第14話 貴方は私の希望です
結局だが親父は殆ど滞在しなかった。
そして飽きた様にそのまま帰ってしまう。
俺はその事にモヤモヤを抱えながら自室に籠る。
親父は何故変わってしまったのか。
あんなに.....変わってしまったのか.....。
その気持ちを知る由も無いが。
俺は考えながら盛大に溜息を吐いていると窓がノックされた。
そしてカーテンを開けるとそこに凛子が。
相変わらずの笑みを少しだけ浮かべて立っている。
その手にはフィギュアの箱が握られていた。
「.....よお。受け取ったんだな」
「.....うん。いち早く報告したかった。優樹菜に。.....嬉しいって。どうせもう知っているかもだけど」
「.....そうだな。そのフィギュアは2人で買いに行ったものだからな.....」
「?.....優樹菜.....元気が無いね」
「.....そうか?俺はいつも通りだぞ?ハハハ」
「.....何時も通りじゃ無いって事ぐらい気付く。私を舐めないでほしい」
そしてフィギュアの箱を置いてから。
そのまま、待ってて、と言いながらドタドタと家の階段を降りて行く。
俺は?を浮かべて立っていると2分ぐらいでインターフォンが押された。
ドアを開けると.....そこにお菓子とカゴを持った凛子が立っている。
「どうしたんだ?それは.....」
「.....私が作った。.....優樹菜に食べさせてあげる。.....カップケーキ。初めて作った」
「.....そうなんだな」
「.....優樹菜。どうしたの。何があったの」
「.....お前には何も隠し事が出来ないな。本当に」
「お前、じゃない。お姉ちゃんもきっと気付く。.....話して」
真剣な顔をしてくる凛子。
俺はその言葉に眉を顰めながらも。
諦めてから話し出した。
俺はおかしいのか、という点。
そして親に愛情を貰えなかった複雑な思い、とか。
「.....帰って来たんだ。おじさん」
「.....我ながら馬鹿らしいよな。.....そんなの」
するといきなり凛子がカゴを放り投げて俺に近付いて来た。
そして俺の頭を自らの胸に押し込める。
何を!?、と思いながら凛子を見上げる。
凛子は悲しげな顔をしていた。
「.....優樹菜。かわいそう」
「.....お前.....」
「.....だから私の胸に押し込めた。.....おっぱい大きいからすやすや寝れる」
「寝れんって。.....でも落ち着いたよ」
そして俺は凛子に抱かれたまま。
暫くジッとしていた。
それから一安心して立ち上がる。
そうしてから凛子を見る。
凛子は俺を見ながら柔和な顔をした。
「.....私は.....優樹菜。私は.....貴方に対して優しくしたい。優樹菜から貰った大切な物を恩返ししたい。.....だから私は貴方が苦しい顔をしているなら。寄り添いたい」
「.....凛子.....」
「貴方が元気な姿が私にとっては最大の希望でありそして最後の絆」
「.....絆の事に関してはちょっと意味が分からないが.....まあそう思ってくれるだけ有難いな」
「.....私は本気で思っている」
それから俺に抱きついてくる凛子。
ホァ!?どうした!?、と思いながら真っ赤になる俺。
そして凛子は俺を赤い顔で見上げてくる。
私は.....貴方の性格が好き、と言いながら.....。
俺は目を回す。
「お、お前!?告白かそれ!?」
「ち、違う。告白じゃない」
「そうか!?俺には告白に見える!」
「そ、そなわけな.....!?」
何言っているか分からない感じで真っ赤になる凛子。
そして目を回し始めた。
今まで見た事のない姿だ。
俺はその姿を見ながら息を整えてから。
額にチョップした。
「まあせっかく来たんだ。一緒に食べようぜそのお菓子」
「うん。.....お菓子もそうだけど」
「.....?」
カゴの中からパープルソフ○ウェアと書かれたものを出す.....凛子。
うぉい!!!!!このくだりは前あったぞ!
俺は真っ赤になりながらパンツにシミが出来て股を広げている女の子の画像のあるパッケージを見た。
おいおいおい!!!!?
「い、一緒にやりたい」
「.....あのな.....いやもう良い。やるか」
「そうだね。.....優樹菜」
「.....何だ?」
「私はギフテッドだけど。.....貴方は私が好きですか」
「.....そうだな。.....大好きだぞ」
ボッと赤面する凛子。
はファ?、と言いながら。
え?お前が質問したよな?、と思いながら凛子を見る。
凛子はカゴを拾ってそのままリビングに行ってしまった。
俺は???を浮かべながらその姿を見る。
「凛子?どうした?」
「い、いや。そんなはっきり言われる.....と」
「は?聞こえない.....んだが?」
「な、何でもない。女の子に追及禁止」
「.....そ、そうですか。すいません」
ガルルルル、という感じで睨んでくる凛子。
しかし.....何だか最近からだけど表情豊かになったな凛子は。
俺は苦笑いを浮かべながら凛子の頭をゴシゴシ撫でる。
すると、何するの、と凛子が慌てる。
「.....何でもない。.....ただお前が愛しいなって思った」
「.....い、愛しい.....って.....ふあぁ.....」
うへへ、と頬に手を添えてニマニマする凛子。
俺はその姿を見ながら訳が分からないまま居たが。
凛子が嬉しそうにするので。
まあ良いか、と思いながら室内に入った。
それから紅茶を用意する。
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