第7話 AVとミラクル

何故か知らんが凛花と一緒にアニメグッズ買いのデートが始まった。

いやまあ俺はデートとは思ってない。

むしろデートじゃ無くてただの買い物と思っているが.....何だろうか。

凛花スッゲェ嬉しそうだ。

どういう事やねん。


「凛花。デート気分なのか?」


「ばっ!そんな訳ないでしょ!」


「そうですかい」


電車に揺られながら。

俺が話し掛けたのでスマホを隠す凛花を見つつ。

外を窓から見る。

それから俺はため息を吐きながら天井を見上げる。


「で、デートなんて馬鹿な妄想よ!全く」


「あー、でも嬉しいんだろ?お前」


「バッ!?」


「分かった分かった」


全くこやつは。

俺は苦笑いを浮かべながら凛花を見る。

するとガタンと電車が揺れて凛花がスマホを落とした。

カチャンと音が鳴る。

あらら、と思いながら慌てる凛花の代わりにスマホを拾う、と.....。


「お、お前.....一体マジに何を観ていたんだ.....」


「ばっかじゃないの!女の子のスマ.....ホ観るとか!?変態!」


慌てても意味無いけどな!

お前が最低だろ!

AVて!


アダルトビデオが映っている。

何でだ!?ってか本当に何を観てんだ!

俺は考えながら赤面になる。


「変態はお前だ!クソ馬鹿野郎が!?」


「わ、私だって女の子なんだから!」


そんなぎゃいぎゃい言っていると。

乗客に睨まれた。

俺達は赤いまま顔を背けながら電車を降りる。

そしてジト目で凛花を見る。

凛花は赤面しながら、うぅ!、と言う。

コイツという奴は。


「お前な。アダルトビデオは簡単に言えば18歳からな!駄目だからな!?」


「うるさいわね!ちゃんと買って観てるから!文句言われる筋合いは無いわよ!」


「あのな!それに年齢偽るな!?」


「うるさい!うるさーい!」


それから文句たらたらでそのまま大幅で歩いて行ってしまう凛花。

マジに変態だなあの女.....俺は考えながら真っ赤になる。

全くなんて野郎だ。

最悪だな!?、と思いつつ、ついて行く。

すると。


「ねえ」


「.....どうした」


「エロい女の子.....は嫌い?」


「嫌いじゃ無いが.....」


複雑な顔をしながら顔を上げてくる凛花。

俺はその姿を見ながら顎に手を添える。

それから盛大にまたため息を吐いた。

そして凛花を見る。


「凛花。嫌いじゃ無いから。そんな顔するな。まあよくある事じゃないか?電車内でAV。お前の行動にはまあ正直ドン引きだけどな。仕方がない。お前さんは仮にも幼馴染だし」


「優樹菜.....」


「凛花がそうなら俺も付き合うしかあるまい」


「優樹菜.....まぁありがと.....」 


そんなもんやろ幼馴染は。

俺は思いながら苦笑気味で幼馴染を見る。

凛花は赤面しながら、うん、と頷いた。

それから俺を見てくる。


「行こうか。アニメショップ」


「ああ。だけど人前で観るなよ?AV。勘弁してくれ。何かあったら大変だしな」


「まあうん。控える」


観ないって言えよな.....。

俺は顔を引き攣らせながら凛花を見る。

凛花は、まあまあ、と言いながら笑みを浮かべながら俺の手を引いた。

それから駆け出して行く。


「凛花。確か2丁目辺りだよな?大きなアニメショップ」


「うん。2丁目辺り。今日凛子の好きなアニメのイベントやってる」


「そうなのか。そりゃ行かないとな」

 

全くコイツといいアイツといい。

俺は苦笑いを浮かべながらそのまま歩く。

そしてアニメショップにやって来た。

すると何故かメイド喫茶に誘導された.....。

どないなっとんねん。



「お帰り!お姉ちゃん!お兄ちゃん!」


お、おう。

俺はドン引きしながらとても可愛らしい女の子達を見てみる。

ニコニコしている。

苦笑いを浮かべていると雪の様な冷ややかな視線を感じた。

俺は咄嗟に背後を見る。


「お兄ちゃん。.....ふーん。そう言われて嬉しい?」


「メイド喫茶ってこんなもんだろ!?」


「知らないけど。ふんだ。.....バカ優樹菜」


赤くなりながら小さく何かを呟く凛花。

聞こえないんだが。

俺は考えながら居ると手を引かれた。

ニコッとした店員さんに。


「お兄ちゃん席に座って?一緒にニャンニャンしようよ!」


「ニャン.....ニャンだと.....」


「お姉ちゃんも!」


「わ、分かりました」


そして俺達はドギマギしながらテーブルのある椅子に腰掛ける。

メニューも.....何かまたハードル高い!

周りが煌びやか!

どないしたものか、と悩んで居ると凛花が見ているのに気がついた。


「何を注文するの?まさかニャンニャンオムライスとか言わないよね?」


ニャンニャンオムライスとは。

一緒にケチャップでニャンニャンとミラクルを起こすオムライス。

店員さんと一緒。

女の子とイチャイチャとなる。

俺は、いや。それはまあない、と答えた。


「恥ずかしいしな。.....そう言うお前はどうなんだ。ニャンニャン甘々コーヒーとか?」


「まあそのぐらいなら良いかなって。.....優樹菜。取り敢えずはオムライスは禁止」


「なんでだ?」


「なんでも良いでしょ。絶対に禁止。ダメ。絶対にダメ」


うるさい。

それに理不尽じゃねぇの?

俺は訳が分からず仕方がないので取り敢えず同じ物を注文してみた。


甘々コーヒー。

つまりニャンニャンの甘々愛情付き。

しかし何故オムライスは禁止.....?

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