未完ゆえの魅力、というものが、少なからずあるのかもしれない。本作の続編、をデビュー作あたりに書かれた方がいた。そして、我が敬愛する作家は、本作を日本文学で三作挙げたなかのひとつとされている。日本文学において、長編小説というものが成熟したなかで存在しないなか、土台を成すもののひとつにはなったろうと思われる作品。