第9話
翌日、佐藤さんからまた部門全員へメールが送られてきた。
『週一日の在宅勤務が可能なのは、子供の世話や親の介護をしている方のみです。みなさん、そこを理解してご使用ください』
これは、飲みの誘いを断ったことに対する嫌がらせなのだろうか。
求人情報には「週一日の在宅勤務が可能」と明記されていたし、面接で再確認をしたときにも佐藤さんは「もちろん」と言っていた。
納得がいかないので、求人情報に明記してあったことと面接で再確認したことを返信すると、すぐに佐藤さんからメールが返ってきた。
『白崎さんは、入社早々在宅勤務をしているから、部内で不満が出ています。部のメンバーとして、周りのことを考えて行動してください』
この仕事は、週一日の在宅勤務が可能だから応募したのだ。なのに、入社後にやっぱりダメというのはルール違反ではないか。
せっかく仕事も覚えてきたのに、佐藤さんとのやり取りで会社に行くのが嫌になっていった。
今年も残すところ数日。毎朝憂鬱になりながら会社に通っていた。
小学校の同級生との忘年会が開催されるということで、金曜日の会社帰りに居酒屋に向かった。
「ゴリー、こっちだよ」
小学校の時に一番仲がよかった美香が手を振って私を呼んだ。
私の小学生のときのあだ名は「ゴリ」。
身体が大きくて、運動が得意な小学生だった。四年生の時に、陸上記録会のリレーの選手に選ばれて走った時に、私の走り方がゴリラの走り方に似ていたようで、「ゴリ」と呼ばれるようになった。
「元気にしてた? すごい久しぶりだよね」
「元気……と言いたいところだけど、仕事場で参ってて」
美香に佐藤さんや柿口さんのことを話し始めた。静かに聞いていた美香が、ふと話し始めた。
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