第4話 スクールカースト


絶賛落ち込み中の北海道をよそに周りはざわつき始めていた。


「信じられるわけねーだろ!!異世界だぁ?ふざけたこと言ってるんじゃねぇよ!!」


そう叫んだのは腕っ節が強そうに見える古田だ。

下の名前はしらない。

いつもうるさい陽キャグループの一人だ。


僕達は目覚めたらここにいた。

石造りの広い西洋ファンタジーのような空間に。


「あなた達は選ばれた勇者なのです」

「どうやって信じればいいんだよ!!」


なにを言われてもものすごい剣幕で巨乳ちゃんに怒鳴る古田。

巨乳ちゃんは疲れたような顔をして。


「ここに我が力の体現を”照明ライト”」


その瞬間薄暗かった空間に光が溢れた。

巨乳ちゃんの目の前に現れた手のひらくらいの光の玉が、石造りの部屋を照らした。

明らかに魔法であった。

それ以外にどうやって説明すればいい。


「い、今のなに.......?」

「うわぁ、きれい」

「本当に異世界じゃん!」

「俺最強目指すわ」

「いや、お前むりだろ...」


さっきまでの緊迫していた空気が、嘘のようだった。

何人か中には泣き出すやつもいたが大半楽しんでいる気がする。

こいつら楽観的すぎる。

命が懸かってるんだぞ。命が。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ 



「この水晶はみなさま勇者の能力を測定するものです」


部屋に水晶のようなものが運び込まれ、巨乳ちゃんが説明し始めた。

この世には職業というものが存在する。

職業によって取得できる能力が違うそうだ。

職業を変えることもできないこともないのだが、ものすごい努力と才能がないと無理なのだとか。

そして、勇者の大半は戦闘系の職業を得る。

水晶は僕達の職業を調べるものだ。

巨乳ちゃんが説明を終えると水晶の前に並ぶように指示する。


「....チ....ト....ほ..し....」

「武田氏ぃ・・・僕達最強にぃ・・・なれるかなぁ・・・」


おい北海道巻き込まれ召喚だろ。あきらめろ。

しかし僕もこの状況には心が踊る。

自分がどんな能力を得るか楽しみだ。


計測は並んだ順に行われた。

みんな魔法を見たからなのか素直に従っている。

そしてあんなに文句を言いながら最初に並んでいたのが古田。

古田が水晶に手をかざすと水晶が赤く光る。

皆が驚いたように声を上げた。


「彼の職業は「剣闘王」です。剣闘士でもめずらしいのに!」


おお!剣闘王だと。

とてもかっこいい。なんか興奮してきたぞ。


次々にみんなが水晶に手をかざしていく。


「上級剣士」「魔道士」「治癒師」「鍛冶師」


人によって水晶の色が変わり、喜んだり悲しんだりそれぞれの反応をしている。

聞いたことがあるような単語がたくさん聞こえてくる中、一際目立ったのが「」だ。

あれ...北海道以外は全員「勇者」だろ?

だが職業にも「勇者」というものがあるらしい。

伝説の職業だと!!??


「ま、まさか!!伝説の職業「勇者」が出るなんて!」

「そうか......俺にあんま驚きはないが.......」



巨乳ちゃんがものすごく驚いている。

驚きに目を見開いた巨乳ちゃんにクールに答えたのが神楽澪夜かぐられいや

イケメンでスポーツ万能のバスケ部でおまけに頭まで悪くない。

取り巻きの女子たちのキラキラした目を全く気にした様子もない。

くそ!!なんか悔しいぞ!!


「すげぇな澪夜!俺も負けられねぇな」

「俺は何もしていないさ。だがお前なら同じようなものになれるだろ?」


澪夜とイケメンオーラを出しながら喋るのは出雲大地いずもだいち

頭は良くないが一年ながらサッカー部エースのイケメンだ。

その出雲が水晶に触れる。


「こ、これは!また伝説の「精霊術師」!!!」

「お?俺もすげぇのか。まぁ当然ってことよ!」


まさかの二回目の伝説の職業だ。

やはりスクールカーストって大事なのかもしれない。

緊張してきた。僕が良い職業を得るなんてないかもしれない。

すこし弱気になってしまう。


「綾野氏ぃ・・・もしかしてぇ・・・・次ぃ僕ぅ??」

「北海道!!あいつらの次なのかよ!


と言っても俺も北海道の後ろだ。

必然的に次の次は僕の番だ。

緊張して順番を気にしていなかったみたいだ。

覚悟を決めなければいけない。


「北海道先輩行って来い!」

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