第12話
翌日、コンプライアンス担当の山中さんと早速の面談。
「このようなことはあるべきでないにも関わらず、白崎さんには大変な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。」
「いえ、とんでもないです。お時間いただきありがとうございます。ところで、この話は必ず内密にしていただけるのですよね?」
「はい。もし白崎さんが匿名希望でしたら、匿名からの情報として進めます」
「はい、匿名でお願いします」
「了解です。まずはこれからの流れを私から説明して、その後白崎さんから状況をお話いただきます」
山中さんが流れを説明し、私が佐藤さんのセクハラやパワハラに関する出来事を話した。佐藤さんからのメールも見せた。
「このメールを私宛に転送してください。追って進捗をご報告します」
「ありがとうございました」
まったく不安ではなかったといったら嘘になるが、やり終えた今は、自分が前よりも少し強くなった気がした。
翌日、出社すると、前に座っている佐藤さんと目が合った。
「おはよう」
「おはようございます」
気のせいだろうか。私を睨んでいるように見える。
もしかして、山中さんが佐藤さんに伝えたのだろうか。いやいや、匿名にすると言っていたから、そんなことはない。
思考が行ったり来たりして呼吸が苦しくなったので、一度落ち着こうと、席を立った。
みんなが出社するまではカフェテリアで仕事しようと決めて、ドリップコーヒーセットに加えてパソコンも持っていった。
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