第10話 優樹菜の家族関係
最近何かと(エロゲ)の話題が多い気がするが.....気のせいか?
って言うか女子ってえっちなんだな.....。
俺は盛大に溜息をまたも吐きながら外を見る。
そうしていると有原が、のう。どうした、と聞いてくる。
「.....お前は良いよな。呑気で」
「.....お前ぶっ殺すぞ?これでも悩みはあるっての」
「平たい顔の眷属みたいなの、なのにか?冗談だろ」
「お前殺す」
「やってみろこのハゲ」
俺達は見つめ合う。
それから有原は苦笑いを浮かべた。
そしてガタンと椅子に腰掛ける。
そうしてから、言ってみなされ。どないした、と聞いてくる。
俺はそんな有原に、ああ。お前さ。エロゲみたいな恋をしたいって言われたらどないする、と聞いてみる。
「.....何だそれは?エロゲの様な恋.....お前が?」
「俺な訳ないだろお前」
「いや。お前だからこそあり得るかと」
「お前な。ぶち殺すぞ」
「まあそれは冗談だが.....お前さん。そう一体誰に言われたんだ」
「女子だな。.....誰かは言わん」
意味不明すぎる、と有原は困惑する。
だけどドキドキするなそれって、とハァハァと興奮し始めた。
俺はその姿を見ながら、オイ、とツッコミを入れる。
するとそのツッコミの後。
有原は天井を見上げた。
「まあ何と言いましょうかね。それって何か恋がしたいって事だろ。意思表示としては」
「.....そうかなぁ」
「えっちなゲームで言ってくるっちゃ相当なもんだが。.....まあでも恋している相手が居るんじゃないか?誰か」
そんな馬鹿な事があるか?
あの凛子が?
俺は顎に手を添える。
すると有原は言葉を続けた。
「.....是非とも会ってみたいねぇ。そんな女の子には」
「エロ目的で?」
「違うっつーの。そんな遠回しの告白の様な事をする様な女の子とかマジに親友なりたい。可愛い」
「.....」
凛子は告白してきていたのか?俺に?
まあそれは無いな。
俺はなんせそんな恋をされる程.....、と思いながら考えていると。
有原が、お前の親父は確かクズで。母親が優しい人だったんだよな?確かエンジニアで、と聞いてくる。
「.....クズと言えばそのままだ。.....恋を忘れたのはこれが理由かな」
「分からんな。.....俺は心理学者でも預言者でもない。.....一般人の凡人だ。.....だからお前の気持ちの悪化の理由は知らん。.....だがそんな親は俺だったら殴ってるけどな」
「.....家に居させてもらえるだけ最高だしな。感謝はしているが。.....父親としては俺に何の期待もしてないだろうな。家に居る粗大ゴミ程度で」
「アリエナッシングだな。.....どういうクズだよ全くよ」
「.....母親が死んでから変わったよ。アイツは」
「.....そうか」
愛している女性を失うとは?どういう意味なのだろうか。
俺はそんな事を考えているうちに。
恋が分からなくなったのだ。
だから俺は恋が臆病なのかもしれないけど。
と思っていると有原が、でもお前。答えは出せよ、と言ってくる。
「.....例えお前じゃなくても。.....お前にそう言った限りはお前も範疇かも知れない。.....だからちゃんとその女の子に答えを出せ。そして考えを伝えろ。これ大切」
「.....恋をした事も無い野郎に言われたか無い」
「殺す」
「.....まあそう言うな。裏を返せば褒め言葉だぞ」
「嘘を吐けお前。.....全くな」
「.....でもサンキューな。有原。お前のお陰で決心がついた。アイツに向き合う覚悟が決まった」
おうそうか、と言いながら有原は笑みを浮かべる。
俺はその有原を見て外の景色をまた見た。
それから盛大に溜息を吐いてから。
意を決した。
「優樹菜」
「.....お!?な、何だ。凛花」
「.....さっきの.....だけど」
「.....お、おう」
スカートをギュッと握り締める凛花。
そして俺を見てくる。
唇を噛みながら、であるが。
だが、やっぱり良いや、と諦めた。
何だよ!?
「.....何でもない。ゴメン」
「そりゃないわ。.....お前という奴は全く」
「うん。ゴメン」
何を言いたかったのだろうか。
俺は考えるが答えは出なかった。
思いながら俺は女子の中に紛れて行く凛花を見る。
そして有原を見ると。
有原は、凛花ちゃんか?、という感じの目をしていた。
「.....違う」
「.....そっか。.....なら聞くまい」
「.....お前も相変わらずだよな。有原。配慮だけは人一番に上手だよな」
「それしか取り柄が無いからな」
「.....お前のお陰で助かってるよ」
そして俺達はまた授業を受ける。
それから俺は帰っていると。
校門の辺りに凛子が立っていた。
俺は?を浮かべて、凛子。どうした、と言う。
すると凛子が、ゲーム買いたい、と話してきた。
「.....ああ。そうなのか。じゃあ行くか.....」
「.....」
「.....凛子?どうした」
「.....私って要らない子かな」
その言葉に俺はゾッとした。
背中を冷たい手で撫でられる様な。
そんな感覚を覚えた。
俺は凛子を真剣な顔で見る。
すると凛子は涙を浮かべてから、杉原が絡んでくる。.....杉原絢音(すぎはらあやね)。.....私のいじめっ子、と語る。
「要らない子?そいつの方が要らないだろ。.....直接言おうか。俺が」
多少イラッとしながら言うと。
ダメ。貴方に迷惑が掛かるし私がまたイジメられる、と言った。
そして涙を拭いながら笑みを見せる。
相変わらずの真顔だったが柔和な感じで。
「.....買いに行きたい。.....もう大丈夫。.....優樹菜に会ったから」
そして目の前を歩いて行く凛子。
その姿に思わず手を握った。
それから両肩を掴む。
膝を曲げて目線を合わせる。
「.....何かあったら必ず言え。絶対に」
「.....う、うん」
「.....俺はもう二度と失うのはゴメンだ」
「.....!」
俺が母親を失った理由。
それは至極単純な事だった。
自殺である。
過労による自殺とされている。
俺は.....その事が.....今でも胸を痛める。
助けられなかった。
その事が。
だから俺は凛子を.....特別に気に掛けているのだ。
失うのはもう.....ゴメンだから。
二度とそんな過ちは犯さない.....と。
そう決意している。
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