四
細君は色の白い女であった。そのせいで形の好い彼女の
彼がふと眼を上げて細君を見た時、彼は
「
黙った津田はなおしばらく細君から眼を放さなかった。
「何だってそんなむずかしい顔をして、あたしを御覧になるの。──芝居はもうやめるから、この次の日曜に小林さんに行って手術を受けていらっしゃい。それで好いでしょう。岡本へは
「御前は行ってもいいんだよ。せっかく誘ってくれたもんだから」
「いえ私も
津田は自分の受けべき手術についてなお
「手術ってたって、そう
「あんまり楽でもないわあなた、一週間も寝たぎりで動く事ができなくっちゃ」
細君はまたぴくぴくと眉を動かして見せた。津田はそれに全く
「じゃどうしても御勤めを一週間ばかり休まなくっちゃならないわね」
「だから
「そりゃあなた御話しになる方がいいわ。
「吉川さんに話したら
入院という言葉を聞いた細君は急に細い眼を広げるようにした。
「入院? 入院なさるんじゃないでしょう」
「まあ入院さ」
「だって小林さんは病院じゃないっていつかおっしゃったじゃないの。みんな外来の患者ばかりだって」
「病院というほどの病院じゃないが、診察所の二階が
「
津田は苦笑した。
「
今度は細君が苦笑した。
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