第2話 召喚と少女たちと眼鏡2
自分の書斎を出てはたと気づく。この人の服はなぜか血みどろなのだ。さすがにこのままで出かけるわけにもいかない。お父さんの服着れるかな。そう思いながらお父さんの部屋のクローゼットを物色する。お、スーツもあるある。
「じゃあモルドレッドさん!!まずはお着換えしよう!」
彼はお着換えというワードに戸惑っていたようだけれど、私が脱いで着るのモーションをしたらわかってくれたのか頷いて、ジャケットを脱ぎ始めた。急すぎる。私は私はシャツを脱いでるであろうモルドレッドさんを見ないように手で塞ぐ。
そうだった、この世界の常識は通用しないんだった。と肌で感じながら。
「……着たぞ、これでいいのか?」
「バッチリチリチリ~! じゃあ眼鏡屋さんへレッツゴー!」
改めてみると背も高く、精悍な顔つきをした男性だ。無口っぽいのが気になるけど。
「私が貴方を召喚したの!いわば私は貴方のマスター! 私のいうことは絶対聞くこと!」
「……わかった。カミシロ カノンのいうことは絶対。メモしておこう」
そういえばさっきの部屋でもメモしてたな。メモするのが好きなのだろうか。異世界には不思議な人がいるなあ。うんうん、これからの生活、ワクワクしてきた。彼を知るのが楽しみだ。
「……カミシロ カノン。一つ質問してもよいだろうか」
「うんうん、何? あ、カノンでいいよ!」
彼は私のいった言葉の意味を咀嚼して、飲み込んで、理解。の手順をこちらにもよくわかるように踏んでから、「カノン」と私の名前を呼んだ。
どきりと心臓が高鳴る。いい声だーーーー!!とってもいい声ーーーー!!!俳優さんとか声優さんの類?それともアイドル?いや違う、彼は私が召喚した男の人なのだ。
「カノン、メガネヤサンとはなんだろうか」
「ああそうか、知らないもんね!! 眼鏡屋さんっていうのは視力が低い人にとっておきのアイテムを作ってくれるところだよ!」
この説明で理解できただろうか? 彼は不思議そうにしてから、「実際に行ってみなければわからないな」とひとりごちたようだった。
スーツはちょうどいいとまではいかず少しぶかぶかだが、モルドレッドさんはさほど気にしていないようにスーツを着こなしている。
「じゃあ、眼鏡屋さんにレッツゴーだよモルドレッドさん!!」
私の言葉に、彼は静かに頷いて、私の後ろを歩くのだった。
なんか鳥さんの刷り込み現象みたいでかわいいな、と思ったのは秘密だ。
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