第5話 エロゲをする理由

「やっぱ夫婦かこの野郎!!!!!」


「はぁ!?いきなり訳のわからん事を!!!!!お前マジに良い加減にしろよ!!!!!反省しやがれこの野郎!!!!!」


保健室のアイスノンを頭にくっ付けながら。

俺は目の前の有原元輝(ありはらもとき)を見る。

有原のクソ野郎は帰宅部のクソ野郎だ。

頭も坊主にしているクソ野郎である。

このクソ野郎が膝蹴りしたお陰で俺は吹っ飛ばされて傷を負った。

絶対に許さん。


「まあ。いつもの通りだから.....」


「お前は有原に味方するのか?凛花」


「凛花ちゃん。味方になってくれるのか」


「.....いや?それは言ってない。.....反省して.....?」


冷酷な目をしながら有原を見る凛花。

ガタガタ震えながら、はい、と小さくなる有原。

初めからするなよ.....、と思うのだが。

コイツはコイツだしなぁ、と思いつつアイスノンをゴミに捨てた。


「.....んで?有原。朝から何の用事だ」


「ああ。巷で聞いたんだが.....お前さんら夫婦になってんぞ。あだ名が」


「何?俺達が何でそんな感じ見える?俺達はあくまで幼馴染だぞ」


「.....まあそうだが.....」


夫婦ってお前な。

俺は思いながら有原を見てみる。

すると有原は、それに腹立たしいのはお前からは二股臭がしてな、と言ってくる。


いやお前。

俺は誰とも付き合ってねぇよ。

すると有原は凛花に向いた。


「あ。そうだ。凛花ちゃんは姉妹なんだな。この前、初めて知った」


「あ.....言ってなかったっけ?」


「そうだな。初めて知ったわ」


「.....そっか。ゴメンね有原くん」


そんな会話をしていると有原が、んでその事に関してだが.....なんか凛花さんの妹さんは別教室の俺の妹から聞いたんだが教室で浮いているんだってな?、と顎に手を添えて聞いてくる。

俺はハッとしながら、まあそうだな、と弱めに返事をする。

凛花を見ると、やっぱり.....そうなんだ、的な顔をしてから複雑な顔をしていた。


「.....お前の妹に凛子の友人になってって頼んでくれないか」


「いや。まあそれは良いんだけどさ。.....何だかそう言うのにも興味が無いような。そんな顔らしいからさ」


「.....そうか」


全く凛子の野郎。

俺は考えながら見ていると。

チャイムが鳴った。

俺達は椅子に腰掛けながら、また後で、という感じになる。

凛子は.....まあ大丈夫だとは思うけど、と思いながら.....。



「優樹菜」


「.....お.....どうしたんだ。凛子」


「ゲームがしたい。息抜き」


「.....ゲーム?何のゲームだ」


教室の入り口に行く俺。

するとそう言われた。

俺は、教室でやったら良いじゃないか、と言うが。

駄目。煩いし、と言ってくる。

相変わらずのボッチ発言だった。


「優樹菜が良い」


「.....そうか。んで何のゲームだ」


「ボードゲーム。オセロ」


「.....相変わらず用意が良いな。そうか」


「そう。.....遊んで」


おおそうか。

えっと。トイレに行っているけど凛花も呼んでくるか?と聞くが。

大丈夫。今回は2人で、と話す凛子。

俺はその言葉に、そうか、と返事しながら屋上に向かう。

その際に話し掛けてみた。


「なあ。お前は友人とか要らないのか」


「友人は.....いい。.....私には要らない。だって.....優樹菜がいる」


「.....まあそうなんだけど.....」


「優樹菜が居れば私は大丈夫」


「.....」


先は長いな。

俺はそう思いながら屋上のドアを開ける。

ここは中休み、昼休み時間だけ解放されている場所だ。

ゆっくり出来る様にベンチとかいっぱいあるのだ。


「.....優樹菜」


「.....何だ」


「天才って何だろうね」


「.....ギフテッドか」


「.....うん。私は頭が良いでしょ。教科書をパラパラ見たら全部記憶出来る」


そうだな。

その点は凛子は昔から変わってない。

大学の授業自体にも付いて行けるしな。

俺はその言葉を重く受け止める。

そして凛子を見た。


「エロが私を救う」


「.....ああ。それで逃げ場としてお前はエロ動画が好きなのか」


「うん。私は.....エロゲ好きになった」


「.....成程な」


エロゲは素晴らしい。

私を存分に可愛い子が救ってくれる、と熱く語る凛子。

俺はその姿を見ながら熱意を感じる。

しかし逃げ場がエロゲとはな.....。

世の中あり得ないことばかりだ。


「.....凛子はどんなキャラが好きだ」


「.....私は.....髪の長い女の子。.....着飾らない女の子」


「.....そうか。.....それは良い事じゃないか」


「そう。.....ね、ねえ。優樹菜」


「何だ?」


私は優樹菜が好きなキャラクターを聞きたい、と赤くなりながら聞いてくる。

俺はその言葉に?を浮かべる。

アニメキャラの容姿って事かな?

顎に手を添えながら、俺は髪の長い女の子だな、と答える。


「.....そ、そう.....」


「何でいきなりそんな事を?」


「エロゲをしていて.....私は可愛い女の子になりたいって思った」


「.....そうか。.....でもお前十分に可愛いけどな」


「.....ふあ.....」


これ以上ない感じで真っ赤になる凛子。

俺は???を浮かべながら凛子を見てみる。

変な言葉を言った後にしゅんと小さくなった。

何だコイツは。


「じゃ、じゃあ性格は.....」


「.....性格?.....穏やかな性格。.....そして料理出来る女の子かな」


「.....ふへ.....ふへへ.....」


「.....なあ。さっきから変な声だしお前どうしたんだ?」


「な、何でもないかも.....」


何でそんなに真っ赤になってんだよ。

俺は更にクエスチョンマークを増やして見る。

すると、は、早くゲームをしよう、と言い出して席を確保した凛子。


それからゲーム盤を開いてから俺を見てくる。

紅顔でモジモジしながら。

一体どうしたのだコイツは?

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