第22話 親父の感情と優樹菜と凛子の想い
母親と父親は相当に仲が良かった。
どれだけかと言えば俺を愛しているぐらいに。
だが母親が亡くなり。
親父は変わった。
全てが豹変してしまう。
俺はそんな親父の事が嫌いだった。
かなり嫌いだ。
何故かって言えば.....親父が俺にたまにしか接してこない。
しかも親として成ってない。
だから嫌いだった。
「.....私は.....全てを愛したい。.....だからおじさんもきっと」
「.....お前は優し過ぎるんだよ。凛子」
「そんな事は無い。私は至って普通」
「.....」
飯を食べ終わってから。
俺達は紅茶を飲んでいた。
これは凛子特製の紅茶。
俺はその暖かさに触れながら。
凛子を見てみる。
その凛子は笑みを浮かべて俺を見ていた。
「凛子。.....有難うな」
「.....何が?」
「俺を愛してくれて。そしてここまでやってくれて」
「.....これは当たり前だと思っている。私にとっては何もかもが。.....だから気にしない」
「.....それが.....お前だからな」
「そう。私だから」
そして柔和に俺を見てくる。
俺はその姿を見ながら、っと。ヤバいな。勉強しないと、と言う。
ここ最近はあまりしてなかった。
そう思いながら.....。
って言うかムード無いな。今の。
「もう。ガリ勉」
「.....す、すまん。つい.....」
「.....でもそういう所が貴方だから。.....優樹菜だから。.....大好き」
「だから恥ずいっての」
俺は困惑しながら赤面する。
すると.....凛子は、ねえ、と言ってくる。
勉強なら一緒にしたい、と。
俺は、そ、そうか、と曖昧に返事をした。
「.....じゃあ一緒にするか」
「そう。有難う。.....優樹菜が一緒なら無敵」
「.....俺が一緒で無敵か?.....それは有難いこったな」
「あくまで優樹菜は最高に強い。.....だから安心出来る。ゲームで言えばスターみたいなアイテム」
「.....アイテムかよ。ハハハ」
するとずいっと俺に近付いて来る凛子。
ドギマギする俺。
美少女の顔がめっちゃ近い。
な、何だ、と聞くと.....凛子は俺の手を握った。
そして笑みを浮かべて頬に手を添える。
「.....とても暖かい」
「.....お前な.....!?」
「私の頬、柔らかいでしょ」
「.....柔らかいけど.....恥ずかしいって!?」
「私は触られても平気。.....優樹菜だから」
そういえば優樹菜のお部屋にエロゲがあった、と俺を見てくる凛子。
俺はさあっと青ざめる。
だけどバレてしまったものは仕方がないか。
それは.....凛子と凛花との為に買ったんだよ、と正直に白状する。
すると凛子はビックリしながら俺を見てくる。
「.....俺も勉強しないとなって思ってな」
「.....勉強.....」
「.....ああ。勉強だ」
「.....そうなの。ふふ」
俺を見ながら凛子は笑顔を浮かべる。
そして俺の手をまた握ってから。
頬に押し当てる。
こんな事ばっかりだな.....不用心だ。
全く、と思うが。
「.....優樹菜。有難う。結局優樹菜も変態だね」
「いや。変態じゃないけどな」
「でもエロゲするなんて変態」
「.....お前.....」
「.....でも嬉しい。優樹菜がそうして勉強してくれる。幸せ」
それから俺の頭に触れてくる。
そして俺を抱きしめた。
俺は、うぐ、と思いながら凛子を見る。
愛しい、と言いながら凛子は抱きしめてくる。
「分かったから。離れてくれ。恥ずかしいってさっきからマジに」
「嫌。離れたくない」
「.....」
「私は.....貴方が好きだから」
俺はその凛子の頬を両端から手で挟む。
そしてむにゅっと伸ばした。
餅の様に伸びる。
何するの、と言ってくる凛子。
俺は、何度も言わんでも分かるって。お前が好きなのはな、と言う。
「だからこそ俺は人生を見つめ直そうと思ってな」
「.....?.....人生を見つめ直す?」
「.....ああ。親父に先ず.....会いに行こうって思ってな」
「.....連絡取るの」
「お前が.....しっかりしてくれたから。一歩を踏み出せそうだから」
「.....そう。.....じゃあ一緒に私も頑張る」
俺はその言葉を聞きながら目を丸くする。
それから俺は笑みを浮かべた。
そして凛子を見る。
凛子は赤くなりながら俺を見つめてくる。
「.....私は.....貴方の心を癒したい。優樹菜を助けたい。だからこそ私も頑張る。.....絶対に後悔はしたくない」
「.....そうか」
その言葉に俺は苦笑した。
それから.....俺は凛子を見つめる。
凛子は俺の手を優しく握ってくる。
そして真っ直ぐに見つめてきた。
「.....私は優樹菜が笑顔になる為に何でもする」
「.....お前本当に小っ恥ずかしい言葉ばっかりだよな.....」
「.....それはだって優樹菜が好きだから。お姉ちゃんに負けたくない」
「まあお前のお姉ちゃんも大概凄いけどな。.....まあ.....でも分かった」
俺は凛子の頭を優しく撫でる。
それから、今度一緒に大学まで行くか、と笑みを浮かべた。
当然だが親父に連絡してから、となるが。
すると凛子は、お姉ちゃんも連れて行くから、と言って。
予定を合わせる、と返事をした。
「.....だからそれまで待っていて」
「.....分かった。2人の予定が立つまで待つよ」
そして俺は。
凛子の励ましも.....あり。
親父に会う事になった.....のだが。
その前に事件が起こってしまう。
それは.....。
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