偶然のイッチと先見のメイ

『夢幻』

「なんかさ、最近思うんだ。」

『なにが？』

「全部夢ならいいのになって」

『どういうこと？』

「メイがさ、何か色々してくれてるのはわかってるんだ。

でも、そうさせてるって思うと辛くて…

私がこんなんじゃなかったら…

全部夢だったら…」

『そんなこと言わないでよ！

わたしが好きでやってることなんだから気にしないでよ！！』

「…ほんとに？」

『ほんとだよ！』

「じゃあさ…」

『なに？』

「メイが私の代わりになってよ」

…

……

………

なんかすっごく気になるような怖いような夢を見た気がする…

漠然とそんなイメージな夢。

寝起きで働かない頭でもそれだけはわかっていた。

…

……

………

『…ていうさ、すっごい漠然としたイメージな夢をみたわけよ』

「ほーん、で？」

『気にならん？』

「いやー、なるけど、気にしたところでわかるわけでもないし。

リアリストなメイさんにしては珍しいですなぁ。」

『ね。

わたしもそう思う。

でもなーんかひっかかってさ。』

「うーん、【何か】はあるかもしれないけど、そんなに気にしなくてもいんでない？」

『と、いうと？』

「だって、こうなりそうだなー、とか、思わなかったんでしょ？」

『漠然としたイメージだから、こうなるもなにもなくない？』

「いや、【先見の】メイ様的によ？

そう思わないんだったらそうならなそうだからさ」

『まぁ、たしかにそれはそうかも…？

てか、【先見の】メイはやめてよ』

「いやー、と言われましても、いままで数々の実績があるからねぇ。

身近な友達としては、そのご利益は信仰の対象にすらなりえますわ」

『もう！やめてよね！

わたしが神様に適うわけないじゃない！』

「まぁ冗談はさておき、何があったってこの私がついてるから！」

『トラブルメーカーがよくいうよ…』

そう、このこのトラブルはわたしにとってもイレギュラーで、今まで一度も予測、予想できたことがない。

何か因果律の操作やら確率変動やら大きな力が働いているのでは？

と、思うこともしばしば。

そんなトラブルメーカーのお墨付きならある種大丈夫かもしれないと思った。

「この！泰然自若！どこ吹く風の南方琴にまかせなさい！！」

『…その熟語とか慣用句を名前の前につけて名乗るのやめて…

わたし含めて厨2シスターとか揶揄されるから…』

「えぇー！？かっこいいじゃん！！

なにがダメなん！？」

『その感性だよ…』

底抜けに明るい彼女にわたしはいつも救われる。

そういった意味では彼女はわたしの信仰対象だ。