でした。こういった世界もあるんだなって…新発見が出来ましたし、私はその最初のセラピストさんがツカサさんで良かったと思っています」


 お世辞ではなく本心だった。元々先輩のエレナが『女風』を教えてくれたのがきっかけだった。話を聞いた時は想像が及ばなかったが、今日こうして身をもって『女風』を知り一言では言い表せないくらい奥の深さを感じる。

男性用風俗が世の男性達の発散と活力の場になっているように、『女風』も今を生きる女性達の秘め事であり、活力になる可能性は十分に考えられた。


「嬉しい言葉をいただけて、感激です」

「…また、予約しても良いですか?」

「もちろん!でも、無理はしないでくださいね。レナさんはお母様の事もあるし、お仕事も大変でしょうし。あと余計な事ですが、この業界は夢中になり過ぎると破滅してしまう女性もいるって聞きます。くれぐれも無理なく遊んでください」

「分かってます。私の店でも昔ホストに貢ぎ過ぎてソープに入ってきた人もいて、その類の話はよく耳にしているので肝に銘じておきます。母の事もあるので、月一で会えたら、って思ってて…」

「僕はそれが良いと思います」


 話に夢中になっていたらあっという間に駅の改札口に着いた。

 待ち合わせした時と打って変わって人は明らかに増えている。ツカサの手が離れるのは何だか寂しく思えたが、また来月会えると思ったら寂しさは和らぐ。


「気をつけて帰ってくださいね」

「今日はありがとうございました。楽しかったです」

「僕もです。またお会い出来るのを楽しみにしています。レナさん、体に気をつけてくださいね」 


 そう言うと、ツカサはそっとレナを抱きしめた。さっきまでの行為がフラッシュバックしそうになるのをグッと押さえ、レナもツカサを抱きしめ返した。



 いつもと違う感覚で電車に揺られ、地元の駅へ向かう。

 今も気持ちがふわふわしている。解放感に近い感覚とでも言おうか。

 窓の外に広がる街の灯りをゆっくり見たのも久しぶりだ。いつも電車内ではお客への御礼LINEや写メ日記、Twitter更新をしていて、窓の外に目を向ける機会は無かった。

 

『明日も頑張ろ…』


 ふとさっきのツカサの顔を思い出し、レナはツカサが頑張ろうとしているのだから、自分も…と自らを奮い立たせる。

 また来月、お互い何かしら変化を語り合えたら…先の楽しみがあるだけで、こんなに気持ちが前向きになれる事を改めて知った。

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