十二
その時二人の頭の上に
「いつだって構やしないんでしょう。
彼女はさも
「無論繰合せはつくようにしておいたんですが……」
「じゃ好いじゃありませんか。
「でもちょっと伺った上でないと」
「じゃ帰ったら私からよく話しておきましょう。心配する事も何にもないわ」
細君は快よく引き受けた。あたかも自分が
彼はある意味において、この細君から子供扱いにされるのを
同時に彼は吉川の細君などがどうしても子供扱いにする事のできない自己を
彼が用事を済まして
「また子供のように泣いたり
津田は思わず去年の苦痛を思い出した。
「あの時は実際弱りました。
「そう? 誰が受合ってくれたの。何だか解ったもんじゃないわね。あんまり
「あなたに
「いっこう構わないわ」
細君の様子は本気なのか
「行きますよ、少しあなたに話す事があるから。お延さんの前じゃ話しにくい事なんだから」
「じゃそのうちまた私の方から伺います」
細君は逃げるようにして立った津田を、笑い声と共に応接間から送り出した。
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