エピローグ
星宮さんは現在、高校三年生で、もう東京の大学へ
「私……友達が居ないんです。連絡先を交換して頂けますか……?」
マンガの話をしていた時と違って、恥ずかしそうに小さな声で星宮さんが言う。こちらが
「私、貴女の事が好きよ。四月に東京へ来たら、私を
温泉宿の脱衣所で、星宮さんを抱き締める。彼女は何
旅行の最終日となって、私が宿をチェックアウトする時間が近づいている。幽霊の彼女が、ドヤ顔で私の隣に浮かんでいた。
「どう? 全部、上手く行ったでしょう?」
「何が『全部』よ……貴女、
昨日、脱衣所の前で星宮さんと別れてから、幽霊の彼女が消えていく感覚があった。私が
「あんなに『行かないで!』って求められ続けたら、そりゃあ私は、もう
「自分で言ってたじゃない。貴女はファンに取っての神様なのよ。神様は簡単に消えたりしないわ、せめて私の一生を見届けてよ」
世の中には学問の神様だって居るのだ。
星宮さんは、もう一泊するそうだ。その星宮さんが両親の目を盗んで、宿から
「春になったら、東京で仲良くしましょう。それまで浮気しちゃ駄目よ」
「……はぁい、お姉さま……」
私は幽霊の彼女を連れて、宿を離れる。「……悪い大人になったねぇ」と、
「良く言うじゃない。犬や猫と過ごすなら、最後まで面倒を見ないといけないって。私は星宮さんをこれからも愛し続けるわ。だから幽霊の星宮セリナさんも、私に手を出したんだから最後まで面倒を見てよ。人間の星宮さんも幽霊の星宮さんも、私は愛し続けるからさ」
これは二股なのだろうか。でも幽霊、というか神様?の彼女は実体が無いのだから、法に触れるとも思えない。いつか私達は三人で愛し合うのかも。その様子をマンガや小説といった作品で描ければ面白いかもだ。
「うーん、重い女の子に手を出しちゃったなぁ」
「その重さで、貴女は
「えー、やだー。悪霊
私は空を見上げる。空は青くて何処までも続く。その奥には見えないけれど星々がある。孤独な星同士が寄り添い合えた奇跡を感じて、私達三人の関係は幸先がいい始め方を迎えたと思った。
幸先がいい始め方 転生新語 @tenseishingo
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