第23話 杉原という存在と姉妹と

事件というか.....これは何だろう。

その、事件なのだろうか。

凛子に対する思いだとは思うけど.....やり過ぎだと思う。


何が起こったか。

実は.....杉原が凛子の家に来たらしかった。

凛子は恐怖に感じたらしく隠れていたらしい。


「.....それで.....杉原が私に学校に来てほしいって」


「.....あの野郎.....本当に馬鹿野郎だな.....!」


放課後の話だ。

用事があったから凛花と席を外していたのだが.....その間だった。

杉原と杉原の友人が来たそうだ。

俺は怒りを露わにする。

そして拳を握る。


「.....私はそんなの望んでない」


「.....」


「私は何が起こっているのか分からなかった。.....何でこんな真似をするのか」


「杉原も大概アホだな。.....怒りを逆撫でしている」


「.....杉原は気付いてないんだ。多分。.....私は.....最悪だと思うけど」


凛子は涙を浮かべる。

そして歯を食いしばった。

今日は素直に帰ってくれば良かった。

まさかそんな30分の間にそんな事になっているとは.....。

最低だ.....。


「.....とにかく怖かった。アイツ.....リア充の頂点だから」


「.....そうなんだな」


「カーストトップだよ」


「.....信じられ.....るか。.....そうだな。アイツそんな感じだしな」


「.....杉原は優しいと思っているんだと思うけど。.....でも私にとっては傍迷惑。.....最悪の気分」


「.....何をされた」


窓を叩かれて玄関を叩かれた。

そして叫ばれた、と答える凛子。

それから震える。

俺は、ハァ、と溜息を吐いた。

何をしているんだ奴は。


「.....それって完全なあれだよな。.....脅しだよな」


「そうだけど.....犯罪に問えないでしょ」


「.....問えないな。多分」


「.....私は別に良いけどね。.....優樹菜が守ってくれる.....」


「馬鹿野郎。事実、俺が守れてない時に来たろ」


俺はその言葉を言いながら凛子を見る。

そして凛子の方を掴んだ。

それから凛子の目を真っ直ぐ見る。

ソファに腰掛けている凛子の目を、だ。

そうしてから潤む目を見た。


「.....凛子。駄目だそんなの。.....取り敢えずは自らの身を守らないといけないから。親とかに頼れ。分かったな?俺だけじゃない」


「.....そ.....うだね」


「.....俺としてはまだ心配だ。お前の事。だから.....ずっと思いたい」


「.....有難う。優樹菜」


「警察とか行政とか学校は役に立たないと思う。特に警察は。.....でもそれでも学校には一応相談、な?そして行政な」


そうだね、と答える凛子。

俺はその姿を見ながら.....眉を顰めた。

それから俺は凛子の肩をまた掴む。

そして頬にキスをした。


「.....なぁ.....へ!?」


「.....恥ずかしいけど。お前が安心するんだろ。これが」


「.....ま、まあそう.....だ」


「.....じゃあお前の為にやりたいから」


「は、恥ずかし.....い」


「お前な。お前も毎回やってくるだろ!」


「そんな変態みたいな事しない」


いやいや.....お前十分変態だけどな。

俺は苦笑いを浮かべながら凛子を見る。

すると凛子は頬に触れながら、エヘヘ、と笑みを浮かべた。

そして俺を見てくる。


「.....愛してる」


「.....まあ、うん.....そうだな.....」


「.....私.....やっぱり優樹菜を好きになって良かったと思う」


「.....俺もお前らと出会えて幸せだ。.....何度も言ったけどな」


「何度でも言って」


「.....お前」


クスクスと笑う俺達。

するとインターフォンが鳴った。

どうやら心配している凛花が来た様だ。


そしてドタドタと音が鳴って勝手にドアが開いて、大丈夫!!!!?凛子!!!!!、と絶叫が飛んでくる。

ビックリしながら俺達は凛花を見てみる。

凛子は目をパチクリした。


「だ、大丈夫。お姉ちゃん」


「.....そ、そう?本当に?」


「.....一応は大丈夫だ。凛花」


「.....そう.....良かったけど.....でも私まだ心配だから」


「.....うん」


自分の姉を見ながら凛子は柔和になる。

それから凛子は俺を見てきた。

優樹菜。有難う、と言いながら。

そして俺の手を握る。


「.....凛子。お前の手。暖かいな」


「.....うん」


「.....でもお前もしっかりしないといけないぞ」


「そう。.....しっかりする。本当に.....有難う」


「.....ああ」


それから俺達は3人で頷き合い向き合いながら。

全てに立ち向かう覚悟を決めた。

意を決する。


このまま終わらせる訳にはいかない。

思いながら杉原に。

全てに立ち向かう覚悟を決めた。


もし.....このまま居たら負けてしまう。

絶対に杉原の手に落ちない。

考えながら俺は.....眉を顰めた。

絶望が晴れる日は必ず来る筈だ。

そう思いながら.....。

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