#017 : 新たなる脅威
温泉を掘り当てた私たちは、ひとまずリンド村に戻る事にした。
辰美と3馬鹿には今の私達の状況…そう、エスト様のことや世界征服の野望を簡単に伝えた。
「あ!サクラ殿!バイトの時間に遅れるので先に戻ります!」
そうだ。辰夫は夜間のバイトが入っていたのだ。
「はいよー!ガッポリ稼いできなさいよ!」
「はい!任せてください!」
私は辰夫の背中を叩いて激励し、辰夫は嬉しそうに応えた。
バサッ!バサッ…!
辰夫が飛び立っていく。
「え…竜王がバイトしてんの…?それよりも…なんで嬉しそうだったの…?」
辰美は飛び立つ辰夫を見送りながら言った。
「イチロー!ジロー!サブロー!お前達はリンド村までダッシュだ!少しでも強くなれ!で、村でお前達のバイトの話をするからな!」
「「「は、はい!…バイト…?…え?」」」
「はい!早く行く!ほらほら!」
私は手をパン!と叩いた。
「「「はい…」」」
3人はダッシュで山を駆け降りて行った。
…
「さてと!私たちも村に戻りま…」
ー その時である!!!
「…その力……邪魔だな………」
突然!声が聞こえた!
「「なッ!?」」
私と辰美は身構えた!
すると目の前の空間が割れ、何者かが出現した!
「…ふむ……今のうちに摘んでおくか…」
その何者かは、ゆっくりと私たちを見ると、そのまま睨みつけながら言った。
…私はその容姿に見覚えがあった。
「え……?エスト様?…いや…」
だが、すぐにエスト様ではないと認識した。
「…いや違う!似てるけど違う!エスト様と違い、大人だ!エスト様はもっと子供で胸もペッタンコだ!だから私はエスト様が好きなんだ!私の目の前に居るのはエスト様とは違う似た何かだ!胸が大きいし!つまり!敵だな!?」
「判断基準が胸だった!」
辰美はツッコミの才能があるのかもしれないと思った。
ー 私の直感が告げる!
「あ…ぁ…そんな…ま…まさか……魔王…?……なの?」
「……………違う。」
その何者かは申し訳無さそうに答えた。
「…私の直感………ここは仕事しろよ…」
私は地面を叩きながら悔しがった。
「か、かっこわるッ!ここは空気的に当てるとこでした!」
辰美が慰めるように私の背中をポンと叩いた。
ー そしてまたしても私の直感が告げる!
「はッ!?…ぁ…ぁ……まさか…だ…大魔王…?……なの?」
「…………………違う。」
またしても何者かが申し訳無さそうに答えた。
「……………ぇぐ……ひっく…」
気がつくと私は地面にうずくまって泣いていた。
私は大嫌いな給食の牛乳を飲むまで帰れなかった時と同じような絶望感を抱いていた。
「直感の空気の読めなさが凄い!」
辰美が私の背中をさすってくれた。
すると、その何者かは顔を上にあげた。
「…ぷッ……ぷぷッ…グッ……キッ………」
全身が小刻みに震えている。
「めっちゃ笑いこらえてる!やった!ウケたんだ!」
私はガッツポーズをした。
「私!この人の事が大好きです!」
辰美も喜んでいた。
何者かはずっと上を向きながら話を続ける。
「キッ…き、
「まだウケてる!ここまでウケると嬉しい!」
「友達になりたい!」
「今日の…ググッ…キッ…ぷぷ…ところ…は…見逃して…グッ……や…る。」
上を向いていた顔が今度は下を向いた。
「どうしてもカッコをつけたい!」
「大事なところだから人の目を見て話をして!」
「次に…キッ…会った時……グッ…が…貴様らの…キッ…最後…だ…。」
正面を向いた何者かの顔は紅く、目には涙が溢れていた。
「感情とプライドの熾烈な戦い!」
「私!今凄いものを見ています!」
そして、震える手を空間にかざし、空間を割ると、めっちゃ早歩きで割れ目に消えて行った。
「最後まであっぱれな人だった…」
「また会いたいですね。」
ー いやぁ良いもの見たな!と胸がいっぱいになった私と辰美は何者かのモノマネをしながら村に向かった。
(つづく)
前回貼り忘れた 辰美 のステータス☆
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★火竜・辰美の現在のステータス
・名前:辰美 (ドライグ)
・種族:竜属 (火竜 フレイムドラゴン)
・レベル:250
・スキル:体力増強 (Lv125)
魔力増強 (Lv125)
物理・魔法耐性 (Lv125)
炎耐性 (Lv250)
ブレス (炎)
・称号:火竜
→ 成長補正[大]
→ エクストラスキル解放
・エクストラスキル :
光焔
→ 自身の火力向上
炎の風
→ 周囲の味方に炎を纏わせる(火属性付与、火耐性アップ)
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