第5話
とりあえずこのあとはどうするかなと考える。
精神年齢は高いと思うのだけれど、いかんせんヘルヴィルは二歳だ。
しかも記憶にあるヘルヴィルは喜怒哀楽があまりにも乏しく何にも興味を示さない、静かな子共。
人生楽しくなかったのだろうか。
ちょっと心配になる。
家族の反応が不思議だったのも、少なからず変化に戸惑っていたのではないだろうかと思う。
しかし何はともあれ現在は新生ヘルヴィル。フォクライースト。
これからはこちらの自分をよろしくしてもらおう。
ヘルヴィルはうむと力強く頷いた。
それにしてもと思う。
「ねむいかも……」
なんとなくぼんやりしてしまう。
まあ二歳児なんて寝て食べて遊ぶのが当然の生き物だ。
仕方ないかもしれないと思う。
「やっぱり、からだにひっぱられてるのかな」
ううん?と首を捻る。
体力がないのは仕方ないかもしれない。
歩くのにも頭が重くて若干フラフラとおぼつかないのだ。
幼児ってバランス悪いなと思う。
ただそれ以外にもあれれと思うのが、頭があまり回らないのだ。
別に頭がよかったとかそんな生前ではなかったと思う。
どちらかと言えば小さなことを気にしない性格がのびのび育った、あんまり頭脳派ではない人間だった。
「いちおう十七さいのはずだったのに……」
おかしい。
解せぬ、と唇を尖らせた。
けれど、ヘルヴィル・フォクライーストは二歳で、しかも情緒のあまり育っていない幼児だった。
その要素も今の自分にあるのだろうと思うと、ヘルヴィルはそっと小さな手を左胸に当てた。
「”きみ”もいきてるんだね、なかよししよう」
別人になったと考えるより融合したと考える方がしっくりとくる。
新しい自分によろしくと言うように胸元を二度撫でて、ヘルヴィルは辿り着いた自室へと入った。
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