第3話

グルーフェンが見えてきた。


すい星を改造しており、見た目はいびつな楕円状のウニのような形をしている。




棘の一つ一つはすべては停泊場となっており、ひとつの棘にいくつもの船が停泊しているため何もない状態でもいかつい見た目がさらにいかつくなっている。




更に、外敵や隕石を避けるためか、グルーフェンの周りにはいくつもの岩石が周回しており、港社から提供される進路予想図を受け取らないと危なくて近づけないようになっている。




「あと1時間で到着します」




「ありがとう。船内放送するからよろしく」




「はい。どうぞ」




「こちらは船長のライアル。以前から放していた通り今回寄港するグルーフェンから新たな船へと乗り換える。到着した後、全員で新たな船の船内説明を受けるために作業を中断して参加してくれ」




通信を切ると、機関室と格納庫から『了解』のスタンプが送られてきた。


残り調理師が食堂にいるのだが、返事が来ないのは良くあることなので誰も気にしていなかった。




現在この船で7名を社員として雇い一緒に生活している。


孤児や市民権を持たない者たちを集めているので、家族という思いが強かったりもする。




グルーフェンの13番デッキは他と違い、棘複数ある桟橋に停泊するよな場所ではなく、棘の中に停泊するようになっている。




減速しながら13と書かれた棘に近づいていくと、『ロートリンデ製船所』と書かれた場所が見えてきた。




文字の場所に近づくと船が豆粒に見えるくらい大きく左右に扉が開き、その中に船を進めていく。




中には空中に光の線がありそれに沿って船を進めると、『とまれ』と表示された場所に案内される。




文字の前に船を止めると、アームが飛び出してきて船を固定してきた。




固定されると、周りの明かりが順番に灯っていき、すぐ近くに特殊な見た目の船といえるかわからない物が停泊されていた。




「もしかして、次の船あれ?」




「そうそう見た目はあれだが1Kmコンテナを損傷なしに運ぶことのできる優れもの。そのうえ下限が300mだから幅広く運搬できるのが強みなんだよね」




1Kmコンテナとは規格が決まっており、全長1Km高さ300m幅300mの物を指している。


300mコンテナから1kmコンテナまでを運べるように船の中ほどが部分が骨組みのみとなっており、あばら骨が10列に並んでいるように見えた。




「詳しい解説は製船所の担当者がしてくれるから行こうか」




船から降りると新しい船の方から中年の男性が飛んできた。




「いらっしゃいませ。ライアル商会の方々でよろしいですか?」




「ええ、そちらは?」




「挨拶が遅くなりましたロートリンデ製船所のガルダルと申します」




互に握手を交わして船へと案内される。




「港に専用の場所を確保だなんてそんな大きな会社なの?」




「お姉ちゃんここ貸出区画だから」




「あまり失礼なこと言うなよ」




「大丈夫ですよ。実際私どもの会社はこのPQ5560星系のみでしか活動してない小規模な会社ですからね。それでも今回作成いたしましたこの新作で大きくなってみますよ」




船の中に入ると通路は5人が横並びで歩いても余裕で通れるくらいになっており、天井はさらに人が歩いてもぶつからないくらい高く作られていた。




「慣れるまでは大変かもしれませんがそれぞれに重力がはたらきますので飛び上がりすぎますと天井にたたきつけられますので注意してください。その代わり、ちょうど真ん中あたりは重力が拮抗していますのでグリップをつかみながら移動も可能となっております」




「ねぇ?」




「何?お姉ちゃん?」




「8人しかいない私たちにこんなに広い通路いるの?」




「船が大きくなったから新たに雇う予定だからこれでいいんだよ」




「それは僕たちの後輩が入るんですか」




「ブリッジクルーも欲しいが船内、船外作業も増えるからそうなるな」




その声に作業員として雇われているアルタとトールが喜んでいた。


荷物の受領等は船長の仕事だが、船内でコンテナの固定や外装の傷などがあると2人ですべて行っていたので、かなりの重労働となっていた。




「それでは最初にブリッジへと向かいましょう」




久しぶりの重力に手間取りながら担当者に案内されてブリッジへと向かった。














ーーTIPSーーー




社員一覧




船長:ライアル


総舵手:アイシャ


通信士及び副船長:オフェーリア


機関士:ラーゲル


機関士見習い:D・A


調理師:フェーテル


作業員:アルタ


作業員:トール

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