第46話 難しい話は勘弁してください…。
「えっと……俺何か俺の家系に関係あるんですか……? 言っちゃなんだけど、俺の親族って金にがめつくて、身内でも金のためなら喜んで捨てるクズ集団ですよ?」
俺は純粋な疑問を投げかける。
幼少のころから、見て来た親戚たちが思い浮かぶ。うん、両親を事故で失ったガキを金のために売り払うような連中だ……そんな血に価値があるとは思えないのだが……。
「くくっ、その顔色で翔が受けて来た仕打ちがわかるわね。この『血刀』で滅ぼしてくれようか」
「やめてよ! お兄さんをどん底に突き落とした雪城を滅ぼすのは私なんだから! 邪魔しないでよね!」
「えっ? 結構ガチっぽく聞こえるけど、お前そんなこと考えてたの?」
いや、俺のためにあんまり危ないことはやめて欲しいんだけど……こいつ俺のことになると頭のネジがすっ飛ぶから心配だ。
「くくく、三矢さんでしたか、中々可愛い子ですね」
「ありがと! だけど、お兄さんは渡さないし、あっ、私のが歳上? 弁当買ってこいや。私、鮭弁」
「お、おい、三矢やめろって」
最上級危険人物みたいな人を挑発するなよ!
「ふんだ……」
「翔からも愛されていますね。普通に羨ましいです。それと如月さんから『お話』は伺っています。後ほど時間は取ります」
「それはどうも!」
ん? こ、こいつやっぱりなんか裏から手をまわしてるのか? もしかして如月さん経由で、何か取引しようとしてるのか。
待て待て、いくらあかりちゃんの身内だからと言って見過ごせねぇだろ。
「お、おい、三矢――」
「ふふっ、翔さん、三矢さんが心配なのはわかるけど、まずは話を進めてもいいかしら?」
「え、えっ? は、はい」
如月さんが柔らかな声で俺の言葉を遮る。も、もしかして、ごまかされた? はぁ、この件は後で絶対に問いただしてやる。
「わたくしは何も雪城家の性質を厄介と言っているわけではないの……
今回問題になっているのは文字通りの『血』。貴方に流れる血液よ」
「……えっ? 血って……」
「悪いけど、貴方の大学での血液検査の結果を……ちょっと、人に言えない方法で入れたわ」
「ひ、人に言えない方法って……」
「てへぺろ」
いや、いきなりお茶目な顔をするのやめて。
悪戯っぽく舌を出す如月さん可愛い! ……じゃなくて!
「な、何で、そんなことしたんですか? 俺の血液検査の結果なんて価値なんか……」
「価値がない方が幸せだったのだけどね……雪城家で過去に『キャリア』が出たことがあるから、まさかとは思ったけど……」
如月さんは少し憐れむように南坂さんを見る。
「くくっ、歓喜してもいいよ。翔の血はこの呪われた南坂の『血刀』を抑制する効果がある……」
「え、えっと……抑制って……」
「くく、私の力『血刀』は血を人間を殺す刃に変える特異体質……専門的解説を省いて説明すると、私の血液は一定の条件を満たすと、現代科学では解明できない毒を他者の人体に植え付ける……それを唯一解毒できるのが、翔の血液なの……くくっ、日常生活的には問題ないとしても……人間に触れられない私が唯一触れられ男性……ロマンチックじゃない?」
「………………」
作り話をして盛大に俺にドッキリを仕掛けてるんじゃないかと思ったが……超金持ち美人の二人が俺なんかをドッキリに書けるメリットがないし……南坂さんの目が狂気をはらんでおり、とても演技をしているようには見えない……。
「よくわからないけど浮気だああああああああああ!!」
よし、お前黙れ。
俺も黙る。
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