夢十夜
夏目漱石/カクヨム近代文学館
第一夜
こんな夢を見た。
腕組みをして
自分は透き
じゃ、
しばらくして、女がまたこう言った。
「死んだら、埋めてください。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして天から落ちてくる星の
自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。
「日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。──赤い日が東から西へ、東から西へと落ちてゆくうちに、──あなた、待っていられますか」
自分は黙って
「百年待っていてください」と思い切った声で言った。
「百年、
自分はただ待っていると答えた。すると、黒い眸のなかにあざやかに見えた自分の姿が、ぼうっと
自分はそれから庭へ
それから星の
自分は
しばらくするとまた
自分はこういうふうに一つ二つと勘定してゆくうちに、赤い日をいくつ見たか
すると石の下から
「百年はもう来ていたんだな」とこの時はじめて気が付いた。
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