#046 : 落竜
カエデです!こんにちは!
おっソロさんとお別れしまして、今はエストちゃんと親方さん、冒険者のアリスさん・ドロシーさんと馬車で大魔王サクラの居るラウワを目指してます!
…
「おかしい…」
荷台の左を歩いているドロシーさんが言いました。
「そうだよね!ドロシーもそう思うよね!」
続けて荷台の右を歩いているアリスさんも言いました。
???
「い、いったい何がおかしいんですか?」
疑問に思った私は2人に確認しました。
「うんとね。街を出てから3日経つけど、モンスターが1匹も居ないのよ。」
「…うん。そうなの…こんな事はありえないよ…。」
アリスさんが言うと、ドロシーさんが不安そうに続けました。
…うん?あれ?…モンスターなら居たけどな?
2人が何を言ってるのか分からない私は2人に確認しました。
「え?モンスターはかなり来てますよ?」
「は?カエデ何言ってるの?」
「…平和そのものじゃないの…」
アリスさんとドロシーさんは私に詰め寄ってきました。
どうしよう…2人に嫌われたくないよ…
困惑してると、遠くにモンスターの姿が見えました。
「あ!2人とも!あそこにモンスターが居ますよ!」
私は遠くのモンスターを指差しました。
「え?……あぁ!たしかに居るけど…」
「やっと見えるくらいの距離だよ…だいぶ遠いよね…?」
「うーん?ちょっと待ってくださいね。…ウィルソンいくよっ…サムライジャパンッ…おめでとッ!」
ギュン!!!!!
そう言うと私は良い形の石であるウィルソンをモンスターに投げました。
ズギューーーーーーン!!!!!
…パカーンッ!!!!!
良い形の石のウィルソンがモンスターの足にぶつかりました。
「ビギィッ!!??!!??」
モンスターはその場でうずくまって悶え始めました。
「よしッ!」
私はガッツポーズしました。
「こんな感じで、かれこれ300回くらいはモンスターを見かけてはウィルソンをぶつけてます。あ、100体くらいの大群もいましたwその時はだいぶ馬車までの接近を許しちゃいましたけどwてへへw」
『うんうん。カエデお姉ちゃん凄かったねー☆あの時は私も死を覚悟したよー☆』
私は2人に説明すると、エストちゃんもフォローしてくれました。
「え?ん?んん?今なにしたの?」
「は?え?あれ?んー…?カエデ…あなたレベルいくつ?」
2人はオロオロしながら私に確認してきました。
「この良い形の石のウィルソンを投げました!…えっと私のレベルは1ですけど、大丈夫です!皆さんのお役にはたてるように頑張る巨乳です!」
私は袋から良い形の石を出して見せました。
「な、なんでその石は光を帯びてるの?」
アリスさんが言うと、私もそれに気付きました。
「あれ?ホントだ…光ってる…その辺に落ちてた石なのに…」
なんと!私が拾った良い形の石は光ってました!
『カエデお姉ちゃん!気付けよ☆』
「ちょっと待って…情報が渋滞してて追いつかない…」
ドロシーさんが頭を抱えてました。
——その時!
スッ…と、私たちを大きな影が覆いました。
「!?」
その影は前方に移動したかと思うと、やがて黒くて大きな物が落下しました。
…ズズン…!
「な、なんだ!?…どうどう!どうどう…」
馬車の御者をしていた親方が、慌てる馬を落ち着かせながら言いました。
「大きな…生き物…?」
「行ってみよう!」
アリスさんとドロシーさんが走り出していました。
「えぇ?行くのか?」
『カエデお姉ちゃん…怖いよ…』
不安そうな親方とエストちゃん。
「…。」
私はエストちゃんの肩を抱きしめました。
そして、私たちはゆっくりと2人を追いました。
「ええ!?」
「うわぁー!?」
先を走っていた2人が叫びました。
私たちが2人に追いつくと、そこには…黒いドラゴンが倒れていました ——。
(つづく)
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