第14話 衝突的な関係性

何度も聞いたあの声だった。


夢みたいだ。

私が地球に来て初めて遭遇した人間。

ここへ来る前から仲良しだった友人。


私が出会いたかった人、

出会って欲しかった人同士なんだよ。

そしてその間に私は入れるって訳。

私にとって一番味わいたかった瞬間だ。


「はいはい、こっちこっち。」

さあさあ、集まってくれたようです。

はぁ~会いたかった~。

ずっと会えないかと思ってた。


「それで、この人が例の?」

「そうそう。例外の……」

「ああ、どうもです」

彼のことは屋上で伝えた通りだ。

私の友人に顔を合わせている。

不思議な感覚。

複雑な状況。


……楽しすぎる。


「にしても、不自由なく動けてそうだよね。どうしてアレが効かなかったんだろうね」

「ね」

早速話が始まる。

皆もやっぱり分からないか。分からないよね。

本当に気になってしょうがない。

「仕方ない、やり直し。」

で片付くような問題だったらいいのだけれど。


「他にもこんなケースあるのかな?」

「あったら絶対に中止だなこれ。」

まだまだ調査は始まったばかりなのに中止されたら本部は私から非難殺到だ。ギルティだ。


「どうする?この人に罪は無いけど本部に伝えたほうがいいんじゃない?」

「いや、まだ止めとこうよ、交流を深めてこの地のことをひたすら教えてもらうんだよ。万が一このことがバレても成り行きを向こうに説明すれば……結局私たちに罰則は無いし……中止は避けたい」

そうそう、彼に教えてもらいたいんだこの星のことを。

スタート地点の校内でレッスン1を行った。そしてもっと知りたくなった。だから2、3…と、まだまだこの星について続きを私たちは知っておくべきだ。


「あー、確かに!ここって本当に聞かなきゃ分からなそうなものだらけで意味不明だもんな、その考えは一理ある」

私も何がなんだか分からない。分からないことだらけだ。


「というか、いきなりこっちに着いてどう思った?すごくない?あっちとはまるで環境が違うのにさ別の形で発展しているような感じでね。」

「そうそう。道とか地面が硬いし全く平らじゃないからさぁ、色々と躓くし。」

「それに加えて建造物も樹木もまちまちなもんだから……。歩くと景色はすぐ変わるし、面白いけど大変だったよ。」

「いやぁ、改めてよくこんな視界の情報量の多い気が狂いそうな世界で住みついてるよなって。」


「うんうん。分かる。」


「でさぁ、私達のことはどこまで伝えるべき?」

彼を置いて盛り上がりそうだったので、本題を滑り込ませた。

星と彼の関係を考えるのは楽しいので、共に過ごしたいのだ。そして少しばかり我々の都合に付き合ってほしい。


「うーん、ざっくりとは伝えたほうが彼も協力してくれるよね。でも、私たちからの情報開示は必要最低限が良さそう。こっちを信用してもらわないと。」


私は灰色くんに伝える。

「突然で困惑してるだろうけど、私たちはあなたに伝えたいことがたっくさんあるの!そしてあなたにも学校やここで教えてくれたように、私たち四人にここの事を色々教えてほしい。少しの間だけだからさ、差し支えなければこれから協力してもらえない?」

とりあえず、今は協力してほしい。頼む。効くはずの無い念を送る。


おりゃりゃりゃー。


「わかった。全力で協力させてもらいます!よろしくお願いします!」

よし!よし!よし!キタキタ効いた!


「良かったぁ。本当にありがたいよ」

「あぁあ……!助かる。」

これで一安心だ……。

窮屈だった私の胸の奥が拡がっていく。


「えへへ。ねぇ!この星の人達と顔を合わせて意志疎通したのは私たちが初めてじゃない!?」

「いや、それは……」

「あぁっ、そっか……ごめん。」

「ううん。大丈夫。気にしないで」


あの話を聞けているのは、私のクラスだけのはずだから……仕方ない。

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