第5話

「そうですね、今日は気分が良いので。

ありますよ、食欲」


「そりゃ、丁度ちょうどいい。ヤツメウナギを買ってきたんだが、どうだ、食えるか?

障子しょうじを開けて、出て来いよ。

一緒に、縁側えんがわで食おう」


「何を言ってるんですか、土方さん。

私は労咳ろうがいですよ。」


「離れて座ってりゃ、大丈夫だろ。

大体、お前が病気になったのは、一年も前からじゃねえか。

その間、ずっと一緒に居たけど、俺には感染うつらなかったんだ。何を今更いまさら、だろ」


そう言って、土方は、ガラッと障子を開けた。

久しぶりに土方の姿を見た沖田は、驚いた。

土方は、まげを切って、西洋風の髪型にしていたのだ。

髪だけではない。着る物も、西洋式の服装になっていた。それでも、腰には日本刀をしたままだったが。

相変わらずたくましい身体だが、髪型と服装が違うだけで、印象がまるで変わる。


呆気あっけにとられた沖田が思わず問いかけた。


「土方さん、その姿」


「おう、驚いたか、総司。

これからの戦い方を考えるとな、西洋式にするのが、合理的ってもんだ」

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