第25話 人慣れする為の特訓?
凛子と凛花。
2人の名前の由来を聞いたことがある。
それは
花の咲く子
という事だ。
意味が分からない人にはこう解説する。
花が咲く様な子に育ってほしい、その様な感じだ。
俺は.....姉妹で1つだと。
そういう事になっているのだ。
その言葉は至極単純の様に感じるが.....俺にとってはそれは夢の様な名前だな、って思うのだ。
その日の夜。
俺は自室に戻ってから勉強していた。
何がどうあれ.....俺は親父に嫌われている。
つまり俺は絶望の中で生きていくには。
成績が全て、なのだ。
「.....やれやれ。とは言え」
そんな事を呟きながら俺は天井を見上げる。
後頭部に手を添えながら。
そして盛大に溜息を吐きながら見上げ続ける。
何というかまあその。
本当にヤバいんですけど?何か煩悩が。
「.....俺は男だと説明した。だが何だあの対応は。.....全く.....」
「男とは思えない」
「.....うわぁ!!!!?何やってんだお前は!!!!!」
「何って大丈夫かなって見に来た」
「ノックしろ!アホか!」
「私達の間にそんなノックの壁なんか要らない」
「馬鹿か!」
俺は真っ赤になりながら凛子を見る。
すると凛子は俺の頬を握ってくる。
つまり俺が天井を見上げる様な感じで。
そして反対側に凛子で俺を見下ろす様な感じ。
俺は慌てる。
な、何をする気だ!?
「.....お前.....り、凛子!?」
「ははは。キス出来そう」
「.....いやいや.....お前な!?」
「冗談でも私はやるべき事はやる。だからキスもする」
「やめーや!?」
あのな!付き合ってもないのに!、と俺はバタバタ慌てる。
すると.....椅子から転げ落ちた。
それから凛子を押し倒す形になる。
俺は更に真っ赤になった。
そして汗を流し始める。
「.....凛子。すまん」
「.....何で謝るの。別に私はこれはこれで構わない」
「良くない」
そして俺は胸に手を添えて息を取り戻して立ち上がる。
それから、凛子。.....お前の気持ち確かに受け取った。.....だけどな。それでもキスはまだ早いんだ。恋人になってからなそれは、と答える。
凛子は、そう。.....分かった、と凛子は黙る。
そして頬にキスをしてきた。
「.....私は期待して待ってる。.....優樹菜がいつか振り向いてくれるのを」
「お前は相変わらず.....まあ良いけど」
俺は赤くなりながら頬を撫でる。
そして散らばった勉強道具を拾い上げる。
凛子も手伝ってくれた。
それから机に置いてから。
俺は凛子を見る。
「.....それで何の用事だ?」
「.....杉原とどう付き合ったから良いか教えて」
「.....あんなのと?.....上手く付き合う.....方法か?」
「そう.....とも言えるけど。まあそれ以外でも上手く付き合う方法」
「.....お前はそんなに酷い目に遭っていても考えるのか」
「.....杉原もワザとやってないと私は思う。.....だけどワザとの可能性もある。.....何というかあんな人間とどう付き合ったら良いか分からない」
まあそうだが.....、と思いながらベッドに腰掛ける凛子を見る。
凛子は、私自身が人の気持ちを知りたい、と言った。
そうだな.....まあ確かにな。
凛子は内気で.....人の心を読み取るのがあまり得意ではない。
なので言っているのだろう。
「.....分かった。.....一緒に徐々にだけでも学んでいこうか。人との関係性を」
「.....心とか。.....有難う優樹菜」
「とは言っても俺もそれなりだから詳しくは分からないぞ」
「心理学者でも無いのだから当たり前。.....大丈夫」
「.....そうか」
そんな返事をしながら俺は苦笑する。
すると凛子が拾った物を机に置きながら。
そして俺を見据えてくる。
迷惑じゃなかったら良いけど、と言いながら。
「.....迷惑じゃないよ。.....俺としても人馴れはした方が良いと思ったし。ただ杉原の事で無理にやっているなら止めてくれ。あんなクソ馬鹿の為だけにやるんだったら意味が無さすぎる」
「大丈夫。.....クラスメイトと仲良くしたい。.....ただそれだけ。杉原は本音はどうでも良い」
「.....なら良いけどな」
すると、ねえ。優樹菜、と聞いてくる。
俺は?を浮かべながら、どうした、と聞くと。
ベッド下に手を伸ばした。
俺は!!!!?と思いながら慌てて止めるが。
「.....これ。エロゲ」
「.....何で知ってんだよ.....」
「ベターな事。こういう場所に隠すのは」
「.....まあそうだけどよく引き当てたな。他にも入っているのに」
「.....ほほう」
エロじゃないけどな。
俺は苦笑いを浮かべながら凛子を見る。
すると凛子はパッケージを早速開け始めた。
それから、エロい、と一言。
この野郎勝手に開けやがって.....。
「どうせなら一緒にしたい。推しを作ろう」
「いや。エロゲってそういうもんじゃないだろ
「エロゲはキャラにも注目。ストーリーもだけど。製作者の情熱が伝わってくる」
「.....流石はエロゲマスターだな.....」
俺は額に手を添える。
そして盛大に溜息を吐きながら。
パソコンを勝手に弄り始めた凛子を見る。
というか凛花はどうしたのだ。
「.....お姉ちゃんは家事をしている。.....私と入れ替わり」
「.....ああ。そうなんだな」
「勉強していたから。優樹菜は」
「そうだな。すまない」
それから凛子はパソコンを起動させた。
そしてディスクを入れる。
その際に凛子は呟いた。
ヒロインを観て勉強をしているの、と。
「.....それは.....さっき言ったやつか」
「そう。.....だからエロゲは欠かせない」
「.....そうか」
「でも学ぶのは限界がある。.....だからこそ私に一緒に協力してくれて有難う。優樹菜」
「.....」
俺は柔和になる凛子を見る。
凛子はまだまだ未熟って言っているけど。
十分大人の女だよな。
俺は考えながら.....見慣れたエロゲを観た。
全くコイツという女は.....可愛いというか.....。
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