第11話 激昂する想い
「優樹菜。今日は一緒に行ってくれて有難う」
「気にすんな。.....ゲームなら俺も見たかったし」
「.....それはつまりエロゲに貴方も興味があるって事」
「無いわ!」
何でそうなるんだ。
俺は真っ赤になりながら反論する。
すると前を見ながら、そう、と反応した凛子。
そして歩いていると。
凛子が俺を見てから、朝の事。ちょっと恥ずかしいセリフだった、と答える。
「.....ああ。エロゲの様な恋がしたいってやつか」
「そう。.....恥ずかしかった。馬鹿だった」
「.....そうだな.....」
「.....でも私は言って後悔はしてない」
「.....?.....それはどういう意味だ」
さあ。どういう意味でしょう、と言いながら人差し指を唇に添える凛子。
俺は見開いて赤面しながら頬を掻く。
ついついドキッとしてしまう。
全くコイツはな。
そう思いながら俺は歩く。
そしてスーパーと併設されているゲーム屋に着いた。
今日は学生が多いと思える感じだ。
そう考えながら凛子を見る。
「.....で?何のゲームを見るんだ?」
「今日はレトロゲームを見る」
「.....そうか」
「.....願うはエロゲも」
「無理だろ。制服姿だぞ俺ら」
「.....じゃあチラ見だけでも」
無理だっての、と言いながら俺は凛子を見る。
凛子はムッとしながら顔を歪ませる。
なんていう顔だよ。
俺は苦笑いを浮かべながらそのまま店内に入る。
そしてレトロゲームコーナーに向かう。
「シューティングゲームがしたい」
「バイ○ハザードとか?」
「それ以外にもサイレ○ト・ヒルとか。持ってない。カセット」
「サ○レンとかもヤバいけどな」
「あれは凄い」
特売ゲームを漁りながら返事をする凛子。
サイ○ン怖いよなぁ。
マイナーかもしれないけど.....看護師とか訳がわからない部分とか脱出とか。
もうゾッとする。
「.....今日はゾンビを倒すゲームにする」
「.....そうか。.....それは良いんじゃないか」
「.....このゲームにする」
「.....ああ。それじゃあどうする。別の見て回るか」
「うん。.....ねえ。優樹菜。優樹菜が好きなゲームって何」
「俺?俺に聞かれてもな.....マリ○とか?」
マ○オ.....、と顎に手を添える凛子。
それから俺を見上げてくる。
じゃあマリ○カートとか、と聞いてきた。
俺は、まあそんな感じだな、と答える。
「.....エロゲは?」
「.....しないって言ってんだろ。お前は」
「.....女の子が可愛い。やってよ」
「やらない。お前な.....」
プンスカしながら歩いて行く凛子。
俺はその姿を見ながら盛大に溜息を吐いた。
すると壁に貼られているポスターを見た凛子。
それから目を輝かせた。
そこには.....新たなエロゲ新登場、と書かれている。
ゆずソ○トからの新作エロゲ、と。
俺は苦笑いを浮かべる。
「これ予約したい」
「.....お前すっかりエロゲに毒されているな?」
「そう。私は.....」
そこまで言ってから。
あれ?、と声が聞こえた。
その声の聞こえた方向を見ると如何にもウザそうな顔をした連中が。
つまり茶色の髪とかの女子3人組。
何だコイツら、と思っていると.....凛子が震え始めた。
「.....凛子ちゃんだっけ?.....アンタゲームとかすんの?」
「.....そう.....だけど」
「何?キモいね。ゲームするとか。子供っぽい」
「.....じゃあ何でこの場所に居るの。杉原絢音」
「.....私?私はキモい連中を馬鹿にしに来ただけってか見に来ただけ」
何だかイライラしてきた。
俺は思いながら杉原を見ていると。
杉原は、その冴えない奴ってアンタの彼氏?、と聞いた。
すると店の中だというのに凛子が見開いて絶叫する。
冴えなくない!!!!!、と。
「.....り、凛子.....」
「.....私の大切な人を馬鹿にするな.....」
「.....へえ?意味不明。.....こんな人が大切なんて。きもーい」
そしてそのまま、まあでも良いや。ネタが釣れたし、と女子3人組は去って行く。
それから後に俺と凛子だけが取り残される。
凛子は胸に手を添えて冷や汗をかく。
俺はその姿を見ながら頭を撫でた。
「.....有難う。凛子」
「.....何が」
「.....大切な人なんだな。俺はお前にとっては」
「そう。.....大切。許せない。杉原はドキドキするけど。.....馬鹿にされるのは絶対に嫌。優樹菜を」
「.....」
そして驚いていた店員さんに謝って頭を下げながら。
俺達はゲームを買ってから表に出る。
しかし.....最悪な場面を見られた。
またなんかイジメに勃発しそうだな.....。
困った。
☆
『エロゲはネットで予約する』
「.....そうか。それで良いんじゃないか。あんな時には買う気にもならんだろうしな」
『ゴメン。最悪な場面を見せてしまって』
「最悪な場面っていうか。知れて良かったよ。杉原がどういう奴なのか」
『.....うん』
夜になった。
電話でそう話しながら。
俺はラノベを読んでいた。
あの後、凛子は所謂動悸が、ドキドキがなかなか治らなかったそうだ。
だけど杉原に伝えたい事は伝えたと。
胸を張っていた。
「.....凛子。.....お前は胸を張れ。いつでもな。.....お前は悪く無い」
『変わらず優しい。優樹菜は』
「.....俺はお前の事を心配している。本気でな。.....だから相談してくれ。頼む」
『.....うん。何かあったら必ず言う。だって優樹菜は.....』
そこまで言って黙る凛子。
俺は?を浮かべながら、凛子?、と聞くが。
数秒時間が空いた。
それから、何でもない、と答える。
『.....おやすみ』
「そうだな。今日は有難うな。色々と」
『.....うん』
そして電話を切ってスマホをベッドに投げ捨てる俺。
それから天井を見上げて眉を顰めた。
杉原絢音.....か。
そう考えながら、嫌味な野郎だ、と思った。
心から嫌いだ。
ああいう人の趣味をかき消す様な真似をする野郎は。
次に会ったら腹立つからぶん殴るかもしれない。
いや割とマジに。
絶対に絶対に許さない。
俺の幼馴染は大切なんだから。
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