第2話 お礼を言わなくちゃ

AM10:30 事務所近くの駅にて


「葵、遅くないか?」


私、双葉 葵は大遅刻しています!

時は遡り昨日の夜



昨夜 PM23:55 自宅にて


「ない!ない!メジャーがない!」


 せっかく下見に行くのに部屋の長さが測れないなんて行く意味があるのだろうか、私の家には確かにメジャーがおいてあったはずなんだ。どうしよう、今から買いにく?だめだ、こんな時間にメジャーの売ってるところなんかそうそうないだろう。ならネット通販?ダメダメ、今から頼んでも間に合わない!

ならばやることは一つだ、死ぬ気で家の中を探す事。

 

 そこから長い格闘が始まった



AM3:30


「あ、あったー!!」


 私はついにやり遂げた、メジャーを見つけたのだ。これで安心だと思いつい気が緩んでしまった。私は意識を手放した。



AM9:50


「んっ…んぅ…」


目が覚めた私はスマホで時間を確認して驚愕する


 「…え?えぇぇぇ!?」


叫んでる場合では無い、急いで支度をしないと。

そんなことを思い大急ぎで支度を進める。メジャーやメモ帳、ボールペンや財布など忘れないように鞄に詰め込む。

ただでさえ遅れているのだ朝食なんて食べてる暇などない、最低限の化粧と髪を整えて急いで家を出る



AM10:35 事務所近くの駅にて


「お、お待たせ。はぁ、はぁ…ふぅ」


急いで走ってきたため乱れた息を整えると声をかけられる。


「遅いぞ、35分の遅刻だ自分から時間指定しておいて遅刻とはどう言うことだ」

「ごめん!昨日メジャー夜遅くまで探してて…」


「メジャー?」

「うん!長さ測ろうと思って!」


「そんな遅くまで探さなくても見つからなかったなら向かう途中に買えばいいじゃないか」

「え?」


「いや、え?じゃなくて、どうせ店開いてないから探したんだろ?」

「あ、今なら開いてるね…」


「だろ?何なら私に持ってくるよう頼めばよかったのに」

「うん、私バカだね…」


「だな、なんで大体のことをそつなくこなせるくせにときどきポンコツなんだろうな」


「何でかな…行こっか」

「あぁ」


電車に揺られること30分、目的の駅に到着する。


「ここから10分くらい歩くよ」

「おう」


しばらく歩くと一際大きな二階建ての家が見えてきた。周りには家が少なく代わりに畑が広がっていた。


「でっけーな、それに周りに家がない、これなら配信中に大声出しても近所迷惑にならないな」

「うん、思ったよりいい立地かも、スーパーも来る途中にあったし生活もしやすそうだね」


「じゃ、さっさと下見して昼飯食って帰るか」

「そうだね、中はどうなってるんだろう」


中に入ると一階に1LDKと各5.5畳の2部屋とトイレ、洗面所とバスルームがあり2階には各5畳の部屋が3部屋あった。

リビングには二人がけのソファーと4人用のテーブルがありテレビも置いてあり、キッチンには冷蔵庫、電子レンジなど必要なものはあらかた揃っていた。


「おぉ、テレビまで…今度またお礼言いに行かないと」

「葵の叔父さんほんと何者だよ」


「じゃぁ、さっさと測ってお昼食べに行こうか」

「だな、メモはまかせろ葵は測ってくれ」


そうして私たちは各部屋を測り、お昼に近くにあったラーメン屋に寄って各々の家に帰宅した。


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