第6話
「これで船内の確認は終了となります。最後にここにサインしていただければ受け渡し終了となります」
そういって差し出された端末に掛かれている内容に特に目を通さずにサインをしようとしたところ、姉妹の妹に取り上げられた。
「何をしてるんですか、こういうのはきちんと読まないといけないって何度言ったらいいんですか」
すごい速さでスクロールしながらこちらに対しての文句も忘れない。
「いや、だって担当者さんはすごくいい人だし、会社もアイシャが精査してくれたところだから大丈夫でしょ?・・それに面動だし」
「何か言いました?」
最後に小声でつぶやいた言葉が聞こえたのか端末から顔を上げてこちらをにらみつけてくるかわいらしい顔から顔を全力でそらした。
「まったく。・・・なんでお姉ちゃんはこんなやつ」
「なんか言った?」
「なんでもないです。はいこれにサインしてください」
小さな声が聞きとれず聞き返すとタブレットがみぞおちに食い込むように差し出されてしまった。
「うっぐっ、もっと優しく」
「だったら、きちんとしてください」
強い言葉に言い返せず、しぶしぶサインをすると担当者が受け取り帰って行った。
これで、のんびりできると思っていると、お姉ちゃんのほうが頬を膨らませてひな鳥のように後をついてきた。
ブリッジに到着してサクラの起動まで動かせない船の中で待つにも外に出るにもこのまま後をついてくるオフェーリアをそのままにしておくわけにもいかないので構うことにした。
「そんなに頬を膨らませてどうしたんだ?」
膨らませている頬をつつくと一瞬嬉しそうにするがすぐに顔を背けて起こってますよとアピールしてくるが、体は触れ合うくらい近づけてきた。
その行動に苦笑いがこぼれそうになるがこれ以上期限を損ねさせないようにするためにご機嫌を取ることにした。
「お嬢様。デートでもいかがですか?まだ、船は動かせる状態ではないから外で食事にでも行きましょう」
「二人っきりで?」
「今のお姉ちゃん面倒だから私はパス」
アイシャは自分の席に座ると端末を取り出し動画を見始めた。
「それなら行く」
そのまま、昼も夜も無い宇宙空間の商業施設はお店が少なくても閉店時間がないため気がすむまで付き合わされた結果丸一日かかってしまった。
特に大人の雰囲気になることもなく帰ってきた私たちを見たアイシャがため息をついたため苦笑いで答えるしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます