第8話 もうひとり

帰るとパンツを履いたのち、すぐ眠ってしまった。パチッと目覚める。あんまり乗り気じゃなかった。ふらふらと外に出た。夕暮れの寂しい町だった。体の疲れはなぜかとれていたが、やはり心はちょっと沈んでいた。眠るたびにこの世界に来ていてはなんだか休まらなかった。カラスが飛んでいるのをみて、鳥みたいな動物はいるんだなと思った。道路に大の字になって寝っ転がる。ゆかりという名の女の子を思いだす。コースケを思いだす。谷川会は何を目的としたらいいんだろうか。とりあえず、超力というものの体得だろう。いや、やっぱり色々考えるのはやめよう。考える気分じゃない。起き上がって、ふらふら歩いた。誰かに見られている気がする。周りをみると、ひとり立っていた。それは僕だった。目覚める。僕は現実世界に戻った。こんなに一瞬で現実世界に戻ってきたのは初めてだった。スマホをみると、谷川会でこれから色々頑張ろうと2人が意気揚々としていた。僕はにこやかなスタンプを送ったのち、お風呂に入った。

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