第3話 録音された音声
『しっかし、お前ももう市長かぁ。若い頃はあんだけヤンチャしてたのにな』
『まぁな。むしろ悪い事は若い時しか出来ねぇだろ?』
『確かになぁ。一体お前はどれくらい親にもみ消してもらったんだ? 警察のお偉いさんとも繋がってるんだろ?』
『そうなんだよ。なんかうちの親父に恩義があるらしく頭が上がらないんだとよ』
『本当羨ましいよね。あたしなんか一体何回補導されたか』
『俺が一緒の時は問題なかっただろ?』
『確かにそうだけどさぁ』
『それでよ、灯ノ下の事は明るみに出てないよな? 暫く地元離れてたから情報が全然入って来なくてよ』
『ええ、相変わらず大丈夫よ。もうずっと失踪したまま』
『しっかしあんときはビビったよなー』
『まさか灯台から落っこちるなんてな』
『あんたが無理やり犯そうとしたからでしょ? 呼び出すの手伝ってくれって言うから手伝ったのに。まさかそんな事しようと思ってたなんて』
『本気でヤろうと思って無かったよ。ただ、全然
『嘘つけよ。インスタントカメラまで用意させておいてよー』
『まぁまぁまぁ。もう過去の事だから良いだろ』
『ってかあたし、人があそこまで重いとは思って無かったわ~』
『そうそう。しかも穴掘るの超大変だったしな』
『お前、翌日全身筋肉痛になってたもんな。けど途中で人来なくて良かったぜ。あの時見つかってたら、親父にもみ消してもらう事は出来なかったからな』
『親父さんには正直に言ったんだ?』
『いや、全部正しくは伝えてない。捜索願が出されるかも知れないけど、うまい感じによろしくって。まぁでも、何となく察してたっぽいけどよ』
『うわ、なかなか悪だね~』
『親父も、正確に情報を知らない方が都合がいい事も有るって言ってたんだよ』
『ああ~、確かにそうかも。知ってた方が逆に動きづらくなる、みたいな?』
『ふーん。そんなもんかね』
『偉くなれば分かるぜ、その
『アレだよ、灯台から見て斜め右方向に有る大岩の影』
『あれ? 左じゃなかったか?』
『右よ右。当時も相当テンパってたから、間違えて覚えてんじゃない?』
『そうか右だったか。明日にでも見に行ってみるか』
『お、俺も行くぜ。お前は?』
『あたしはパス。二度とあそこには行かないって決めてあるから。でも怪しまれない? いきなり地元に帰って来てそんな所に行ったら。当時相当騒がれたじゃん。新聞にも載ったし』
『大丈夫だよ。むしろ今見つかった方が俺に取っちゃ不都合なんだ。安全は確かめておきたいからな。それに、俺が市長になったらあそこは灯台もろともどうにかするつもりだから、その視察って事にすれば怪しまれないさ』
『思い出の場所に来たって言っても問題無いしな』
『嫌な思い出だけどな。ハハハハ』
『そしたら、明日何時ごろにするよ』
『そうだなぁ、この後朝まで飲むことになりそうだから、夕方ぐらいが良いだろ』
『オッケー。じゃあ、明日の夕方って事で』
『何言ってんだよ、お前も朝まで飲んで、その後一緒に行くんだろうが』
『えぇー、マジかよー』
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