EP9 オッサン登場



私はしばらく途方にくれながら水面と…

にらめっこをしていた。



「これが、私なのか…?」



私はその少女の…自分のほっぺたを手でフニフニとして、夢じゃない事を確かめるが…


(痛てててて…)


夢では無い。

やっぱり、正真正銘の少女になってしまった様です。




「へぇ…」


でも、以外と可愛らしい顔をしているわね!!

これはこれで良いかもしれない。まぁ、今までみたいなオッサン間近の青年よりかは、こっちの方が良い感じがするわね。


「フフフフ…」 


びっくりはしましたけど…私は案外、あっさりとその現実を受け止めていた。とりあえず、私は再び町に向かって歩き出す。



(テクテクテクテクテク…)



これから…

この新しい身体で、どんな生活が待っているのでしょうか?

とても、ワクワクしている気持ちもあります。新しい生活に向けての胸がおどる様な期待もありました。



「…」(私)



…しかし、そんな悠長な事も言ってられないよな。

私は、不安と期待が入り混じりながら、小川のほとりをテクテクと歩いていた。



(これから先、どうしよう…)


(とりあえず、町に行って情報を集めましょうか…)












「カアカアカアカアカア―」



―その後も、しばらくどこかに向かって歩き続けていく内に陽が暮れてきた。遠くで烏が鳴いている。草原の地平線の彼方に、今まさに夕陽が沈もうとしていた。



景色は、綺麗だけどなぁ…



逆に、とても寂しい所です。



人も、いないからですからね。

そして、夜になれば辺りは漆黒の闇となり、その寂しさを更に倍増させるでしょう。そんな…忍び寄る漆黒の闇は、私の抱えていた不安も助長させていた。





(夜になる前に、町に着けば良いけど…)







「…」(私)







でも結局、町に着く前に夜になってしまいました!!

辺りは、灯りも何も無い、真っ暗だ!!


夜空を照らす月?でさえも、分厚い雲で隠れてしまっています。



「!!」


そういえば―

ポーチの中にランタンが入っていましたね。使えるかな…

私はポーチからランタンを出す。そして、恐る恐るランタンのスイッチを押すと…灯りが点いていた。


は~良かった…


因みに…このランタンは、私のアパートの部屋にインテリアとして置いてあった物です。電池で動いている。まぁ…買ったのは、かなり前で使う事なくゴミに埋もれていたけどね。



そして、レジャーシート!!


私は、ポーチから取り出したレジャーシートを高々と手に掲げる。このレジャーシートは、私が学生時代…(一部割愛)…使う事なくゴミに埋もれていたけどね。



ウサギさんは、遠くで私の事を待っている様ですけど…お腹も空いてきたし、今日はここまでにしましょうか。





「「ウサギさーん、今日はもう終わりよー!!」」



私は川のほとりで、野宿する事にします。ウサギさんを呼び戻し、レジャーシートの上に座り、晩飯にしましょう。私はランタンをレジャーシートの真ん中に置いて、灯りにする。小さく揺らめくランタンの灯りは、辺りの闇に比べたら、とても心もとない気もしますが、無いよりは遥かにマシですね。



さて、晩飯ですけど…私は、ポーチの口を開けて 



「晩飯よ、出てこーい!!」 



と唱えて、ポーチをフリフリ振ると―あら、不思議!!

晩飯がポンポンと出てくる。



なんと…こうする事で、ポーチの中から狙った物をすぐに出す事が出来るのです。これは先程、偶然に発見した裏技?ですね。勿論、普通に手を入れて取り出す事も出来ますが、探すのがかなり苦労します。



レジャーシートの上には、カップ麺が2個、菓子パンが5個、スナックが3袋、水筒、湯沸かしポット、箸が出てきた。






…これは、私の昨日の晩飯になるはずのものであった。


こうして、改めて見ると…かなり偏っていますねぇ。

新しい身体になった事ですし、この機会に食生活を改めてみようかな。






「…」(私)





それはそうと、カップ麺は食べれないですね…

ご丁寧に湯沸かしポットも出てきましたけど、コンセントがないですから。まぁ、仕方ないですね。




じゃあ、菓子パンを食べますか…


―そう私が菓子パンに手を伸ばした時だ。










「ガサガサガサガサガサガサガサ―」



(((ビクっ!!)))


近くから、こちらに向かって歩いてくる何かの足音が聞こえる。えっ、何々…(戸惑いと恐怖)



―辺りは暗闇で、その姿を確認が出来ない。


でも、何かがいる。

しかも、複数の足音です。ウサギさんは危険を察したのか、一目散にその場から逃げてしまった(汗)


(えー、ウサギさん酷い)



私はウサギさんに手を伸ばして、引き止め様とするが…ウサギさんは闇の中に消えていった。そして、すぐに…








「ザっ…」







ちょうど…私の後ろで、その足音は立ち止まった。



私は息をのみ、恐る恐る振り返ると―









 「「「ギャアアアアアアアアアアア―!!」」」





私の叫び声は、闇の中をこだまする。


―そこにいたのは、子熊くらいの大きさだろうか。全身が緑色の…人の様に2足で歩いているが、人とはとても言い難いものが数体…赤い目で私の事を見つめている。



これは、ゴブリン…?


「「「ヒイイイイイイイイイイイ―!!」」」



私は後ずさりしながら、懸命にその場から離れる。


…ゴブリン達は、追っては来ない。ゴブリンは私よりも、私の晩飯に興味を示しているみたいでした。ゴブリンは、私が食べようとしていた菓子パンに手を伸ばして、食べようとする。




「アア…私の晩飯が」




だけど、どうする事も出来ない。この隙に逃げるか。


でも、ランタンもあそこに置きっぱなしだし…


私が腰を抜かして、そう考えていると―






「ヒュウウウウウウウウウウウウウウ―」





「「!!」」



ゴブリン達は風の音と共に、誰かに切られて消滅していた。



その誰かは黒いコートに全身を身を纏い、レジャーシートの上に剣を携えて立っていた。シワクチャで少し長い髪には所々に白髪が交じっている。





よく見れば、オッサンだった―







「君、大丈夫だったか?」


「こんな所で何をしている?」





オッサンは、私に問いかける。







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イブとゼニィーの異世界紀行 ヴィズ @g9148mk

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