第12話【地球】事前情報ゼロで来ちゃいました!?【初見】
私は倉庫にある物品をわからないながらに触れてみる。
ああでもない、こうでもないなどと模索。じめじめとしている。
扱いにくそうな金のカップ。
白と赤の玉の大群。
丁寧に飾られた大きな顔の絵。
左右に揺れ動き続ける棒。
そして、見渡す限りの箱、箱、箱。圧巻。
ふむふむこれらの物品は非常に興味深い。地球でも一二を争うような貴重品なのだろう。
が、
使い道がよくわからない物が多すぎて、何からすべきか見当がつかない。出来ることは多そうだけれど、こういう出来上がったものを扱って工夫するの得意じゃないんだよな。
思い付こうとしても案は出ない。アイデアが逃げていく。
追いかけても追いかけても捕まらない。
逃げ足の速い奴等だ。
私が目盛りのついた丁度いい高さの椅子に座り、考え込んでいると、
「何か良さげな案あるかい?」
「どうしようか、私が先に行ってキミが後から着けてくるってのは?」
「なにそれ、えーっと、そんなことできるの?」
「私がそこから居るかいないかを確認してキミにハンドサインを送る。指1本立てたら待て、で、指5本でゴー。指が多くなればなるほど安全って示すから──」
「それって、もし見つかったら?」
「そのときはそのとき。キミはその場で止まっているフリをして誤魔化すんだ。」
「喫茶店までの道のりはわからないでしょ?」
「だから事前にルートを教えてください。」
「はぁ、大胆だ。不安だよ。」
「まぁ周りの人たちはどうせこの星の構造に慣れてないだろうし、こんな付け焼き刃な手段でもなんとかなるでしょ」
「……。」
本当に辿り着けるのか疑わしいようだ。
「……背すじ伸ばして。」
私は言う通りにすると、彼は頭上にあったソレを頭ぴったりまでスライドしてきた。これは本来何の高さを測るものなのだろうか。
「仕方ない、やってみようか。こっちから出れるよ。」
「なんか、ごめん。」
……
私はここで灰色くんと出会い、複雑な通路をついていくと、校舎を抜け出ることができた。
大きな口を開けたままの扉抜けると──そこは外だ。
さようなら。学校。
こんにちは。外の世界。
屋上で見た景色の中、私は今ここにいる。
……すごい。
硬い大地を踏みしめ実際に歩いてみると本当に知らない世界で知らないものだらけだ。
道も建物も空気感も。異世界だ。
「ほら、もっとよく見て歩いて……こっちは見つかっちゃ駄目なんだから。」
「ごめんごめんつい。」
忘れかけていた目的を引き揚げる。危ない。
……
えぇと、どのくらい歩いただろう?
目的地はまだか?
このままだと……私、エナジーが……底が見えてしまう……
はぁ、足が痛い。こんなに歩いたのは人生で初めてだよ。ふぅ。
「ちょい、何してるんだよ!」
「ちょっと休憩させて。」
「全然歩いてないじゃん。ほら、すぐ奥に元いた高校が見えるでしょ?」
「あー。ほんとだ。」
「あー。ほんとだ。じゃぁないんだよ。こっちはよくわからないまま、気味悪がられるような動きをして気づかれないよう、向かっているんだって」
「わかったわかった歩きます。」
地球人め。もっと道を私たち向けにしてくれ。向こうだったら体力とかもう少しマシなんだけれど。
ずいぶんと彼からの扱いが雑になった気がする。それは私のせいか。
さっきまで楽しかったはずの道はどこから消えたのか……
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