第9話

戦闘予定宙域よりも1光年離れた場所に展開している商業連盟圏の傭兵部隊の近くまで来ると、きちんと整列している戦艦の間を飛びまわるいくつもの船が確認できた。


中には統一された補給艦と思われる船の他に商船と思われる船の形も大きさも全く統一性のない船が動き回っていた。


なぜ、商船と断言できるかといえば、無線のオープンチャンネルではいくつもの宣伝放送が重複して聞こえてきており、目的の船が近づけばその船の宣伝がはっきり確認できるようになっていた。



『船長、すでに編成も完了しているようですし他にも商船が売り込みをかけていますから私たちも早く売り出さないと』


「目標の部隊が大きいので近く見えてるだけでまだ到着に5時間はかかりますからもう少しお待ちください」


『そんなにかかるのか?』


「見た目ほど近くはないですからね、それに何も連絡もなしに近くにワープなんてしようものなら問答無用で撃ち落とされますよ」


『それもそうか、それじゃ着くまでに仕込みの量を増やすから着いたら教えてくれ』


言い終わらないうちに画面から姿を消した店長に呆れながら旗艦に向けて通信を行った。


『こちらは商業連盟圏傭兵部隊旗艦”バトローサ”要件を伝えたし』


「こちら、ライアル商会のライアル。艦隊への士気向上のための物資即売のため一時艦隊の編成を乱す許可をいただきたい。推薦状は『牛飼いのビッツカウ』からいただいております。ご確認を」


『確認できました。戦闘開始まで1月の予測となっていますので、それまでいい商売を』


「ええ、ありがとうございます」


通信を終え、艦隊に近づいていくと、その大きさに驚愕した。


もともと大きいのはわかっていたが、遠くからでは小さく見えた補給艦ですら中型の輸送船より大きく、他の商船ですら中型船はごく少数で、数えるほどしかいなかった。


そして、戦闘を担当する艦隊は一番小さいのですら10kmを超えており、一番大きいものは半径50kmの衛星を丸ごと船に改造して使用していた。


そんな中をせいぜい1km程度の船が動き回るのはまるで蟻がはい回っているような感覚に襲われるようであった。



船が小さいと相手にされないかというとそんなことはなく、一隻の船に常駐している人数はせいぜい100人程度しかおらず、1隻の船が大きいため購入者が全員購入するまでに時間がかかり、準備してあった1万食分を売りさばくのに1週間も必要としたため程よい消費に収まっていた。



ーーーTIPSーーー

商業連盟圏傭兵の主要2団体


ベリアル傭兵派遣株式会社

株式会社の方式を取っている傭兵団で、株主は社員と元社員家族となっている。

入社の段階で株が与えられる上に死亡してもその株が遺族に渡る為、遺族年金の代わりとして配当金を受け取る仕組みとなっている。

宇宙空間での戦闘を得意としており、軍隊を退役した物がおおく規律正しいことで有名。



近藤・カモッラ組

組員全員を家族として扱っており、生身での戦闘を得意としている。

孤児や各有人惑星にて手に負えなくなった少年少女を受け入れる最終厚生施設としての事業も行っている。

組員全員がなぜか子供に甘く、子供型のサイボーグに蹂躙されることが多い。


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ライアル商会の航行記録 えでぃ @alice_edyi

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