#041 : 確信

こんにちは!カエデです!


パン屋さんのおソノ…じゃなかった!危ない!…おっソロさんに助けて貰った私は、お礼に【マヨネーズ】の作り方を伝えて【たまごサンド】を売れば大ヒット間違い無し!と、意気込んだのですが、マヨネーズの作り方を知りませんでした。私のポンコツめ!

皆さんもいつ異世界から喚ばれるかわからないので、マヨネーズは作れるようにしておきましょうね!


でも、ソースに似た調味料があったので、試しに【焼きそばパン】を作ってみたら…なんと大ヒット!連日行列ができてます!


おっソロさんは大喜び!私もとても嬉しいです!


そんなこんなで、おっソロさんのパン屋さんにお世話になって数日が経ちました。


このまま住み込みをさせて貰いながら【ニシンとかぼちゃのパイ】とかをパーティー会場に届けるような宅急便のお仕事をして、ゆくゆくは自立する…ということも考え始めていたりもします…。


あっ!またメガネの少年が通った!



ある日の夕食の時間、私は おっソロさんに今までの事を話しました。


「…という訳で、私はこの世界の人間じゃないのです…」

私はこの異世界に召喚されたこと、そして追放されたことを打ち明けました。


「こりゃたまげた!カエデ!あんた伝説の勇者なのかい!とてもそうは見えないねえ!あはは!」


「そうは言っても…私は巨乳の普通の人間です…魔王を倒すなんてとてもじゃないけど…あ!そうだ!おっソロさん!大魔王サクラって知ってますか?」


「うん?あぁ、東のラウワ国を征服した魔王の事だよね。」


「はい。そのサクラと言う名前が、1年前に突然消えた私の親友と同じ名前なのです。」


「消えたってのは物騒な話だねぇ。…あ!そうそう。そのラウワ国だけど、魔王が征服したと言ってもさ!どうも変なんだよね。」

おっソロさんは首を傾げながら言いました。


「変?」

つられて私も首を傾げました。


「うん。ラウワ国から来る商人の話によるとね?魔王が征服してからはとても平和なんだってさ!税金も減ったし、子供たちは無料で学校…?とかいうところに通えて勉強できるらしいよ。うちらもラウワに引っ越したいねーあはは!」


「学校…?私の居た世界の仕組みですよそれ!」

やっぱり大魔王サクラは親友のサクラなのかも!私はドキドキしてきました。


「あとは…うーん…あ!竜王の辰夫?というドラゴンを配下にしてて、毎日パンを買いに行かせてるって話も聞いたね。ウチに買いに来てくれないかねー?あはは!」


「えッ!?私もよくサクラに『パンを買ってきて!美味しそうなやつな?』ってほぼノーヒントで買いに行かされてたんですよ。それで、私の好きなレーズンパンを買って行ったら怒るんですよ。ひどいですよね。そうそう!サクラには焼きそばパンを与えておけば良いんです。ずっとご機嫌なんです。」


「カエデ…あんた達の関係…親友なのそれ…?」

おっソロさんが心配そうな顔で私を見つめた。


「はい。大親友です。」

私はキッパリと答えました。


「あ、そうそう。このトランプってのがさ!魔王の考案したゲームみたいでさ、これが大ヒットして、魔王さんは借金を返済しつつあるとか?景気の良い話で羨ましいわー!あはは!」


そう言うと おっソロさんは木の札で出来たカードを見せてくれました。


「え?トランプ…?私の居た世界にもありましたよ!ち、ちょっとそれを見せて下さい!」


私はトランプを見始めました。


「これ…ホントに…トランプ…だ…」

この世界では紙での加工は難しいのか、木製だったが、確かにトランプでした。


私はトランプを1枚1枚確認していきました。

そして、ジョーカーのカードを見て思わずジョーカーを抱きしめました。

私の目からは涙が溢れていました。


「…ぁ……あぁ……うっ…さ…サクラ…だぁ…サクラ!サクラ!」


—— トランプのジョーカーの絵柄は、なんと!ウィンクをしてチェケラッチョポーズをしているサクラでした ——。


私はあらためてジョーカーを見ました。


「あははw 絶対サクラだこれ…ジョーカーの胸が不自然に大きくなってるしw そしてカードにキスマーク付けるこの謎のセンスw あははw サクラらしいやw サクラ!サクラだぁ…」


私は笑いながら泣きました。この感情は初めての経験でした。


「お!カエデ!初めて笑ったね!」

おっソロさんが嬉しそうに言ってくれました。


「あはは…え?…そっか…はいw …この異世界にひとりぼっちじゃない…って思ったら、なんだか安心しちゃって…」


「なんだい!カエデ!あたしたちが居るからとっくにカエデはひとりぼっちじゃないよ!」

おっソロさんが両腰に手を当て、鼻息荒く言いました。

旦那さんも頷いてました。

「にゃー!」

ヂッヂはお腹が空いたと鳴きました。


「おっソロさーん!!!!!大好きですー!」

私はおっソロさんに抱きつきました。


「あはははは!なんだいなんだい!この子は!照れるね!あはは!」


—— サクラに会いに行こう!私の決意は固まりました。


追伸 :

私はサクラの大好物だった『焼きそば⤴︎パン⤵︎☆ザ・塩ッ!』のレシピを おっソロさんに伝えました。




(つづく)

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