第9話寝床

「高級なのに…ぐすん。」


結論から言うと火はおこせたけど消せなかった。必然、串に挿して焼いていたわけでもないのでなすすべはなかった。


「とりあえず…勉強になったね。それで、リセは何を食べて過ごしてたの?」


今も名残惜しそう、まだ火の残る炭の塊を見ていたリセに声をかける。

多分しばらくちゃんとした食事をしていなかったのだろう。その瞳には絶望の色がみえた気がした。


「木のみやキノコ…あとは草とか。少し炙って!」


それは鶏肉はさぞごちそうだっただろう。なんか、せつなくなってくるなー。そういえばリセって気配とかわかるんだよな?


「なあリセ。今のコカトリスってまだ近くにいたりするか?」


「…うんう。気配は感じ取れないよ。」


「じゃあ川とか海とか…塩がありそうなところは?」


「川はあるけど、海は行ける距離にはない。塩はわかんない。」


そうかいないのか…とりあえず水の確保が先決か?んで、川を目指しつつ食料の確保をする感じかな?


「とりあえず川に行こう。それで、その途中で食料確保するのはどう?」


僕は少し考えて提案してみる。でもリセは難しそうな顔をする。なんでも移動するのはかなり危険らしい。主に僕が。


「でも喉渇いたし、いずれお腹もすくと思うんだ。あれ、そういえば夜ってあるの?」


僕は夜が来る前に寝床と水場と食料を確保したいと思ったけど。…よくよく考えたら、夜って概念がない可能性すらあるな。


「夜はある。むしろ無いってあるの?」


やっぱりあるのか…ならなおさら急がねば。いや待てよ、ここは経験者のリセに従ったほうが良いのか。


「なあリセは寝床があるの?」


そんな僕の質問に、無言で歩き出したりせ。たどり着いたところには、人が入れる程度の穴の空いた洞窟があった。

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