第13話 【VS ジャンバーユ】②
「誰……?」
「あの方は俺の先輩だ。
太陽の光が変に反射したせいで顔がぼやけて見える。深緑の体が印象に残る。
そんな時、スマホに連絡が入った。
シロクマさんの声がそこら中にこだましていく。
「X級ズリアン以外にも沢山のズリアンが乱入してきたね。そうなることを予測し、この時のために多額の金額を使い特殊な機械を作ったよ。今からそちらに転送するから、早速使ってくれ。」
マスクの力だろうか。テレポートで近くにバッグのように掛けられる機械が送られてきた。
「それは我がホープの開発した''ズリアンバスター''だよ。使い方は簡単だ。それを背負えば良いよ。」
それを背負うと機械が動きベルトのようなものが二つ出て完全に固定された。もう離れない。
「それをつけている間にズリアンを倒すと、そこにズリアンが吸い込まれエナジーが溜まるよ。エナジーが溜まる程、身体能力が上昇する。また、全てのエナジーを解き放つことができる。これもまた、エナジーが溜まっていればいる程火力があがる。X級ハンター退治に役立ててくれ。」
一斉にシロクマさんの声が消える。
この間にもズリアンの攻撃は止まらず、誰かは逃げながら話を聞いていた。
ついにナンバーワンが動いた。
「借りますぞ」と言って、彼は七本の鉄の弓を放つ、二匹のメリカン、三匹のクラシンゴ、二匹のレーサーパンダを一発で仕留めた。仕留められたズリアンは魂のように浮遊し、彼の背中の機械へと吸い込まれた。
人間離れした速さでこちらへと来た。
変哲もなさそうな医療用マスクが目立っていた。
「久しぶりですな。アルファ君。」
「久しぶりです。」
「早速ですが、借りますね。」
アルファのマスクに触れた。医療用マスクに炎のマークがつきはじめる。
彼の一振。ただ大きく振りかぶっただけなのだが、それだけで大きな炎の渦を繰り出した。炎の渦な勢いを増して進んでいく。進んでいく先にいたズリアンらは一溜りもなく消えていった。
「なるほど、なるほどぉ。この機械は最大十しかストックできないようですねぇ。では、エナジーを放ってみましょうか。」
彼は強烈なエナジーを放った。大きな波動砲がジャンバーユを襲う。無敵に思えた相手も一瞬グラッとした。効いているみたいだ。
「多少は効いているみたいですが、倒すには物足りないですね。しかしながら、これで多勢で戦えますねぇ。」
本格的にその他ズリアンが襲いかかってきた。メリカンの水の玉を避ける。避けた先にクラシンゴの足が伸びてきた。
クラシンゴには苦しめられてきた。ここでも苦しめられている場合じゃない。俺は強くなったんだ。負けてたまるか。
俺は体をくの字に曲げて避け、横を通る足を掴んだ。そして、俺は思いっきり振り回した。名付けるならクラシンゴのトルネード。ハザラシやレーサーパンダ、カクらを巻き込んで進む。伸びきったクラシンゴを空飛ぶメリカン目掛けて投げつけた。
メリカンにクラシンゴがぶつかる。二匹は落下した。
落下する獲物目掛けて回転しながら牙で食らった。二匹のズリアンは俺の背中の機械によって消滅した。
「体に漲るぜ。パワーが。」
ふと横に影が。
「馬鹿ァ!」とカクの横蹴りが入る。
ごめん。ほんとにごめん。
次はアルファに襟元を掴まれる。
「あんたら阿呆だろ。本当に。世話が焼けるな!」「なんかムカつくな!」
彼は足に炎を送り、爆発させ、その勢いで飛んだ。
さっきまでいた場所が衝撃を受けて潰れる。
一瞬だけ透明の体が薄らと見えた。
「集中しろ。敵は一つじゃないからさ。」
俺らは乱雑に、そして強く投げられた。
その方向には見えなくなったジャンバーユがいる。
「連携しましょうか。借りますよ。貴方のパワー。」
板が俺と同じ速度で移動しながら触れてきた。医療用マスクに牙のマークがついていく。
「把握したよっ、アイツの位置。今からアイツを地面に叩きつけたい。クシブも手伝って!」「おう、任せろ。」
カクが空中に糸を繰り出し、自由に動いていく。そして、見えない相手に向かって工作をしていった。
俺と板は地面に着いた。遅れてカクも着いた。
「この糸を思いっきり引っ張って。」
そう言って渡された糸。俺と板は糸を思いっきり引っ張った。
重い──。
手応えしかない。重すぎる巨体を引っ張っているのが分かる。全力で引っ張ろうとも倒れる気配がしない。
手伝うよ、と他のハンター達が糸を掴んで引っ張っていく。数人のハンターが糸の所に集まった。
そこを狙うズリアンをカクを中心としたハンターが対処する。
アルファを初め、ジャンバーユの正面にいるハンターらが、見えない相手に対して波動砲を放った。俺らのことを信じたからこそできる行為だ。
ズシンッ。
砂嵐がそこら中に舞う。
倒れているジャンバーユが姿を現した。
「小人編ガリバー大作戦。成功だね。」
カクの糸が四肢を締め付けた。
だからと言って、終わりではない。トドメはさせていない。
「ふむふむ。なるほどぉ。巨大化のマスクをつけているのですねぇ。これはこれは贅沢ですなぁ。」
ちゃっかりとジャンバーユのプロレスマスクに触っていた。
そんな彼が包とカクと一人のハンターに命令した。
包がカエルのマスクからとても屈強な剣を作り出した。それを板が巨大化させる。やはり、ジャンバーユの能力。ジャンバーユ程の大きさにまで大きくなった。
巨大化させた剣がハンターの能力で遠くへと飛ばされていった。
そして、高いところにスタンバイした剣がついに落ちてきた。用意された透明な板を通過して加速していく。加速、加速、加速、加速。とてつもなく加速した巨大な剣が倒れているジャンバーユに突き刺さった。
だが、貫通することはなく、殺れてもいない。
ジャンバーユが小さくなった。
それと同時に拘束していた糸がすり抜け、剣は外れて横へと落ちた。
「簡単にはやられてくれねぇか。」
再び巨大化するジャンバーユ。
心無しか怒っている気がする。
耳を張り裂けるぐらい大きな音の雄叫び。それに呼応して他のズリアンらも気を引き締めている。
「随分と怒ってやがる。」
「もう生半可な戦いはできないですね。元々してないですけど。ここからはさらに気を引き締めていかなければ、ですね。」
俺らも気を引き締めていく。
そこに増援が来た。
「増援に来たっす。ここでX級ズリアンを一匹、減らしちゃいましょう。」
曲者揃いの増援。
板は苦笑いしていた。
「心強いですね。まさかホープのトップファイブが揃ったとは──。」
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