第26話 お姫様は機嫌がよくありません。

   ◇◇◇


 ホテルで三矢との甘いひと時? があった後、俺はいまだに機嫌の悪い三矢を連れて、家であるマンション前に戻ってきていた。


 時刻はもうそろそろ17時だ……本当だと買いものに行くはずだったんだけどな……まあ、一度家に戻って飯を食ったら、近くの大型スーパーに行くか。

 あそこなら、大抵のものは売ってるしな……電化製品とかは後回しでいいや。


 俺はそんなことを考えながら後ろからついて来ている三矢に視線を向ける。三矢は俺と視線が合うとぷいっとそっぽを向いてしまう。


「ふん……」


 うぅ、機嫌が悪いな……まあ、俺が悪いか……未成年をホテルに連れて行った時点でなぁ。うん、冷静に考えると、どう考えても俺が悪い。現代はそんなもん。


 …………いや、でも、個人的な感情だけで言えばこいつも悪いな。まあ、俺は大人だ。過去のことはさらっと流そう


「おい、悪かったって。いい加減機嫌直してくれよ?」


「ふん……」


「なぁ、俺が悪かった。高校生をいきなりホテルに連れてくとか、常識なかった」


「きっ! うぅ、そういうことじゃ……!!」


 えっ? どういうこと……な、なんか、さらに視線が鋭くなった


「うぅ、そ、そんなにらむなよ。そ、そうだ、飯くったら、買い物行こう。お前、いろいろ欲しい物あるだろ……?」


「…………お兄さんと買い物」


 三矢は俺の言葉に眉をぴくっと吊り上げる。そして、まだ不機嫌そうではあるものの、小さくコクリと頷く。


「…………行く」


 はぁぁぁ、どうやら機嫌は直してくれたようだ……はぁ、よかった。三矢が不機嫌なままだとなんだか、居心地が悪いからな……


「はぁぁぁ、お兄さんは仕方ないねぇ~~。お兄さんと喧嘩なんかしたくないし、特別に許してあげるね。感謝してよねぇ~~」


「はいはい」


「あっ、でも罰としてお兄さんのパソコンから20歳以上の私に似てない女優のAV消すかから」


「…………」


 これは許されてるのか……?

 ま、まあ、JKがいるのにAVを見るのも変な話か……? だけど、俺だけ罰を言われるのも納得できないような気がする。


「くすっ、大丈夫。お兄さんだけに辛い想いはさせないからね。私への罰はお兄さんが考えてもいいよ? エッチなやつを」


「…………」


 それこそどう答えたらいいんだよ……。

 俺がそう思い悩んでいると……。


『はぁ、あんたたち、何をはなしてるのよん?』


 背後から野太いのに甲高い声で話しかけられる。振り向くとそこにはあきれ顔の社長が立っていた。


「しゃ、社長?」


「うふふ、昨日のお礼をしに来ちゃったわ。おもいっきりサービスしてあげるわ♡ 楽しみにしちゃってねぇ♪」


「…………お兄さん、早速浮気?」


「…………」


 浮気ってゴリラ相手にも成立するんだっけ?

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