第九夜
世の中がなんとなくざわつきはじめた。今にも
家には若い母と三つになる子供がいる。父はどこかへ行った。父がどこかへ行ったのは、月の出ていない夜中であった。床の上で
父はそれきり帰ってこなかった。母は毎日三つになる子供に「お
夜になって、
鳥居を潜ると杉の
子供はよくこの鈴の音で目を
一とおり夫の身の上を祈ってしまうと、今度は細帯を解いて、背中の子を
拝殿に括りつけられた子は、
こういうふうに、幾晩となく母が気を
こんな悲しい話を、夢の中で母から聞いた。
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