第2話
『起きろって言ってるでしょうが』
「ぐっぼ」
大声とともにおなかに強い衝撃を受け背中を壁に打ち付けた衝撃で目が覚めた。
「やっと起きた?こんな通路の真ん中で寝るなって何度言ったらわかるの?」
上部の取っ手に両手をつけてスカートの中身が見えている状態でこちらを見下ろしていた。
「おいおいスカートの中身が見えてるぞお嬢さん。まだ若いんだから気を付けないと」
スカートを抑えながら降りてきてそのまま膝で頭を踏みつけてきた。
「大きなお世話ですぅ。それに私は社長にお嫁にもらってもらうので、見たいならどうぞ見てください」
そういいながらも今度は下の取っ手を握り膝で私の頭を押さえつけてくる。
「お嬢さんや、こんな左手が不自由な男と一緒になっても幸せになれないよ。それ以前にそのきれいなおみ足を顔の上からどかしてくれませんか?」
「どかしてほしいなら今後自分の部屋できちんと寝ることと、私と結婚することを誓いなさい」
「この船は船長の俺の俺の家なのどこで寝ようと勝手でしょ?それ結婚するならもっといい男見つけなさい」
「なら、少しの間あなたの好きなおみ足を眺めてなさい」
「そんなこと言ってもいいのかな?今回向かってる港の場所を覚えている?」
「グルーフェンでしょ?それだどうしたっていうのよ」
「その港はどこにあるのか覚えている」
「だから惑星グルーフェン。え?まさか」
「その通り。今回の仕事で資金がたまり船の購入資金が溜まりました拍手」
俺が拍手をするのと同時に左手だけ取っ手から外して太ももをたたき、拍手に合わせてくれる。
「それで?新しく船を新調して私と結婚してくれるでしょ」
「だからもっといい男探しな。それより今は妹と同室でしょ?個室いらないのかい?」
その言葉を言い終わらないうちに足がどかされ抱き着かれた。
「いる」
「今回は、重力調整区画もあるからすごしやすくなるよ」
抱き着かれた反動で流れに任せていると扉に近づき自動に開かれる。
「あいちゃん聞いた?船新調だって」
操舵室にたどり着くと抱き着く手を放して、手首をつかみ、操縦席で小説を端末で読んでいた妹に片手で抱きついている。
「お姉ちゃんうるさい。それを知らないのはお姉ちゃんだけだから」
雑に手を払いのけて押し返してくる。
その反動で船長席に着くと少女を抱えて席に着く。
この姉妹は会社を立ち上げて最初の仕事で宙賊からさらってきた双子で、いつの間にか保護者として俺が登録されており、仕方なく会社で雇っていた。
「それで、グルーフェンに到着はいつになりそう?」
「半日後ですね。つなぎます?」
「よろしく」
少女を残りの空いている席に押し出しながら、通信がつながるのを静かにまつ。
『こちら港社こうしゃのビンセルだ』
映し出されたのは50歳くらいのスーツ姿の頭をそり上げた強面の男性だった。
「こちらライアル商会社長のライアルだ」
『なんだライアルかよ。まだ生きてやがったか』
「うるせぇ。この港の港社は人手不足かよ他ならカワイイ女性が対応してくれるのによ」
『っけ。お前みたいなおっさんの相手をしたがる物好きがいないだけだ。それより寄るのか?』
「あと半日で着くからよろしく。今回は船の購入だから」
『了解。それなら報告来てるぞ。13番デッキに新しい船が入ってるからそこに向かってくれ』
「ありがとうよ。今度寄ったときに連絡するから飲みに行くぞ」
『おう、楽しみだな』
「それじゃ、通信終わり」
通信を切ろうとしたときに相手は手を挙げるだけで答えを返してきた。
「聞いての通り13番デッキに向かってくれ」
「はーい」
少女たちが計器を触るのを眺めながら席に深く腰掛けてひと眠りするために目を閉じた。
ーーTIPSーー
姉 オフェーリア : 妹 アイシャ
遺伝子操作を受け生み出されたデザインチャイルド。
親は宙賊の頭。
一卵性の双子として生まれたからかデザインチャイルドなのか、遠く離れていてもなんとなく姉妹の感情がわかる。
姉はライアルのことが好きだが、これが恋愛なのか親愛なのかよくわかってない。
妹はライアルのことが好きだが、親愛なのを理解しているので姉の心の揺らぎを楽しんでいる。
姉の最近の悩み:ライアルが名前を呼んでくれない
妹の最近の悩み:姉がライアルの前だけ少しおバカになる所
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