第36話 旅に出ます。
出会っちゃいけない4人が相対し、脳汁が無限生成された出来事から数日後――。
俺と三矢、芽以さん、あかりちゃんは……地方の『山』に来ていた。周りには数本の電柱と木々と申し訳程度に車が通れるように整備された道がある。
遠くに見える景色は山オンリーだ。
「わああああああ、ザッ田舎って感じだね!!」
「…ああ。なんか遠くまで来ちまったな……」
あのカオスな状況で互いに醜く揉めまくった……浮気だと騒ぐ三矢と芽以さん、号泣するあかりちゃん、全てを受け入れ悟りの境地を開いた俺……。
まあ、中々デンジャラスな状況だったわけだが……さらにそれで話は終わらず……話は如月さんとの『仕事』の話になった。
如月さんいわく『この先、如月家で問題が起こる際に味方につけたい家があるの。その交渉を手伝ってもらいたいの』とのことで……実はそれが――あかりちゃんの『実家』なのだ。
こないだ如月さんがあかりちゃんの職場に来ていたのも、交渉の一環らしい。
「よくわからん仕事だな……」
そんなわけで俺たちはあかりちゃんの実家の『本家』があるド田舎に来ているわけだ。
如月さんには交渉の手伝いと言われているが……具体的なことはまだ聞いていない……う、うーん、あかりちゃんが絡んでるから危ないことにはならなそうだけど……やっぱり安請け合いするのは不用心だったか?
「わああああ! あっちにカブトムシがいる!!」
「ちょ、ちょっと雪城三矢! 勝手な行動をするんじゃないわよ! 確かにカブトムシはこの世に存在する魔を関する黄金の1つだけど!」
数十メートル先の木に向かって走り出す、それを追いかける芽以さん……元気だな……4月とは言え、直射日光でめっちゃ暑いのに……。
「ふふっ、元気でいいですね。私もここに来るのは久しぶりで、少しテンション上がっちゃいます♪」
「そうなんですか?」
「ええ、3年振りぐらいですかね。如月さんが交渉しようとしているのは、私の実家ではありますけど、私には関係あるような……ないような……」
「そうですか……」
三矢いわく如月はめちゃめちゃお金持ちらしく、そんな如月さんが交渉をしようとしているのだから、あかりちゃんはとんでもなくお金持ちの家なのか?
「ふふふっ、私の家について気になりますか?」
「……まあ、でも如月っていう大きな家が交渉に来てるのが気にはなりますが……というか俺と三矢がなんの役に立つかが大分謎なんですけど……」
何故か強引についてきた芽衣さんは置いておくとして……俺たちが大企業でも交渉に手こずる話し合いに呼ばれて、意味があると思えないのだが……。
「ふふっ、そんなことはありません。私の『家族』は人間の人柄と仁義を重視をします。皆さんのことはきっと気にいると思いますよ? さすがは一流企業の跡取りですね。本質を見極める力があります」
「…………」
な、何だろうな。
ここ最近で鍛え抜かれた俺の危険察知機能がガンガン警報器を鳴らしてるんだけど……。
あ、あかりちゃんの家族ってとても物騒な人たちじゃないよね……?
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