第7話

 入社して一か月が経った。


 その日、企画一課での会議で、柿口さんがプロジェクトの進捗報告をしている最中に佐藤さんが口をはさんだ。


「だから、なんでお前はそういう風に考えるんだよ。俺が言ったようにやればいいだろう」


「佐藤さんのやり方とは違うやり方もあります。僕はこちらのほうが理にかなっていると言っているまでです」


「だから、何度言ったらわかるんだよ。いい加減にしろよ」


 佐藤さんがすごい剣幕でまくしたてるので誰も反論することはできない。それでも、柿口さんは反論し続けた。


「異なる意見を大いに歓迎するっておっしゃっていたのは佐藤さんですよね。これでは、歓迎されているようには見えないのですが」


 柿口さんの火に油を注ぐような発言に対して、佐藤さんが机を叩いて怒りを露わにする。


「もう、今日の会議は終わりだ」


 そう言い捨てると、佐藤さんは席を立って、会議室を出て行った。


「なんで、誰も何も言わないんだよ。佐藤さんが言っていることおかしいと思わない?」


 同調を求める柿口さん。しかし、誰も何も言えないまま、他の会議がある、と言って、次々と会議室を出て行った。



 次の日から、佐藤さんによる柿口さんいじめが始まった。


 到底無理なスケジュールを立てて、終わっていないと柿口さんを一人会議室に呼んでお説教。会議で柿口さんが発言すると、揚げ足を取って攻撃をする。


 佐藤さんが怖くて、誰も何も言えない。佐藤さんの柿口さんいじめはエスカレートしていった。


 最初は勢いのよかった柿口さんだが、みるみるうちに痩せて青白い顔になっていった。

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